基本情報
○解説
アイリストール最大の歓楽街で、周辺地域はギャングのコンウォーリス一家が支配しています。この街は表通りと裏通りで全く違う顔を持っています。
▼表通り
表通りは酒場、芝居小屋、カジノ、露店、娼館などが並ぶ場所です。ここは活気に溢れる場所で、通りを歩いていると娼婦やポン引きが盛んに声をかけてきて、言葉巧みに店へと連れ込もうとします。酔客はそれを笑ってかわしながら自分の目当ての場所へと辿り着き、夜の楽しい一時で日常の疲れを癒すのです。
▼裏通り
裏通りは犯罪の温床であり、警察でさえ近づきたくない場所の一番手にあげるほどです。ここでは麻薬は小麦粉より簡単に手に入れることができ、ギャングの手下として働く強盗団が奪い取った品々を闇市に運び込み、秘密の高級クラブでは政治家らがギャングの接待を受けながら、どのような便宜を図るかを相談しています。また、首吊り街に近い地域では、恐喝、暴行、追い剥ぎなどはごく当たり前に起きる日常の出来事であり、たった一杯の酒を買う金を手に入れるために、殺人でさえ簡単に犯してしまう者が歩いています。この辺りで行方不明になる人間は数知れず、間違っても一般市民(特に女性)が足を踏み入れる場所ではありません。
▼分類
・種別:
歓楽街
商業地
・交通:
やや多い
・治安:
表通り-やや悪い
裏通り-悪い
・警察:
環外北警察署
▼麻薬通り
この通りの付近で麻薬の密売が頻繁に行なわれていたため、やがて暗黒街の北部に阿片窟のような、麻薬を吸うための場所が幾つも形成されるようになりました。この存在は裏社会を知る者たちには有名で、当然のことながら警察も事情を把握しているのですが、ギャングたちを恐れて手出し出来ないようです。
▼黄昏街
黒羽根通りに近い側は、小さな酒場や安宿などが並んでおり、ガラの悪い冒険者や流れ者が居着いています。郊外に近い側は中下層の市民の住宅地となり、安アパートや小さな一軒家が多くなります。
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施設・名所
○種類
▼一般
カジノ「ミラージュ」、ハンスの入れ墨屋、娼館「紫の水晶花」▼特殊
失われた路地裏
○カジノ「ミラージュ」
ギャングの「コンウォーリス一家」が経営する高級カジノで、ルーレットやポーカーなどのゲームを楽しむことが出来ます。
ギャングが経営しているとはいえ、基本的には普通のカジノと変わるところはなく、通常フロアへの入場に特に制限はありません。しかし、最上階にある特別フロアは会員以外の出入りは禁止されており、入会するためにも誰かの紹介が必要となります。ここは資産家や貴族たちのサロンのようなものであると同時に、ギャングを交えての裏取り引きが行なわれる場だと噂されています。・関連:コンウォーリス一家
○ハンスの入れ墨屋
もとより海の国として繁栄してきたこの国では、水死体の身元を明らかにするという目的で、水夫たちが入れ墨を入れておりました。それが、いつの間にかファッションに変わってしまい、現在では内陸にあるアイリストールにも、このような入れ墨屋が幾つも誕生しています。
もともと水夫だったハンスは、暇な時間を潰すために絵を描くようになり、少しずつ観察力や描写力を身につけてゆきました。その後、彼は足を悪くして船を降りることになったのですが、入れ墨屋をしていたガンツ親方に画才を認められ、一流の技術を間近で見ながら職人として腕を磨く機会を得ます。
現在、ハンスは死んだ親方の店を受け継いで、一生懸命に働いています。彼はとても気のいい男で、頼み込めばしばらく支払いを待ってくれたり、少しくらいの不足であれば料金をまけてくれます。そのため、金銭的に余裕のある生活は送っておりませんが、客たちの注文に応えるために頭を働かせるのがとても楽しいようで、充実した毎日を送っています。
▼限定情報
ごくまれにですが、ハンスの彫った入れ墨が問題をもたらすことがあります。それは彼が親方から受け継いだ道具が原因です。ハンスの師匠だったガンツは、緻密で生き生きとした描写を追い求めて長年修行を積んでいましたが、満足する作品を仕上げることが出来ないまま亡くなってしまいました。その道具に込められた思いが本当に入れ墨に命を吹き込み、不思議な現象を引き起こしてしまうのです。ですが、そういった問題に巻き込まれた人たちが、気のいいハンスに文句を言いに来ることはなく、また、客たちの多くが水夫で事件が海上で多く起こるため、彫った本人はいまだそのことに気付いておりません。
○娼館「紫の水晶花」
ギャングの「コンウォーリス一家」によって経営権を奪われた老舗の娼館で、歓楽街の奥の方にあります。周囲の平均から言えば少し高級な部類に入る店で、勤めている女性たちの質も高いようです。
なお、娼婦の1人だった「アノア=ベルナール」は、ギャングの幹部の1人である「エルジェイ=デュフェオ」に気に入られ、現在は彼の愛人となって店の経営を任されています。しかし、彼女の心はエルジェイの元にはなく、海難事故で死んだものと思われている、夫のエルマーを今も愛し続けています。悪徳な金貸しに騙されて多額の借金を背負い、身を売る状況に追い込まれた彼女ですが、いつの日にか必ず夫が帰って来て、元の生活に戻れると信じて日々を過しています。・関連:コンウォーリス一家
○失われた路地裏
現世界と冥界を繋ぐ、月の出ていない夜だけ現れるという噂の小道です。この道を通り抜けてゆくと、放射状に幾つもの道が出ている広場に辿り着くという話で、ここが霊魂の住む町の中心と考えられています。死者たちは迷い込んだ人々に何をするでもなく、その町で淡々と生活しているのだといいます。しかし、その体は透き通っており、明らかに生ける者たちの姿ではありません。
入り口は探そうとして見つかるものではないらしく、いつの間にかそこに立っているようです。また、広場から元の場所に戻ろうとしても、結局は広場へと辿り着いてしまいます。どうやって出られるかもわかりませんが、気付くと朝日が差す路上で歩いているという話が一般的です。
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人物・集団
▼コンウォーリス一家
暗黒街一帯を支配しているギャング団で、ボスの「テオドア=ナルフィシス」が組織をまとめています。組織の前身は、クラッサス市から流れて来た無法者の一団で、「ディドリー=コンウォーリス」という男が首領を務めておりました。彼らが街に訪れてから30年以上の月日が経ちますが、その勢力は衰えるところを知りません。
この集団が住み着いたのは犯罪者たちの集まる首吊り街ですが、周辺地域には中小規模の裏組合が幾つか存在し、熾烈な縄張り争いを繰り広げておりました。コンウォーリスたちはこの状況を利用し、巧みに立ち回って裏組合同士で潰し合いをさせました。こうして既存勢力を弱体化させると同時に、荒くれ者や目端のきく者を取り込んで勢力を伸ばしていった一家は、最終的に周辺にあった全ての裏組合を壊滅させることに成功します。そして、近くにあった歓楽街を支配下に置いて、現在の暗黒街を形成するに至るのです。
ディドリー=コンウォーリスが亡くなった後は、その右腕であったテオドア=ナルフィシスがディドリーの娘と結婚し、新たなボスの座につきました。ナルフィシスは非常に頭の回る冷酷な男で、彼が跡目を継いでから組織はさらに勢力を拡大しています。現在は市内の各所に支部を置き、裏社会を完全に手中に収めるために強引な活動を続けています。・本部:暗黒街
・地域:全域
・関連:テオドア=ナルフィシス
▼灰色蜘蛛
暗黒街を中心とする都市西部を縄張りとする組織で、首吊り街から赤矢通りの辺りまでを活動範囲としています。もともとは現在の長老派もこの組合の一員だったのですが、主流派がギャングの「コンウォーリス一家」に付いたことで、2つの組合に分派することになりました。
この集団だけは積極的に活動範囲を広げようとしており、その他の組合と派手なトラブルを起こすことがあります。というのは、彼らはギャングたちに情報網を拡大するよう命じられているためで、少しずつ他の組合の縄張りを侵食していっています。また、彼らは組合員から稼ぎの一部を受け取り、それをギャングに上納することで身を守ってもらうというやり方をしています。・関連:ギャングの「コンウォーリス一家」に情報を提供しています。
▼スティレット・アサシンズ
暗黒街を支配するギャング団、「コンウォーリス一家」の手下として働いている一団で、メンバーの多くは15〜20歳くらいになります。スティレットとは刃の部分が錐状になっている、突き刺す事を目的とした短剣です。彼らは暗殺者というわけではありませんが、この物騒な武器をいつも携帯しています。これは主に相手を脅迫するためのもので、ギャングに随行して借金の取り立てに手を貸したり、一家に逆らおうとする者を痛めつけて脅すなど、暗黒街の治安維持のために働いています。・関連:コンウォーリス一家
▼テオドア=ナルフィシス
種族:白人 性別:男 年齢:57 職業:ギャング/ボス
居住:暗黒街 出身:クラッサス市解説:その非情さで知られる暗黒街の帝王で、先代のボスの娘と結婚して跡目を継ぎました。身内にも恐れられる冷酷な人物で、部下のミスは絶対に許さず、時には死をもって償わせることもあるそうです。一見その手口は豪快に見えながら、実は知恵の回る用意周到な男で、何らかの行動を起こす際には、警察の上層部や政治家に必ず手を回しています。
一言:「そうか……ならば、死ね」
・関連:コンウォーリス一家
▼リネファ=リュンカー
種族:白人 性別:女 年齢:27 職業:娼婦
居住:暗黒街 出身:アイリストール市解説:3日で愛を忘れる女と呼ばれる有名な高級娼婦で、どれほど彼女に愛情を傾けたとしても、それが報われることはありません。彼女が気にしているのは自分の美しさだけであり、それ以外のものに目を向けることは決してないのです。自分の美貌には絶対の自信を持っているため、男たちが自分にかしずくのは当然だと思っておりますし、要求は必ず通るものと考えています。現在は「コンウォーリス一家」のボスである「テオドア=ナルフィシス」の愛人となっていますが、彼にわがままを言えるのは彼女だけだと言われています。
一言:「あなたは私に何をくれるのかしら?」
・関連:コンウォーリス一家、テオドア=ナルフィシス
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