西部地区
首吊り街

基本情報施設・名所人物・集団


 

基本情報


○解説

 市の北西の外れにある街で、かつて刑期を終えた人々が一定期間ここに住むよう定められていたことから、罪人街として定着するようになりました。その後、定住の義務がなくなってからも、犯罪歴のある人々が居場所を求めてここへ流れつき、周辺から流入した貧民と混じりあって、少しずつ街を都市の外部へと拡大してゆきます。そして、罪を犯した者が身を隠すために住み着いたり、闇の賭場や盗品市が開かれるようになり、やがてこの周辺には中小規模の裏組合が幾つも誕生しました。
 後にこれらを統括するのが、現在の暗黒街を支配する「コンウォーリス一家」です。クラッサス市から流れて来た彼らは、裏組合同士の熾烈な縄張り争いを利用し、巧みに立ち回って互いに潰し合いをさせました。こうして勢力を伸ばしていった彼らは、最終的には近くにあった歓楽街を支配下に置き、現在の暗黒街を形成するに至るのです。
 一家の活動拠点が暗黒街へと移ってから、この街は以前の状態に戻っており、刑務所上がりの者や警察から身を隠すために住み着いた人々、あるいは歓楽街での仕事を求めて流れ着いた貧民たちが、街を構成する主な住民となっています。しかし、こういった人々の再犯率は高く、近くに幾つもの更正施設や救貧院が建てられましたが、これらが正しく機能したことはありません。それどころか、付近の犯罪率は上昇を続け、現在では警察でさえ立ち入ることを嫌がる、市で最も危険な地域の1つとなっています。


▼分類
・種別

 主に住宅地(下層〜最下層)
・交通
 やや少ない
・治安
 悪い
・警察
 環外北警察署
   


○地域

▼蜘蛛糸街
 
灰色の迷宮といわれるほど道が入り組んでいる裏通りで、屋根や塀の上を板で繋いであったり、下水道を利用した通路が隠してあるなど、住民でなければわからない道が数多く存在します。古くに打ち捨てられた建物には浮浪者が住み着いておりますし、犯罪や借金などの理由で身を隠して暮らしている人々も大勢おり、この一帯で住民の協力なしに人探しをするのは、尋常ではない努力が必要となるでしょう。
 
▼人買い通り
 どぶ板通りとの境界付近には、人買いや犯罪親方と呼ばれる犯罪者たちが住んでおり、裏社会の人々からは人買い通りと呼ばれています。これは街に溢れる浮浪児たちの存在で不法行為を隠すためです。


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施設・名所


○種類

▼公共
 聖者の階段首吊りの木麻薬中毒患者収容所


○聖者の階段

 暗黒街に続く道へと抜ける、赤煉瓦造りの建物に挟まれた小さな階段ですが、その一番下にある壁に聖者の姿が描かれていることで知られています。この街の名所の1つで、この絵は50年以上も前から存在するそうですが、誰の作なのかは未だにわかっておりません。というのは、住人の知らぬ間に一晩で描かれており、専門家が鑑定しても誰のタッチなのか判別できないようです。
 なお、この付近ではよく行方不明者が出るので、街の住人には「悪魔の階段」と呼ばれることもあります。また、まれに絵が消えたと騒ぐ人が出たり、以前とは表情が違っていると言い出す人が現れたりと、何かと不思議が多い絵としても有名です。そのため、この壁画自体は美術評論家も認める神々しい芸術作品であるにもかかわらず、古くからこの街に住む人々の多くは、気味悪がって近づかないようです。


○首吊りの木

 無気味に折れ曲がった枝を広げる大樹で、郊外の丘の上にぽつんと立っています。人生に絶望した人たちは、何かに導かれるように夜の丘に赴き、朝にはこの木で首吊り死体となって発見されるのです。
 付近の人々の話によれば、幹に大きくあいた空洞からは、何か囁くような声が聞こえて来るのだといいます。また、夜中にこの樹を見た人間の中には、枝に無数の首吊り死体がぶら下がっていたと証言する者が少なからずおりますし、首吊り死体を回収する奇妙な黒いフードの男の噂も絶えません。そのため、以前に聖母教会がこの木を調査したことがあるのですが、特にこれといっておかしな点はありませんでした。ただ、あまりにも自殺が続くので、これを伐採して撤去しようという話も上がっています。


○麻薬中毒患者収容所(墓場病院)

 麻薬通りの近くの郊外には、重度の薬物中毒者を収容するために、かつての犯罪者更正施設を改修した麻薬患者専用の病院が建てられています。ここは麻薬で身を持ち崩した人々が最後に追いやられる場所で、治療目的ではなく周辺に被害が及ばないように隔離するための、いわば監獄のような施設です。麻薬中毒者の扱いは動物と殆どかわらないもので、牢のような部屋の中に鎖で繋がれていたり、暴れないようにベッドに縛り付けたまま忘れ去られ、そのまま死亡してしまうこともあるのだといいます。そのため、ここは付近の人々に墓場病院と呼ばれているようです。

・関連ジェラルド=バレル


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人物・集団


○集団

▼ベルモット団
 ベルモット兄弟を頭とするストリート・ギャングの一団です。30名近いメンバーを抱えており、暴力によって周辺の都市浮浪児たちを支配下に置こうとしています。恐喝、追い剥ぎ、麻薬の密売なども行なっている犯罪集団で、ギャングの「コンウォーリス一家」に多くの上納金を収めています。

・関連コンウォーリス一家


○人物

▼クライン=クロンダイク
 種族:白人  性別:男  年齢:45  職業:無職
 居住:首吊り街  出身:クラッサス市

限定情報:金銭上のトラブルで親友だった男を殺し、妻と子を置いてこの街へ逃げてきました。そのことを悔いていますが、かといって故郷に帰る勇気もないまま、酒に溺れて日々を過ごしています。普段はまったく自分のことを話そうとしませんが、酔って前後不覚になると、ときおり過去のことを漏らしてしまうことがあります。そのため、事件のことはギャングたちに知られてしまい、それにつけ込まれていろいろな仕事をさせられています。

一言:「近づくな。……しょせん俺は人殺しなんだ」


▼ジェラルド=バレル
 種族:白人  性別:男  年齢:52  職業:収容所/所長
 居住:慟哭通り  出身:アイリストール市

解説:麻薬通りの近くにある、麻薬中毒患者収容所(墓場病院)の所長です。非常に高圧的な物言いをし、ミスを許さない人物として知られています。収容所で彼に逆らえる者はおらず、殆ど独裁者のように振る舞っています。

限定情報:幼い頃、裁判官だった父親を犯罪者に殺害された過去を持っており、悪を激しく憎んでいます。そのため、病院の収容者は人間とは思えない悲惨な生活を強要されており、肉体的にも精神的にも追い込まれて、苦しみの中で死を迎えることになります。また、影では正義執行機関「断罪騎士団」の長を務めており、メンバーに犯罪者狩りを行わせています。

一言:「過ちには罪に見合う罰を、犯罪者には死を!」

・関連麻薬中毒患者収容所断罪騎士団アルバート=フリード


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基本情報施設・名所人物・集団