南西地区
蔦通り

基本情報施設・名所人物・集団


 

基本情報


○解説

 王朝が現在のウィンズリー朝へと移行した後に、高級住宅街として開発された地区です。開発当時は地方議員の邸宅が多かったのですが、現在ではその屋敷を譲り受けた富裕市民や、大きめのアパートを借りている中層市民の家族が高い割合を閉めています。
 この近辺には古い建物が多く、一昔前の風情ある街の顔を残しています。家々の外壁は街の名の由来である蔦に覆われており、陽光を浴びた緑が柔らかい印象を与えます。大通り沿いにもたくさんの街路樹が植えられていて、全体に爽やかで暖かい雰囲気に包まれています。


▼分類
・種別

 主に住宅地(中層〜中上層)
・交通
 普通
・治安
 やや良い〜良い
・警察
 環外西警察署
 


○地域

▼表通り
 白鞘街の屋敷ほどではありませんが、広い庭のある屋敷が多く立ち並んでいます。かつて貴族などが住んでいたことから、表通りに面している館の多くは意匠が凝らされた鉄柵で囲まれており、保安についても注意が払われています。
 
▼裏通り
 こじんまりとした住宅や小店舗が肩を並べており、大通りよりも鄙びた印象を与えます。店鋪は個人経営の雑貨屋、書店、装飾品の店などが多く、近くに学校があることから、午後には店で買い物をする学生の姿がよく見かけられます。
 
▼蒼波小道
 装飾などが施された瀟洒な小店が集まっている道で、青を基調とした建物が多いことから、このように呼ばれるようになりました。
 
▼学校街
 初等学校、中等学校、高等学校の3校と、教育省や市の教育委員会といった学校関係の建物が並ぶ一帯です。それぞれロンデニアの中でも規模の大きい学校であるため、朝夕になると通りは学生でごった返し、非常に歩きにくくなります。


先頭へ

 

施設・名所


○種類

▼一般
 工芸品店「マリン・マリン」喫茶店「月の水面」リヨン古書店

▼特殊
 蔦屋敷


○蔦屋敷

 かつては王国中で知らない者はいないと言われた海運商人、「ティエリー=ゴードン」氏の屋敷だった建物です。時代を感じさせる古くボロボロの建物で、年月をかけて絡みついた蔦は、そのままこの通りの歴史をあらわしているといえます。
 ゴードン氏は植民地との貿易で財をなした豪商で、最盛期には大貴族をも凌ぐ資産を有していたといいます。しかし、嵐で船を失ったことに始まり、その後は事故による子供の死、離縁、大病を患うなど不運続きで、最後に家は没落して財産のほとんど全てを失うという、波乱万丈の人生を送ることになります。その彼が最後に自らの命を断ったのがこの屋敷で、一代にして全てを掴み全てを失った彼の怨念が、この屋敷に染み付いているという噂です。
 現在は市の資産として登録されていますが、取り壊そうとすると現場作業員が事故に遭ったり、市庁舎で原因不明のボヤが出るなど何かと不幸が起こるため、利用されることもなく放置されたままとなっています。また、最近も窓の辺りに光る人影が見えたという噂や、屋根の上で誰かが踊っていたなどという話が、街の人々の間で流れています。


○工芸品店「マリン・マリン」

 小さな住宅を改装したガラス工芸の店で、カモメをあしらったマリンブルーの看板がかかっています。ここで1人暮らしをしている店長の「マリン=アレリア」は、店鋪の奥にある小さな工房でガラス装飾を作り、好きな時に店を開いて自分の作品を売っています。扱っている品は海をモチーフにしたデザインの、小さな置き物やアクセサリー類が多く、値段も手ごろなことから学生を中心とした若者たちに人気があります。
 もともと趣味でやっているような店なので、休業日は明確に定められておりません。また、暇な時は朝から真夜中まで開いていたりと、営業時間も実にいい加減です。時には店に立ち寄った学校帰りの少女たちと、奥の部屋でお茶を飲みながら談笑を続け、客が来たのに気付かずほったらかしのこともあります。なお、最近は色ガラスを組み合わせて絵をつくり、それをランプの明かりに透かして見る回転幻灯の作成に力を入れており、作業に没頭して店を開けていない日も多いようです。

・関連マリン=アレリア


○喫茶店「月の水面」

 蒼波小道にある落ち着いた雰囲気の喫茶店で、装飾や食器は全て青を基調とした色で揃えられています。壁中に様々な絵皿が飾ってあり、特に店の奥にある年代物の飾り棚に置かれている、4枚の大きな絵皿が目を引きます。
 それぞれの皿の中央には、老婦人、成人男性、成人女性、女の子が1人ずつ描かれています。彼らは家族だという話なのですが、実際は5枚セットのものらしく、あと1枚については行方がわかっておりません。この皿にはいわくがあり、夜になると笑顔のはずの肖像が悲し気なものとなり、時折すすり泣く声が聞こえると店長の「ドミニク=デュピア」は言います。これは家族が引き離されてしまったためだといい、彼女は残る一枚の皿の在り処を探しているのですが、いまだ行方知れずのままです。彼らの服装からすると、非常に身分の高い人物だとは想像できるのですが、出所も由来も明らかではなく、探すための手がかりは全くないようです。


○リヨン古書店

 店主の「リヨン=アーネット」は黒い服を好んで身につけ、さらには黒猫のトーマをいつも膝の上に置いて店番をしていることから、近所の子供たちからは魔女と呼ばれています。これは少し悪戯好きな彼女が、童話の内容を現実のように語って聞かせたり、魔女のふりをして子供達をからかったりすることも原因でしょう。このため、店には怪しげな魔道書が置いてあるという噂も流れていますが、あくまでも子供たちの間だけで伝わっているヨタ話であり、もちろん本気にする大人たちはおりません。なお、この店では掘り出し物が出ることもあるので、こまめに立ち寄る人も多いようです。


先頭へ

 

人物・集団


○人物

▼レモレイド=サドラン
 種族:白人  性別:男  年齢:51  職業:刑事
 居住:蔦通り  出身:アイリストール市

解説:中央警察署の捜査課長の役職にある、叩き上げの苦労人です。真面目な性格で、コツコツと努力してこの地位までのぼりつめたのですが、つい2年程前に「フェオリナ=ゼノン」の上司になったことから、彼の人生にはケチがつきはじめました。彼女が何かやらかす度にその対応に四苦八苦することになり、最近は胃薬を手放せないようです。

一言:「うっ……胃が……」

・関連中央警察署フェオリア=ゼノン


▼怪盗マダム ディアナ=フィールライム
 種族:白人  性別:女  年齢:25  職業:主婦/怪盗
 居住:蔦通り  出身:アイリストール市

解説:貧民上がりの女性で、その頃の苦労の記憶が未だに忘れられず、今の夫に見初められて結婚して以後も倹約を心がけており、いい奥さんだと近所でも評判です。

限定情報:現在のところは誰も知らないことですが、彼女は夫の出張中に盗みを働いており、それで得た利益をすべて貧しい人たちに分け与えています。しかし、狙う相手は金持ちばかりで、しかも脱税など出所のわからない財産ばかりを盗み出すので、警察に被害が届け出られることはありません。

一言:「人はパンと家と暖炉のぬくもりを求めているのです」


▼ギュネス=マイルバーン
 種族:白人  性別:男  年齢:42  職業:穀物商/社長
 居住:蔦通り  出身:カルロッティ市

解説:有名な穀物商であるラウン商会の副社長だった人物ですが、裏取引で元社長を追い落とし、現在の社長の座につきました。何かと悪い噂の絶えない男で、その強引なやり口で同業者からは嫌われています。

一言:「これは正当な取り引きですよ」

・関連ギナイヒ=ラウン


▼マリン=アレリア
 種族:白人と黄人のハーフ  性別:女  年齢:22  職業:ガラス細工職人
 居住:蔦通り/蒼波小道  出身:アイリストール市

解説:蒼波小道にあるガラス装飾の店「マリン・マリン」の店主で、ガラス細工職人として活動しています。彼女は好きな時に作品をつくり、好きな時に店を開いてそれを売るといった生活を送っています。
 このように自由気ままに生きることが出来るのは、マリンが石炭商人として有名な「ボレリー=キャンベル」とその愛人の間に生まれた娘だからです。彼女の母親は6年程前に事故で他界しており、現在は1人で生活をしています。父のキャンベル氏から手当てを貰うことなく暮らしていますが、工房を兼ねた住宅はキャンベル氏から借りているものですし、常連客の中には父親の知り合いも大勢おり、実際には父親に多くの援助を受けて生活している状況にあります。
 愛人の娘ということで周囲から不当な扱いを受けないよう、私立のお嬢様学校で寮生活をさせられていた彼女は、世間知らずでおっとりした性格の持ち主です。そういったこともあってか、彼女は売り上げにこだわることも特になく、ただ好きなことだけをしてのんびり暮らす生活に不安を感じておりません。しかし、父親は彼女の将来のことが心配で、頻繁に縁談話を持ちかけたりしています。
 なお、キャンベル氏の本妻には3人の子供がいますが、兄と姉にあたる2人はマリンの存在を認めておらず、顔を合わせたこともありません。しかし、中央高等学校に通っている弟のリシェリーはマリンにとても懐いており、ときどき店を訪れては仕事の手伝いをしたり、週末に遊びに来てそのまま泊まってゆくこともあるようです。

一言:「さてと、今日は何をつくろうかしらね♪」

・関連工芸品店「マリン・マリン」


先頭へ

 


基本情報施設・名所人物・集団