基本情報
○解説
花と言えば女性のことであり、花屋と言えば娼館を指す隠語となります。ここは貧困に苦しむ女性たちが大勢働く歓楽街であり、その名の通り色とりどりの花が咲いている場所なのです。
主に中層から中下層の市民が訪れる場所で、周辺にはこじんまりとした感じの建物が多くなります。昼間は眠っているかのようなたたずまいで、路上を清掃して小銭を貰う都市浮浪児や、ゴミ漁りをする浮浪者の姿が目立ちます。しかし、夕方頃からは人が集まりはじめ、暗くなる頃には活気溢れる街へと変貌します。
| ▼分類 ・種別： 主に歓楽街 ・交通： 普通〜やや多い ・治安： やや悪い ・警察： 環外南警察署 |
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○その他
▼娼館
この辺りには娼館が多く、身売りされた女性たちが客を取ったり、冬でも扇情的な衣装で店の前で客引きをしています。また、薄暗い裏通りの方でも、本業だけでは食べてゆけない者たちが、わずかな金のために淫猥な言葉を操って男たちを誘惑します。
娼館の中には、客の目を引くために派手に装った店や異国風の珍しいデザインの建物があり、一見しただけでは何の店かわからないようなものも数多く存在します。また、逆に客が入りやすいように喫茶店風の外観になっていたり、隠れ家的な雰囲気を楽しんでもらうために入り口を隠してある店など、妙なところで凝っているのがこの通りの特徴でしょう。
それから、この界隈は若い娘が多い場所ではありますが、ローティーンの少女たちを働かせている店も少なくありません。こういった少女売春をしている娘たちをリトルラバーズと呼びますが、彼女たちのような存在が当たり前のように受け入れられている現状が、この都市の歪みを象徴しているといえるでしょう。
▼大衆劇場
住宅地と色街との間には、小劇場や酒場を兼ねた芝居小屋が多く立ち並んでいます。これらは歓楽街では珍しく、昼から営業を開始しています。大衆劇場で行なわれる芝居は喜劇や風刺劇が多く、庶民はこういった場所で日頃の憂さを晴らします。
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施設・名所
○種類
▼一般
大衆酒場「古井戸亭」、レストラン＆バー「黒真珠」、娼館「歌姫の一夜亭」、娼館「桃楼館」、娼館「青薔薇館」
▼特殊
壁の中のマリア
○大衆酒場「古井戸亭」
ダンスホールを兼ねた酒場で、いつも舞台では大道芸人が芸や音楽を披露しています。店内はとても広く、テーブルの間で踊り騒ぐ者や、賭博やカードゲームで盛り上がる人々で非常に賑わっています。
ここは既に枯れてしまった井戸の上の建てられた酒場で、厨房の奥には井戸の底に通じる螺旋階段があります。ここの床土は今もうっすらと湧き水で湿っており、外部より気温が低くなっています。そのため、店では室として用いており、保存用の食品が置かれています。
○レストラン＆バー「黒真珠」
レストランとピアノバーを兼ねた落ち着いた雰囲気の店で、著名人や文化人が訪れることで知られています。店内を飾るアンティーク調の調度品や、カウンターを飾る鮮やかな薔薇、あるいは壁に掛かっている落ちついた色合いの風景画などが、上品な空気を醸し出しています。
レストランとバーの間には古いピアノが置かれており、歌姫の「シェリー＝モア」が静かな調べに合わせて、心を震わせる美しい歌声を響かせています。この店は、かつて天使の歌声と呼ばれた少年、「ウィリアム＝メイリー」が勤めていたことでも有名です。残念ながら、彼は若くして亡くなってしまいましたが、その歌声を懐かしんでこの店を訪れる年輩の客も多いそうです。
・関連：ウィリアム＝メイリー
○娼館「歌姫の一夜亭」
樫の木の頑丈な六角形の扉で有名な娼館で、歌や踊りを披露して宴を盛り上げる、芸子売春婦を大勢雇っています。彼女らの多くは音楽の才に長けており、話術も非常に達者です。床を共にせずとも楽しい時間を過ごせるため、長い時間ここに入り浸る客が大勢います。
店に入ってすぐの場所は、通常の酒場と同じような構造になっていますが、１階の奥は大部屋と中部屋があり、団体の客を迎え入れることが出来ます。また、２階には個室がしつらえており、気に入った歌姫たちと一夜を過ごすことが出来ます。
・関連：キサラ＝メイム
○娼館「桃楼館」
アパートを娼館に改装した建物で、全ての部屋が異なる内装になっているのが特徴です。たとえば、貴族の寝室風の部屋や南国の雰囲気を醸し出した部屋、あるいは全体を赤系の色調で統一した部屋や鏡に囲まれた部屋など、特徴ある様々な内装を楽しむことが出来ます。
○娼館「青薔薇館」
百花通りの隅にある貴族の邸宅を思わせる建物で、いわゆる高級娼館と呼ばれる場所となります。この店は外壁に意匠化された薔薇のレリーフがあるだけで、看板らしきものは見当たりません。というのも、この店に訪れるのは一部の選ばれた者だけであり、人々に広く知らしめる必要はないからです。
この店は様々な場所に支店があるようで、他国の大きな都市で同じレリーフをみかけることがあります。しかし、本店がどこにあり、誰がトップ経営者であるのかを知る者は誰もおりません。そういった不思議はありますが、この店にいる娼婦たちの質は確かなものであり、様々な快楽を味わってきた客たちにも、値段以上の喜びを与えてくれます。
○壁の中のマリア
この界隈の暗がりの壁に突然あらわれるという、女性の顔に見える染みのことです。背後から不意に名前を呼ばれて振り向くと、若い女性の顔に見える染みが壁に浮かび上がり、涙を流して消えてゆくという噂があります。
この染みは決まった場所にあるわけではなく、百花通りの方々で目撃されています。マリアと呼ばれている理由は、かつて「マリアータ」という名の娼婦が客の１人に殺され、死体が壁に塗り込められたという事件が起こっており、壁にあらわれる女性の顔がその娘によく似ているという話があるためです。マリアータを殺した犯人は逮捕されたのですが、どこにマリアータの死体を隠したのかを自供する前に、拘置所で首を吊って自殺しています。そのため、自分の死体を探して欲しいと願うマリアータが、影となって壁にあらわれるのだという説が広まっていますが、真相については今のところ誰もわかっておりません。
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人物・集団
▼闇梟
百花通りを中心に、都市の中南部一帯を支配している裏組合です。しかし、つい最近のことですが、長がコンウォーリス一家に暗殺されるという事件が起こり、組織は大きな混乱に陥っています。というのは、跡目争いの末に組合長の座についたのが、裏の世界とは全く無縁に過ごして来た、弱冠２０歳の長の１人娘だったからです。
彼女を長の座につけたのは組織のナンバー２を中心とする勢力ですが、彼らにとって誤算だったのは、新しい長が単なるお飾りのままではおらず、組織運営に事細かく口を出してくることです。これによって組織は内部で分裂しかかっており、ギャングたちはこの隙をついて、暗殺や引き抜き工作などの様々な揺さぶりをかけてきている状態です。
・仕事：全般
・本部：百花通り
・地域：南東地区、南西地区、その他（環状道路、東部地区、新市街など）
・関連：ティファ＝ミッドリュン、ジーナ＝オルテンシア
▼お嬢 ティファ＝ミッドリュン
種族：白人 性別：女 年齢：２０ 職業：裏組合長
居住：百花通り 出身：アイリストール市
解説：裏組合「闇梟」の組合長の１人娘でしたが、その長がギャングに暗殺されたために跡目を継ぐ羽目になってしまいました。もとより裏の世界とは無縁の生活をしてきたため、何をしていいのか全然わかっていません。ただ、度胸だけは父親譲りで、ギャングたちの嫌がらせにも敢然と立ち向かいます。女性という立場から、組織が経営している娼館などをよく思っておらず、その件に関しては部下と意見が対立しています。また、それ以外の色々な事柄にも細かく口出しするため、組織は内部で分裂しかかっており、非常に険しい立場に立たされているようです。
一言：「みんなして金、金、金、金って、まったくもう！」
・関連：裏組合「闇梟」
▼ジーナ＝オルテンシア
種族：白人 性別：女 年齢：５６ 職業：故売屋
居住：百花通り 出身：港町カルドレン
解説：裏組合「闇梟」の下で働く故売屋で、目利きの確かさと金にうるさいことで知られています。先代の組合長と対等に話すことができた数少ない人間の１人であり、その片腕として数々の修羅場をくぐり抜けてきたようです。とてもしたたかな人物で、やり手ババア、ドケチなどと言われておりますが、面倒見がよく的確なアドバイスも与えてくれるため、彼女を頼って相談に訪れる人間は数多くいます。
現在の彼女の悩み事は、分裂しかかっている組を維持しつつ、新しく長となったティファを守ることです。彼女は自身の影響力の大きさを心得ているため、特定の派閥に片寄るような発言をしたり、幹部の誰かと個人的に会うようなことは避けています。そうして、勢力争いにはなるべく関わらないようにしながら、ティファを影から支えているようです。
一言：「いいかい、よくお聞き。物事の本質ってのはねえ……」
・関連：裏組合「闇梟」、ティファ＝ミッドリュン
▼死にたがり キサラ＝メイム
種族：白人 性別：女 年齢：１４ 職業：ウェイトレス＆娼婦
居住：百花通り 出身：クラッサス市
解説：クラッサス市から身売りされてきた娘で、「歌姫の一夜」亭で働いています。きれいに着飾ってはいてもどことなく影のある風貌で、愛想笑いもほどほどにしかしません。彼女は初めて客をとらされた時に舌を噛みきって死のうとし、その後も何度か自殺騒ぎを起こしています。今では「死にたがりのキサラ」と呼ばれ、誰も彼女を指名しようとはしません。しかし、つい先日のことですが、白鞘街の貴族の１人が彼女を養女として見受けしたいと申し出ており、店長はこの厄介な娘を早々に売り渡す心づもりでいます。
一言：「だって、誰も私のこといらないでしょ？」
・関連：娼館「歌姫の一夜亭」
▼アル中娼婦 ヘレン＝アレモニア
種族：白人 性別：女 年齢：２２ 職業：娼婦
居住：百花通り 出身：ルーイ村
解説：酒が強いことから客たちに飲まされているうちに、今ではすっかりアルコール中毒になってしまった娼婦です。しかし、禁断症状が出るようになってから、彼女は不思議な幻視を見るようになり、そのことで近所では評判になっています。というのは、幻視の内容が犯罪に関係するもので、その事件に関係ないはずの彼女が、犯人の顔や特徴を次々と言い当てていったからです。しかし、幻視は非常に瞬間的に起こるもので、どの事件かを選んで情報が得られるわけではないため、現在のところは話題づくりにしか役立っていないようです。
一言：「どうせなら、金儲けに繋がる夢が見たいもんだねえ……」
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