南東地区
夜店通り

基本情報施設・名所人物・集団


 

基本情報


○解説

 夜遅くまで開いている店が多いことから、このように呼ばれるようになりました。歓楽街とは違って酒場が主というわけではなく、昼間も人通りの多い場所です。しかし、この街の本当の姿はやはり夜にあり、ガス燈の灯りが輝くほど賑やかになってゆきます。
 ここは中層市民のためのアミューズメントスポットであり、食堂、大衆酒場、露店、小劇場、芝居小屋といった店が集まっています。広場に集まる芸人たちは様々な楽しみを提供してくれますし、大衆劇場の風刺芝居は普段の鬱憤を晴らすには最高の見せ物です。夏は通りの両側に屋台が並び、安い料金でお腹をいっぱいにすることが出来ます。
 何より重要なのは、ここは歓楽街と違って夜でもそれほど危険はないということです。スリなどの小さな犯罪はちょくちょく起こりますが、夜中まで街路灯が点いているため、怪我をするような目に遭うことはまれでしょう。また、あまり持ち合わせがなくても色々と楽しめるため、特に若い人たちには歓楽街よりも人気のある場所です。


▼分類
・種別

 商業地
 歓楽街
・交通
 やや多い
・治安
 普通(〜やや悪い)
・警察
 環外南警察署
 


○地域

▼芸人街
 夜店通りでは客寄せのために商店組合が大道芸人を積極的に呼び寄せて、芸を披露する場所を提供しています。このために広場の隅に設置されたステージと、それに面する道の辺りを芸人街と呼び、この近辺でも特に人が集まる場所として知られています。
 
▼アクセサリー小路
 若者向けの店鋪が集まっている裏道です。鋪道の隅や店々の間では、チープアーティストと呼ばれる細工師たちが、自作のアクセサリーを並べて売っています。
 
▼星屑通り
 芸人広場から平民通りへと続く道で、周辺には役者志望の若者や百花通りで働く娘たちが多く住んでいます。
 
▼無人街
 過去に変異現象と思われる事件によって、一時的に街の人々の全てが姿を消したことから、このように呼ばれるようになりました。この付近では廃虚や空き地などが目立ちますが、これは失踪した者がそのまま戻らず、持ち主不在のまま市に接収されてしまった土地です。このような場所には浮浪者や犯罪者たちが住み着いているため、治安のあまりよくない地域といえます。
 
▼日陰通り
 住宅街を南北に走るやや幅の狭い通りで、債務者監獄が置かれていることで知られています。


先頭へ

 

施設・名所


○種類

▼公共
 芸人広場債務者監獄異本博物館

▼一般
 旅亭「ピンクマーメイド」喫茶店「コバルト・レイン」ダーツ小屋


○芸人広場

 夜店通りの中央に位置する広場で、様々な露店や大道芸人たちが集まる賑やかな場所です。広場の隅にはステージが設置されており、大道芸人たちが順番に芸を披露します。
 しかし、ここが賑わうのは夕方になってからで、昼間は非常に閑散とした殺風景な広場です。普段は、散歩の途中にベンチで休む老人や、立ち話をする近所の主婦たちの姿がちらほら見られるだけで、日が差すうちに夜の光景を想像することは出来ません。やはり、この街の太陽は街灯と軒先に吊るされたランプであり、何より道行く人々の弾けるような笑顔が、この街を明るく照らしてくれるのでしょう。


○債務者監獄

 借金を返せずに訴えられた者が投獄される場所で、日陰通りに設置されています。ここは普通の監獄とは違って夜間に拘束されるだけで、贅沢な暮らしや逃亡さえしなければ、普段とさして変わらない生活を送ることが可能です。


○旅亭「ピンクマーメイド」

 現在ではだいぶ珍しくなった、インシアターと呼ばれる形式の店です。中庭に舞台があり、1階は酒場、2階は宿屋になっています。昔はこの舞台で旅芸人たちが音楽や大道芸を披露していたのですが、現在は街に住む大道芸人が芸を見せておひねりを貰ったり、小さな劇団が飛び入りで大衆劇を披露したりします。
 建物はコの字型をしていて、3方から舞台を見ることが出来ます。舞台が使われていない時は、客たちが中庭に出て酒を飲んだり、赤ら顔で不格好なダンスを披露する姿が見られます。なお、冬場や雨の強い日は舞台を利用できないため、店の中に音楽屋を呼んでダンスホールとして営業を行なっています。


○喫茶店「コバルト・レイン」

 セルセティア風の装飾が施された喫茶店で、異国情緒を味わうことが出来ます。この店では7羽のインコが放し飼いになっており、いつも自由に動き回っています。
 常にマスターの肩に止まっているリーン、梁の上をせわしなく飛び回るコマなど、それぞれ違った性格のインコたちですが、特に厄介なのが10年以上飼っているという、鮮やかなコバルトの色の羽根をしたピックです。彼は恐れも遠慮も知らない性格で、客たちのテーブルから勝手に餌を掠め取ったり、頭の上に止まって平然とくつろいだり、読んでいる新聞を端から食いちぎっていったりします。しかし、常連たちの多くは、インコたちに会うためにこの店にやって来るようなものですから、何をされても怒らず苦笑するだけで済ませてしまいます。
 店に置かれている幾つかのガラスケースの中には、他国の装飾品がたくさん飾られていますが、これは海運会社で働いているマスターの弟が輸入しているものです。その殆どは商品として扱っているものであり、マスターに言えば買い求めることが出来ます。なお、セルセティアでは内戦が起こっていることもあって、最近はペルソニア産の小物が多くなっています。


○ダーツ小屋

 もともとは数字の書かれた札にダーツを投げ、当たった番号のおもちゃが貰えるという、子供向けの露店小屋でした。しかし、夢中になる大人たちが少しずつあらわれ、いつしか腕自慢が集まる競技場として有名になりました。もともとの子供向けの商売も昼から夕方にかけて行なわれていますが、午後6時以降になると壁にダーツ盤がかけられ、景品台は即席のカウンターへと姿を変え、立ち飲み屋風のダーツ場として夜の営業が開始されるのです。
 ここでは定期的に競技会が行なわれ、賞金を懸けて熾烈なゲームが繰り広げられます。最近では、わざわさ市外から参加する者や、家族連れで見物に訪れる人々もあらわれ、店の中だけでは客がおさまりきらないため、大会の時は芸人広場の一角を利用するようになっています。競技の合間に行なわれる、曲投げ芸人のエキシビジョンも人気で、その見事な技に観客から大きな拍手が送られます。


○異本博物館

 無人街にある個人図書館で、奇書、珍書、稀覯本、オカルト本など、古今東西の様々な書物が集められています。建物は館長である「ハビエル=エイガー」の私邸の離れを改装したものですが、錆び付いた門扉や蔦に被われた煉瓦の外壁、あるいは殆ど手入れされていない庭草や、濁った水と藻で底の見えない水盤など、人が住んでいるとは思えない外観をしています。
 受け付けで出迎える黒いチョーカーをつけた喪服の女性は、2度死んだ女として有名な「ローラ=レスター」女史で、まるで年齢を感じさせない妖しい美貌と口元にたたえた微笑みが、屋敷を包み込む沈黙をより深いものにしています。また、ホールに飾られている彫刻や騎士鎧は、今にも動きだしそうな様子で佇んでおりますし、廊下に並ぶ肖像画は常に自分に目を向け、監視されているような居心地の悪さを与えます。
 閲覧室の中はいつも薄暗く、書架に並ぶ「拷問百科」「魔女の系譜」「悪魔大全」といったタイトルが、この館をより陰鬱な雰囲気に彩っています。書物の多くは古いもので、めくったページの端にある滲んだ染みには、まるで毒でも含まれているかのような錯覚を覚えます。
 このような図書館に訪れる人々もやはり変わり者ばかりで、愛人である貴族夫人との性生活を赤裸々に描いた「赤の雫」を発表し、投獄された経験のある小説家「アクセル=バイラー」や、悪魔研究家を自称する霊媒女「メルオラ=ストークス」、そして神と悪魔は同一の存在だという解釈を元に脚本を書き上げ、演劇界から追放同然の身である異端の舞台脚本家「アレイスター=ラナンシー」など、何かと問題のある人物ばかりがここに集まっています。彼らは館長ハビエルが主催するクラブ「万書会」のメンバーでもあり、夜な夜な集会を開いては、奇書研究や創作活動を行なっているようです。
 
▼追加情報
 この図書館の奥には、異端の宗教書や発禁処分になった小説の原盤などを収蔵した、秘密図書館が隠してあると言われています。また、万書会は悪魔崇拝の集団だという話もあり、警察や教会からマークされているという噂です。
 
・入館:500エラン
・関連万書会ローラ=レスター


先頭へ

 

人物・集団


○集団

▼人獣博覧館

◇限定情報
 夜店通りにある見せ物小屋「マッコンの館」では、動物芸や国外産の珍しい生物を披露して、客たちを楽しませています。しかし、この店の本当の姿は、地下に密かに設けられた特別展示場にあります。ここでは変異の影響を受けて奇形になった人間を見せ物にしたり、飼い慣らした凶暴な怪物を闘わせて賭事にしたりと、とても表沙汰には出来ないようなことが行われています。なお、地下室は下水道に繋がっており、ここを通じて動物が運び込まれます。

・関連セクト=マッコン


▼万書会
 無人街にある異本博物館という個人図書館を集会場とするクラブで、その館長である「ハビエル=エイガー」氏が主催しています。彼らは夜な夜な屋敷に集まっては、奇書や異端の思想についての研究を行なったり、共同で文学作品の創作を手掛けたりしているようです。なお、このクラブは悪魔崇拝の集団だという話もあり、警察や教会からマークされているという噂が流れています。

・関連異本博物館


○人物

▼ロス=アイプリッツ
 種族:白人  性別:男  年齢:22  職業:装飾職人
 居住:平民通り  出身:アイリストール市

解説:チープアーティストと呼ばれる装飾売りで、街頭で安いペンダントや指輪などを売って日銭を稼いでいます。しかし、彼には裏の顔があり、ギャングの手下として路上で麻薬を売っています。彼の口やかましい幼なじみは、これをやめさせようと懸命に説得を繰り返していますが、まるで聞き入れようとはしません。というのは、彼はいつか自分の店を持ちたいと考えていて、そのための資金を手っ取り早く稼ぐために麻薬を売っているからです。将来的にはこの街を出て行くつもりのようですが、ギャングの手から逃げ出すのは容易なことではなく、その先行きが危ぶまれます。

一言:「世の中って金だろ?」


▼セクト=マッコン
 種族:白人  性別:男  年齢:42  職業:見せ物小屋
 居住:夜店通り  出身:ケイディアン市

解説:見せ物小屋「マッコンの館」を経営している男です。ここでは芸を仕込んだ動物や、外国やペルソニア大陸の奇妙な生き物を集めて見せ物にしています。

限定情報:彼の店の地下では、変異の影響を受けて奇形になった人間を見せ物にしたり、飼い慣らした凶暴な怪物を闘わせて賭事にしたりと、とても表には知られるわけにはいかないようなことを行っています。彼はこういったことに対して、まるで罪悪感というものを感じておらず、面白おかしく暮らすことだけを考えて生きています。

一言:「そうだ、お前らは見せ物なんだよ……」

・関連人獣博覧館


▼2度死んだ女 ローラ=レスター
 種族:白人  性別:女  年齢:39  職業:図書館受付
 居住:無人街  出身:不明

解説:異本博物館と呼ばれる個人図書館で受付をしている女性で、いつも喪服に身をつつみ、首には黒いチョーカーをつけています。陶器のような白い肌に、艶やかな長い黒髪の美貌の女性で、もうすぐ40歳に届こうという年齢ですが、見た目は20代後半くらいにしか見えません。
 ローラには、かつて2度殺害されたという逸話があります。そして、彼女を殺したという人物はいずれも自殺しており、人々は彼女を恐れて近づこうとはしません。彼女自身も、積極的に他人と交わろうという素振りを見せず、必要最小限の買い物などをする以外には、殆ど家から出ることもないようです。

一言:「死は永遠のはじまり、その入り口は深淵の奥底に……」

・関連異本博物館万書会


▼ヴィム=ティアラ
 種族:白人  性別:男  年齢:25  職業:装飾職人
 居住:レントン氏通り  出身:レンフォード

解説:路上で自作の装飾を売っているチープアーティストで、貝殻を組み合わせてつくった花のアクセサリーなどを売っています。彼の作品は正直言って微妙な出来で、評判という意味でその名が上がることはないのですが、買ってくれるまで客を逃さないことで知られています。そのために披露される彼の話術は非常に巧みで、面白おかしく脚色された身の上話のレパートリーは、並べてある彼の作品の数を軽く上回るでしょう。彼の前に立った人間は、アイリストールでも指折りの実力を持つ話屋に、その傑作を聞かせてもらった礼としてお金を払い、土産にガラクタを受け取って帰るというわけなのです。彼の身近な人間はしきりに転職を進めるのですが、彼は決して夢を諦めようとはせず、今日も丹精を込めて作品をつくり続けています。

一言:「ああ、思い出した。そういえばこの間……」


先頭へ

 


基本情報施設・名所人物・集団