基本情報
○解説
アイリストールの北西部にある旧市街は、正式にはアイリストール市バローシャ地区といいます。この地区は3km四方もあり、都市といってよいほどの面積を持っています。
ここは聖歴65年に誕生したミュンフ朝ロンデニア王国の、最初の首都に定められた街です。その後、聖歴97年に現在のアイリストール市に首都が移転してからも、しばらくこの地区には市場などの機能が置かれたままとなり、交易を通じて発展を続けてきました。しかし、やがてアイリストールの周辺へと人や物が集まるようになり、この地域は少しずつ廃れてゆくことになります。
旧市街が再び活気を取り戻しはじめるのは、人口の増加が顕著となる聖歴700年代に入ってからのことです。首都の中心から5kmほどしか離れておらず、静かな環境が整っていることから、住宅地や郊外別荘地として人気を集めるようになったのです。新大陸への渡航を果たしたエスティリオーネも、この街の郊外に別荘を持っており、現在は静かに旅の疲れを癒しております。
▼分類
・種別:
さまざま
・交通:
普通
・治安:
普通
・警察:
北部警察署(バローシャ署)
▼古都通り
バローシャ城の前を通る道のことで、周辺には古につくられた建物が数多く残されています。
○その他
▼再開発計画
旧市街は古い時代の街並みを多く残しており、道幅も狭く入り組んだ地域がかしこに存在します。風情あふれる落ち着いた景観の町ではありますが、これは交通の面から見ると非常に不便で、今後の発展を考えた場合、将来的に多くの問題を抱えることは必至となります。そのため、現在は街の再開発が検討されており、つい最近になって整備計画の懸賞募集が発表されました。名を売り込もうとする若い建築家たちは、すぐにこの街の調査と設計に入り、既に幾つかの設計図が送られて来ています。
▼下水道改修計画
下水は未だ河川に直接流されているため、その外観や悪臭の問題から多くの苦情があがっています。特にミンキッシュ川およびウェッジ運河の汚染はひどく、工業地帯を流れる水はコーヒー色に染まっています。そのため、近年ではなるべく都市から離れた旧市街の北へ流すために、新たな下水路と処理場の設置が行なわれています。
この公共事業は増加する貧民を救済雇用するための措置であると同時に、都市人口を郊外へと分散する効果をも期待するもので、旧市街へと移り住む労働者も増えて来ました。しかし、今度は付近に住む富裕層から、治安の悪化を心配する声が聞かれるようになっています。
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施設・名所
○種類
▼公共
城塞地区、バローシャ城、旧貴族街、地下古道、北部警察署(バローシャ署)、マルレーン淑女学院、陸軍士官学校、王立博物館、バローシャ監獄、王立中央銀行▼一般
ホテル「ミュンシャン」
○城塞地区
バローシャ地区の中部(エルザ運河南岸)にある、城塞や遺跡などが置かれている地域です。城塞前を通る道は古都通りと呼ばれており、古につくられた建物が数多く残されています。
▼バローシャ城
ロンデニア王国の建国前から存在する城塞で、エルザ運河に接しています。ここは聖歴65年にロンデニアを建国したミュンフ家の城ですが、聖歴97年にアイリストールへと遷都を行なったために、長らく砦として使われてきました。そのため、住居としては最低限の機能しか備えておらず、面積もそれほど大きいものではありません。現在は観光のために一般公開されており、内部には当時の武具や衣装などが飾られています。
▼旧貴族街
バローシャ城の近くに建てられた、かつての貴族たちの邸宅が並ぶ地域です。現在、これらの多くは誰も住んでおらず、国家が管理する史跡として一般公開されています。また、この一部は改装されて国営ホテルとして営業を行なっており、上流社会に憧れる中層階級の人々に人気があります。
▼地下古道
バローシャ城と貴族の邸宅の一部を繋ぐ、石造りの地下道が存在します。これは脱出用の秘密の通路と考えられているもので、身を屈めて通らなければならない非常に窮屈な道です。この施設は一般公開されていますが、夜間は柵に鍵がかけられてしまいます。
▼ホテル「ミュンシャン」
ミュンフ朝時代の館を改造した高級志向の民営ホテルで、当時の舞踏会を再現したパーティが毎夜開かれます。当時の衣装のレプリカもレンタルしており、貴族になった気分で夜会を楽しむことが出来ます。
このホテルには幽霊の間と呼ばれる部屋があり、夜に壮麗な衣装に身を包んだ貴族の娘と思われる霊が出没するようです。この霊は特に悪さをすることはなく、むしろ彼女を見た者には幸運が訪れるという噂があるため、いつも予約で一杯の状況です。
○北部警察署(バローシャ署)
旧市街およびその周辺地域を管轄とする街区警察です。最も古くから存在する市警の1つで、ここの署員だけは古い時代のデザインを継承した制服を着ているいるため、オールド・ガードもしくはクラシック・ガードと呼ばれたりしています。
・管轄:旧市街(バローシャ地区)、エーゼルバインなど
○マルレーン淑女学院
旧市街の東の外れにある、良妻賢母を育てることを目的とした中高一貫の女学校です。学生の殆どは貴族や資産家などの良家の子女で、校舎の外観もそれに相応しい歴史ある立派なものです。
生徒たちは全員、寄宿舎に入って規則正しい生活を送らなければなりません。授業も通常のカリキュラムに加えて、礼儀作法や社交ダンスを教える科目が設けられています。非常に厳しい教育を行なう学校として知られており、卒業時には皆、立派なレディとなってここを巣立ってゆきます。
○陸軍士官学校
旧市街の中心からだいぶ離れた郊外地にある、約100年の歴史を持つ陸軍士官の養成学校です。有名な建築家「リュースフェル」sが設計した壮麗で美しい外観の建物であり、敷地内には寮舎も置かれています。隣には陸軍の演習場が併設されており、これを合わせると非常に広大な敷地となりますが、実際に彼らが活躍する機会がないことから、無駄なものの例えによく挙げられます。
○王立博物館
城塞地区の近くに置かれている博物館で、かつての貴族の邸宅を改装したものです。ここには王家が所蔵する美術品の一部や、市外地にあるパトリューク遺跡の発掘物などが展示されています。
○バローシャ監獄
旧市街の北部郊外には、中級〜重犯罪で逮捕された者が服役するバローシャ監獄があります。この周辺は湿地帯が広がっており、幾つもの底なし沼が口を開いています。また、泥の下には変異体が潜んでいるといい、街まで逃げ切る前に命を落とした脱獄囚も少なからず存在します。
○王立中央銀行
ロンデニアにおける唯一の紙幣発行権を持つ銀行で、一般業務は行なっておりません。敷地内には造幣所の1つが併設されています。建物の隣にはコインや紙幣の博物館があり、古代の通貨や記念紙幣などを見ることが出来ます。
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人物・集団
▼神の鍵束
旧市街に本部を置いておりますが、アイリストール市内だけでなく、その周辺地域でも広く活動を行なっています。彼らは少し変わった組織で、依頼に応じて盗みを働くプロの窃盗集団です。顧客は裏社会の人間ばかりとは限らないようで、貴族や一般の企業から依頼を受けることもあるといいますし、過去には政府の仕事を手掛けたという噂もあります。
組合員にはそれぞれ得意分野があり、チームを組んで仕事を行ないます。支部はチームごとに設けられており、市内の様々な場所に潜伏しています。・仕事:主に窃盗
・本部:旧市街
・地域:不定
▼長老派
もともとは灰色蜘蛛の一員だったのですが、高圧的なギャングに与することをよしとせず、都市西部から旧市街へと活動の拠点を移した集団です。長老という徒名を持つアドゥールが長であるため、このように呼ばれています。・関連:裏組合の「神の鍵束」および「川鴉」と付き合いがあります。
▼リフレック聖派
主に旧市街で活動している、教義より慈悲に重きを置く聖母教会の異端派です。時には教会の権威と対立することがあり、現在では正式な教会の一員としては認められておりません。特に問題行動を取るわけではありませんが、過剰な人権保護団体として政府からも少し厄介がられています。
▼エスティリオーネ=アークセルド
種族:白人 性別:男 年齢:43 職業:航海士
居住:旧市街 出身:ケイディアン市解説:西海を渡って新大陸を発見した英雄で、新大陸エスティリオは彼の名からとってつけられました。彼はこの業績によって、騎士に相当する名誉位である「海務卿」の地位を得ています。昨年には彼の航海日誌をまとめた「西海航記」が発売されており、今でも品切れ状態が続いています。彼は新大陸への航海を最後に引退しており、現在は旧市街の郊外にある別荘で、旅の疲れを癒しながらのんびりと生活しています。
一言:「死んだ魚はもう跳ねない……そういうことだよ」
▼ランディ=リズナー
種族:白人 性別:男 年齢:26 職業:設計技師
居住:マーブル街 出身:アスペリオス市解説:旧市街で行なわれている新規の下水道工事について、設計および監督を任されている人物です。非常に優秀な成績でロンデニア国立大学を卒業した、新しい設計技術に精通した気鋭の設計士ですが、現場で働く工員たちには「童顔で眼鏡をかけた口うるさいチビ」としか思われていません。それは何をするにも彼がいちいち口を出すのが原因で、毎日のように現場と衝突しています。
一言:「ああ、そこそこ、違うって!」
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