基本情報
○解説
都市の南東部に広がる新興の工業区で、川岸には水を大量に必要とする鉄鋼や機械製品の工場が並んでいます。もともとこの周辺は湿地帯でしたが、政府の開発計画によって聖歴740年代に埋め立てられ、工場用地として造成されました。
工場の高い煙突からは黒煙がたなびき、機械がハンマーを打ち鳴らしたり巨大な歯車の動く音が、昼夜を問わず街に響き渡ります。加えて、貨物運搬用の巡回鉄道が、大量の石炭や完成した製品を積んで走り回る様を見ていると、まるで戦場にいるかのような慌ただしい気分にさせられます。
これらを活気溢れる新しい時代の象徴と見る人もいれば、灰色に染まった空から目を背けて昔を懐かしむ者も少なくはありません。しかし、そんな人々の思いにかかわらず、産業技術はこれからも発展を続け、この街はさらに郊外へと広がってゆくことでしょう。
▼分類
・種別:
工業地
住宅地(中下層〜最下層)
・交通:
やや多い〜多い
・治安:
悪い〜やや悪い
・警察:
南部警察署
▼黒煤通り
貨物鉄道の始発駅近くにある通りで、多くの工場の労働者や運搬夫、それから掃除夫や日雇い仕事を探す貧しい人々が住んでいます。鉄道車両の整備場も近くにあり、通りからは機関整備工や煤払いが忙しく働く姿が見えます。
もともと環境の悪い地域だったのですが、現在は工場の煙突と機関車が振りまく煤煙にまみれた、生活するには最悪の場所となっています。それでも、工場から受ける恩恵には代え難いものがあるため、ここから離れようとはしない人々の方が多いようです。
▼石炭通り
ウェッジ運河沿いにある、貨物運搬用の鉄道路線が大きくカーブする場所に面する通りです。ここは石炭運搬用の鉄道が石炭を落としてゆくことから、浮浪者たちがこれを拾い集めに来るようになり、やがて家のない人たちの共同調理場となりました。
▼金屑通り
鉄鋼会社が並ぶ地域にある通りで、屑鉄商人たちが集まることからこのように呼ばれることになりました。浮浪者や都市浮浪児たちは、拾って来た鉄屑を彼らに買い取ってもらって生計を立てています。
▼その他
マッチ通り、タバコ通り、造花通りなど、その場所にある工場の種類に応じた名前の通りがあります。
○交通
▼ミンキッシュ川
この地区の西側にはミンキッシュ川が流れており、工業用水や物資の輸送に利用されています。▼ウェッジ運河
都市の東部を流れる運河で、ミンキッシュ川の水を工業地帯の東側にも流すため、聖歴740年代に新しく掘られました。ここから出る水は北にあるチェスター人工湖(ブラウン湖)を通り、エルザ運河へと注ぎ込みます。▼鉄道
アイリストールではまだ一般客用の鉄道は普及しておらず、工業地帯で貨物運搬用の巡回路線が数本と、新興住宅区の東部から工業地帯を結ぶ短い通勤路線が1本あるだけとなります。これらはいずれも私鉄会社が運行するものであり、だいたい朝7時から夜7時くらいまで走っています。
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施設・名所
○種類
○チェスター人工湖(ブラウン湖)
ウェッジ工業地帯の北にあるチェスター人工湖は、ウェッジ運河とともに建設された水量調整湖です。これはダム湖の一種で、縁部は盛り土で周辺地域より高くしてあり、その周囲を岩でしっかりと固めてあります。周囲は何もない湿地で、管理棟以外に建物はつくられておりませんが、最近は勝手にバラックをつくって付近に住み着く人も増えているようです。
ウェッジ運河から捨てられる廃水はこの湖へと流れ込み、マーム・ポートから流れ出る水と合流して、エルザ運河へと注がれます。なお、ここから出る水は汚染物質が自然に沈澱するためか、流入水よりはだいぶ浄化された状態になっています。
湖自体は中央部分の水深の深いところと、周辺の水深の浅い場所の2つに分かれています。深さのある場所は、普段から船が通れるように掘り下げてあり、運河と同じ構造を取っています。周辺部は河川増水時のオーバーフローを溜めるためもので、普段は干潟のような状態になります。ここには鉄屑などが落ちていることがあるため、屑拾いの子供や老人たちが泥をさらっている姿がよく見られます。
○ユーベル鉄道
ユーベル社が経営している一般客用の鉄道で、新興住宅地(フォーダー地区)の東部から、工業地帯を結ぶ短い通勤路線です。基本的に中下層の労働者たちが利用する鉄道で、朝6時半から夜8時まで運行しています。
▼鉄道駅
フォーダー地区の東部にあるフォーダー駅から、移民街の南部にあるレビッシュ駅を通り、ウェッジ運河沿いにあるウェッジ駅に到着します。
・ベイモリー貨物運搬鉄道:ベイモリー社が運営している貨物運搬用の巡回鉄道
・ラディンス工業:工業機械の製造会社
・カーディング製糸:大手製糸会社
・エルコッツ製鉄会社:大手製鉄会社
・フェラード製紙会社:新聞王クレスト=フェラードの経営する製紙会社
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人物・集団
▼スモーキー・バイン
工業地帯で働く子供たちの集団の1つで、主に高所作業を行なう者たちがメンバーの中心です。肺病を患っている子供が多く、ねぐらには定期的に聖母教会の施療師が訪れます。
▼ネットハンド・ユニオン(網手組)
川さらいや石炭拾いなどをして暮らしている子供たちの集団です。彼らは頻繁に珍しい物を拾い上げるようで、何かと事件に巻き込まれています。
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