基本情報
○解説
ロンデニアは古くから移民や亡命者を積極的に受け入れ、その技術や労働力を自国の産業に組み込んで発展を遂げた国です。現在も戦乱で行き場を失った人々が、カルネアやエストルークといった国々から日々訪れている状況です。
こういった移民たちの多くが古くから住んでいるのが、市の南部に位置するこの地域で、同郷同士で固まって暮らしています。住人の殆どは市民階級に属する者となりますが、知識人層や富裕市民、あるいは貧民層に分類される者も少なくはありません。彼らが共通して持っているのは、同族意識の強さと助け合いの精神で、貧富の差にかかわらず相互に手を差し伸べあって暮らしているようです。
▼分類
・種別:
住宅地(中層〜中下層)
商業地
・交通:
普通
・治安:
やや悪い
・警察:
新南警察署
▼外市場街
レスターファ川沿いにある市場街で、様々な露店が立ち並んでいます。ここは中立地帯となっており、他民族とのいざこざを起こすのはタブーとされています。様々な民族が集まる不思議な空間で、他国からの輸入品が集まる場所でもあります。そのため、街の外から訪れる人もおり、いつも非常に活気があります。
▼黒百合通り
移民街東側の南部貧民区に近い場所にある歓楽街です。黒百合というのは未亡人の隠語で、戦乱から逃げ出して来た貧しい戦争未亡人などが、ここで体を売って生計を立てていたことから、このように呼ばれるようになりました。
表通りには露店の屋台や立ち飲み屋のようなカウンターだけの店が多く並び、裏通りの方では娼館が隠れるように営業を行なっています。また、夜になると路地の入り口には街娼があらわれ、薄着で客引きを行なったりします。物珍しさから他国の女を求めて訪れる者も多く、それなりに稼ぎを上げることが出来るという話です。
▼渡航者街
この地域は奇譚街と移民街の間にあり、一般市民たちと移民との緩衝地帯となっています。このような性質の街であることから、余所者を排除するという雰囲気はなく、国内外から訪れる渡航者たちが集まる場所が自然と形成されてゆきました。また、国内外の情報を集めようとする人々が立ち寄る場所でもあり、周辺の情報屋、何でも屋、フリージャーナリストといった者たちの姿がよく見られます。
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国家・民族
○構成
移民街は国家や民族別に、以下のような地域に分類することが出来ます。
▼クルヴィス人地区
クルヴィス人は北の大カルドレン島に多く住む人々で、移民ではなく正式なロンデニア国民です。しかし、聖歴の初め頃、現ロンデニアの過半数以上を占めるシリーシア人に征服された過去を持ち、現在でもクルヴィス人の独立を願う者は少なくありません。そういった民族意識を強く持つ者たちが集まっているのがこの地域で、中には反政府活動に参加している者もいるようです。
▼アルメア人地区
アルメアは旧態依然とした貴族領主制度を敷く、一次産業が主体の貧しい国家です。移住者の多くは困窮した生活に耐えきれず逃げ出したり、先進国家に憧れて流れ着いた者となります。
▼カルネア人地区
もともとは友好関係にあった国であり、古くからこの街にはカルネア移民が住んでいました。現在のカルネアは、国を2つに割って内戦が行なわれている最中にあり、この地域は戦乱から逃げ出した人で溢れつつあります。
▼ルワール人地区
ルワール大公国とはアリアナ海貿易を通じて古くから親密な関係にあります。彼らの多くは貿易などの仕事のために移住して来た者であり、わりと裕福な家庭が多いようです。
▼エストルーク人地区
聖歴787年、ユノスで起こった軍事革命による混乱の隙をついて、エストルークは独立を勝ち取ることに成功します。しかし、国内の混乱はまだ続いており、資産家たちの中には独立運動に手を貸したロンデニアに移住する者が多く出ました。また、革命騒ぎの前に逃げ出して来た者や、そういった友人や親戚を頼って来る者も多く、革命前に比べると10倍以上の人数に膨れ上がっています。そのため、この地区だけでは受け入れきれず、国家が郊外の方につくった一時居住地に住む者も多いようです。・関連:エストルーク移民居住地
▼ユノス人地区
隣国ユノスからの移民たちが住む地区です。現在、ロンデニアとユノスは敵対関係にありますが、古くにロンデニアに住み着いたセティア人たちも少なくはありませんし、現在のユノスは混乱状態にあるため、国を捨てて逃げ出して来た人々も大勢おります。当然のことながらエストルーク人たちとは折り合いが悪く、ロンデニア国民からも良い感情を向けられることはありませんので、多くは地区の隅の方で貧しい暮らしをしています。
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施設・名所
○種類
▼公共
渡航者組合/中心支部、同郷会館、フェデラル教育ホール
○渡航者組合/中心支部
移民街の一番北の端には、渡航者組合のアイリストール中心市部が置かれています。
○同郷会館
各民族/移民地区の中心に置かれている公民館のような施設で、様々な役割を果たしています。その目的は同郷者同士の相互扶助で、それぞれ暇な時間を利用して交代でここに詰めます。
ここは会合を開く場として利用されることもあれば、働いている間に子供を預かったり、家を失った者を一時的に泊めておくための場所など、様々な用途に用いられます。この他にも、貧しい同郷人を助けるためにバザーが開かれたり、職業紹介所や職業訓練所といった役割を果たすこともあります。
○フェデラル教育ホール
移民街の人々が共同で設立した、初等学校を中心とする教育機関です。設立に尽力したのは移民たちの中でも融和派と呼ばれる人で、子供たちが将来的にも他民族への偏見を持つことのないよう、敢えて同じ教室で平等な教育が受けられる施設を設けたのです。そのため、ホールの中では宗教、思想に関わる指導は徹底的に排除され、偏りのない教育を行なうよう義務付けられています。
もちろん、これは移民たちだけで建てたものではなく、国家、市、教会、慈善団体などの補助を受けています。特に、教育委員会の顧問でもある「ローマン=フェデラル」氏の力添えが大きく、施設名も彼の名前を冠したものになっています。
ここは移民以外でも教育を受けることが出来るので、周辺地域から通う子供たちもいます。また、巡回図書館も定期的に訪れますし、日曜学校や夜間学校も開かれており、大人たちの学び舎としても機能しています。問題となるのは教師の数で、現在はまだ十分とは言えませんが、学のある移民たちが交代で教員を担当し、授業に空きが出ないようになんとか人員を賄っています。・関連:ヴィーナ=マズリン
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人物・集団
○集団
▼同郷団
同郷者や同じ民族の者たちがつくる相互扶助団体で、それぞれの国家・民族ごとに存在します。また、移民たちの中でも社会階層によって細かく分かれている場合があります。
▼ヴィーナ=マズリン
種族:白人 性別:女 年齢:25 職業:教師
居住:岩窟街 出身:アイリストール市解説:「フェデラル教育ホール」で初等部を担当している1人です。異なる国家・民族出身の子供たちが集まって教育を受ける学校ですから、何をするにも四苦八苦していますが、彼女は自分の仕事にやりがいを感じており、充実した日々を送っています。
仕事熱心で優秀な彼女ですが、1つだけ大きな欠点があります。それは先天的に視力が悪いことで、生徒たちの顔もはっきり見分けられないほどです。そのため、ちょくちょく勘違いをしたり、ちょっとした段差でも転んでしまったりして、周囲の人に様々な迷惑をかけています。一言:「みなさーん、ここは大事なところですからねー」
・関連:フェデラル教育ホール
▼キンバリー=モールズワース
種族:白人 性別:女 年齢:23 職業:術法師/魔法屋
居住:移民街 出身:カルネア解説:移民たちのために派遣されてきた、カルネア連邦共和国の術法師です。情報系術法の使い手で、本国と移民たちとの連絡役を担っています。彼女にはイブリンという名の双児の妹がおりますが、妹も同じ系統の術を習得しており、2人は「心話」の術で相互に意思疎通をはかったり、「他者感覚」の術で互いの知覚しているものを共有することが出来ます。また、その他の術でも周辺の人々を大いに助けており、若いのに非常に頼りにされている存在です。
一言:「ええ、あなたのお知り合いは御無事のようですよ」
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