基本情報
○解説
マーム川からエルザ運河への流入口がある、アイリストールの東側に突き出た場所を埠頭街といいます。埠頭のように都市から突き出していることと、水夫など船に関係する職業人が多く集まることから、このような名前で呼ばれるようになりました。
埠頭街はエルザ運河を挟んで北岸地区と南岸地区に分かれており、街のカラーもそれぞれ大きく異なっています。街全体を船に見立て、中層市民の住む北岸地区を海風の薫る甲板に、治安の良くない南岸地区をよどんだ空気のたまる船倉にたとえる人もおり、南の住人を指して「船底の連中は…」などと卑下することもあるようです。
▼北岸地区
埠頭街の北岸には、船の建設や修理を行なうためのドックが並んでおり、船会社の社員や船大工など関係者が多く住んでいます。こちらは南岸に比べるとだいぶ静かな地区で、中層市民の住宅や旅亭(イン)などが並んでいます。
◇旅宿通り
船乗り相手のやや上等な旅亭(イン)が並ぶ場所で、通りはエルザ運河に面しています。
◇未亡人通り
水難事故で夫を失った女性たちが、いつの間にか寄り集まって出来た街で、貧しいながらも互いに助け合って生きています。
▼南岸地区
南岸地区には水量調整のための人工湖が存在し、ウェッジ運河から工業廃水の混じった水が大量に注ぎ込みます。ここに溜まる水は茶褐色に濁っており、周囲にひどい悪臭を放っています。そのため近くには誰も住まず、ただの湿地帯のまま放置されています。この湖は正式にはチェスター人工湖といいますが、その水の色から一般にブラウン湖と呼ばれています。
エルザ運河沿いには、マーム川からの流入水を調整するためのブルックリン人工池があります。ここは船舶の停泊場としても利用されているため、一般にマーム・ポートと呼ばれています。ポートの付近には水夫のための宿屋や酒場といった店が軒を連ねており、夜ともなると多くの街娼がたむろします。また、日雇い仕事を求める下層階級の人々が周辺に住み着いていることもあって、全体にこの地域は雑然とした印象の治安の良くない地域となっています。また、古くにあった裏組合が分裂し、一部がギャング組織をつくって麻薬の密売などを行なうようになってからは、阿片窟のような場所も生まれています。このような事情から、街の外れの方は一般市民が近づかない地域となっています。
▼分類
・種別:
公共施設
商業地
住宅地(中層〜下層)など
・交通:
普通
・治安:
北岸-普通
南岸-やや悪い〜悪い
・警察:
環外東警察署
○水域
▼ブルックリン人工池
埠頭街の南岸につくられた、マーム川からの流入水を調整するための人工池です。ここは船舶の停泊場としても利用されているため、一般にマーム・ポートと呼ばれています。▼チェスター人工湖(ブラウン湖)
ウェッジ工業地帯の北にあるチェスター人工湖は、ウェッジ運河とともに建設された水量調整湖です。これはダム湖の一種で、縁部は盛り土で周辺地域より高くしてあり、その周囲を岩でしっかりと固めてあります。周囲は何もない湿地で、管理棟以外に建物はつくられておりませんが、最近は勝手にバラックをつくって付近に住み着く人も増えているようです。
湖自体は中央部分の水深の深いところと、周辺の水深の浅い場所の2つに分かれています。深さのある場所は、普段から船が通れるように掘り下げてあり、運河と同じ構造を取っています。周辺部は河川増水時のオーバーフローを溜めるためもので、普段は干潟のような状態になります。ここには鉄屑などが落ちていることがあるため、屑拾いの子供や老人たちが泥をさらっている姿がよく見られます。▼流路
ウェッジ運河から捨てられる廃水はチェスター人工湖へと流れ込み、マーム・ポートから流れ出る水と合流して、エルザ運河へと注がれます。なお、人工湖から出る水は汚染物質が自然に沈澱するためか、流入水よりはだいぶ浄化された状態になっています。
▼倉庫街
市場街の対岸には何十隻もの蒸気船が常時停泊していて、岸辺では陸揚げや船積みが頻繁に行われています。この周辺には各会社が管理している倉庫が立ち並んでおり、陸揚げされた荷役がここに保管されます。これらの物資は盗人に狙われやすいため、合同で警備員を雇って警戒したり、高い煉瓦塀で建物を取り囲むことで対処しています。
▼ゴミ屋街
市場街の対岸にあるゴミの集積場の周辺のことを言います。近辺にはゴミ漁りのために住み着いた人々が溢れ、土手には廃材を利用して建てたバラック小屋がびっしりと立ち並んでいます。最近では景観を損ねるという理由から、撤去を求める声が市議会でも上がっており、強制立ち退きが執行される可能性があります。
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施設・名所
○種類
▼一般
酒場「リバー・クイーン」、娼館「一夜の泉」、酒場「川底亭」、酒場「マリオン・トーチ」
○マーム・ポート
埠頭街の南岸につくられた、マーム川からの流入水を調整するための人工池です。ここは船舶の停泊場としても利用されているため、一般にマーム・ポートと呼ばれています。
○環外東警察署
チェスター人工湖を中心とした東部地区を管轄とする街区警察です。なお、本部の建物がイーデン水路沿いにあることや、船乗りたちを相手にする機会が多いことから、この地区を担当する警官たちはリバー・ガードと呼ばれることもあります。
・管轄:埠頭街、倉庫街、チェスター人工湖など
▼管轄区域
◇北地区
埠頭街の北側は中層市民の住宅や旅亭(イン)などが並ぶ地域で、ごく普通の治安状況となっています。しかし、運河の南側にはあまり品のよくない酒場や娯楽施設が集まっており、大きな犯罪は少ないものの喧嘩や諍いは日常茶飯事です。また、古くにあった裏組合が分裂し、一部がギャング組織をつくって麻薬の密売などを行なうようになってからは、阿片窟のような場所も生まれています。このような事情から、街の外れの方は一般市民が近づかない地域となっています。◇南地区
ウェッジ工業地帯に近い地域は工場や倉庫の建物、あるいは問屋などが立ち並んでいます。この辺りは市警本部が近いことや、盗難防止のために警備員を雇っている会社も多いことから、比較的治安のよい地域となります。しかし、チェスター人工湖の周辺は何もない湿地帯で、最近では勝手にバラックを建てて住み着く人も増えておりますし、屑拾いの子供たちがうろついていることも多く、新たな貧民街が生まれつつあるようです。
○酒場「リバー・クイーン」
エルザ運河沿いにある酒場で、店の屋根にはフィギュアヘッドが取りつけられています。内装も船を模したものになっていますが、これらの装飾は実際の船で使われていたもので、店長の「ロジャー=ブレストン」が乗っていた船が、廃棄される際に譲り受けたものです。
出航前にこの店に寄ると、水難事故に遭わずに済むという噂があります。そのため、水夫たちは船旅の無事を祈願しながら一杯の酒をあおり、そして再会を約束して店を出てゆくのです。その背中を優しく見守る、ゆるやかな衣服をまとった女性像は、幸運のフィギュアヘッドと呼ばれています。
○娼館「一夜の泉」
埠頭街南岸の西外れにある娼館ですが、ここは現在ギャング団の嫌がらせにあっています。これは、この店で働く「赤毛のリアラ」と呼ばれる女性に、グレイソン一家のボスである「ガザ=グレイソン」が惚れていることが原因です。しかし、リアラは頑としてその誘いをはねつけ、一向になびく様子が見られないため、ついに嫌がらせという手段に出たのです。
娼館の女たちは結束してこれに対抗し、彼女の顧客である男たちも定期的に見回りを行なったりしているため、現在のところ店に対する直接的な被害は少ないようです。しかし、協力者の所有する船でボヤ騒ぎが起こったり 客に脅しをかけて店に入らないようするなど、現在も嫌がらせが続けられています。
○酒場「川底亭」
ブルックリン池に面している酒場で、池の上につくられたテラスで行なわれる賭けボクシングで有名な店です。試合には飛び入りで参加することもでき、腕に自身のある水夫たちが殴り合いをすることもあります。インターバルの間、樽の上で踊るウェイトレスの「ミシェル=ローリン」の姿も名物の1つで、彼女にいいところを見せようと無謀にも勝負を挑み、ベッドの上で後悔する者も少なくはないという話です。なお、多少の怪我であれば、隣にあるベティ=モリー診療所ですぐに対応してくれます。
ここは2階が素泊まりの木賃宿になっており、大部屋には2段ベッドがずらりと並べられています。小部屋も1部屋だけあるのですが、こちらは手がつけられない酔っ払いを放り込んでおく部屋になっています。
○酒場「マリオン・トーチ」
喪服の未亡人、マリオン=チェンバースの店です。彼女は船の事故で夫を亡くしてから、未亡人街の外れでこの店を経営するようになりました。あまり大きくない場末の酒場といった雰囲気で、どこか陰気な感じがすることから、大勢の客で賑わうことは滅多にありません。しかし、定期的に団体客が入るようですし、見た目とは違って経営も順調であることから、マリオンは誰かの愛人なのではないかと噂されています。
▼限定情報
この店は裏組合「港守」の連絡所となっている酒場で、彼女の夫も組合のメンバーの1人でした。組織との連絡役を担っているのは、いつも店の奥に1人でいる「ベルモント爺さん」です。
この店には地下に通じる秘密の通路があり、民家に偽装した隣の賭博場と繋がっています。賭博場にはこの店から入るわけではありませんが、何かあった時の逃走路となっており、素知らぬ顔で裏口から出てゆくことが出来ます。・関連:マリオン=チェンバース、港守
○アンダール孤児院
ゴミ屋街に古くからある孤児院で、市場街で売れ残った食料品を寄付して貰うなどして、細々と経営を続けてきました。2年ほど前に院長のハバーシュ=アンダールが高齢で亡くなり、一時期は施設の閉鎖が噂されましたが、唯一の肉親である甥夫婦が運営を引き継ぐことになりました。しかし、その際に古くからいる職員がことごとく退職しており、教育方針も含めて現在はすっかり様変わりしているようです。前院長は子供たちをのびのび育てる方針だったのですが、現院長のヴィアスは厳しい躾が必要だと考えており、最近は子供たちに笑顔がないと周囲に心配されています。
▼限定情報
現院長のヴィアス=アンダールと妻ゼダは、表向きは厳格な孤児院の経営者ですが、裏ではギャングのグレイソン一家と繋がっています。古くからの職員を追い出したのも悪事を働くためで、現在の職員の中には昔の犯罪者仲間も混ざっています。善意の寄付を着服するのはもちろん、成長して院を出る子供に職業を紹介するといって騙し、ギャングに引き渡して闇のマーケットで人身売買をしているのです。孤児の行方を気にかける者など殆どおりませんので、現在のところこの犯罪に気付いている者はおりません。また、孤児院の地下室は非合法品の隠し場所にも利用されていますが、当然のことながら警察関係者もこのような場所はマークしておらず、これまで長く信頼を積み重ねてきた慈善施設が、悪人たちの思惑通りに利用されている状況です。・関連:グレイソン一家
・トレアル新監獄:埠頭街の最東部に置かれている、比較的軽い犯罪で逮捕された者が入る監獄。
・ベティ=モリー診療所:ベティ=モリーという老婆が経営する、ポート沿いにある小さな診療所。
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人物・集団
▼港守
賭博場の経営と商店の用心棒といった稼業を中心として活動してきた埠頭街の裏組合です。しかし、この組織は現在分裂状態にあり、一部はギャングの「グレイソン一家」として活動を開始しています。・仕事:賭博、用心棒など
・本部:埠頭街
・地域:埠頭街、北部地区、東部地区
・関連:グレイソン一家
▼グレイソン一家
埠頭街で活動している裏組合「港守」から分派して出来たギャング団で、この2つの組織は縄張り争いで対立しています。彼らの拠点は倉庫街に近い場所にある建物に置かれています。・本部:埠頭街
・地域:埠頭街周辺
・関連:港守
▼ビジー・フィンズ
水夫などの手伝いをして日銭を稼いでいる子供たちの集団で、マーム・ポートの傍にある廃虚に住みついています。潜水が得意な者やとても身軽な子が多く、いろいろな作業場で役立っています。
▼ドレイン・キャッツ
下水道の入り口に住み着いている盗人集団で、地下の通路を利用して巧みに逃げ回ります。地下街の案内人でもあり、逃がし屋の仕事を請け負うこともあるようです。
▼ダーティ・マーメイド
正確には都市浮浪児とは言えない存在ですが、もともとは路上生活をしていた娘たちの集団です。彼女たちは廃虚の1室で身を売って稼いでいる少女売春婦で、つい最近この付近に居着くようになった者たちです。ギャングの「グレイソン一家」の庇護下にあり、周辺の娼婦たちからは縄張り荒らしとして厄介がられています。・関連:グレイソン一家
▼リアラ=ベルドット
種族:白人 性別:女 年齢:24 職業:娼婦
居住:埠頭街 出身:フォートワース市周辺解説:娼館「一夜の泉」で働く娼婦で、目鼻立ちのはっきりした女性です。きっぷのいい姐御肌で、裏表のないまっすぐな気性から、店の娘たちにも頼られています。彼女は現在、ギャング団のボス「ガザ=グレイソン」に言い寄られており、そのことで非常に大きな問題を抱えています。というのは、リアラがその誘いを断り続けていると、やがてガザは手下たちを使って、娼館や顧客に対して嫌がらせをはじめるようになったためです。現在のところ、怪我人などの直接的な被害は少ないようですが、周囲に多大な迷惑をかけていることから、リアラは街を出てゆこうかと考えています。
一言:「いや、それはあんたの方が間違っていると思うよ」
▼喪服の女主人 マリオン=チェンバース
種族:白人 性別:男 年齢:31 職業:酒場/女主人
居住:埠頭街 出身:アイリストール市解説:酒場「マリオン・トーチ」の女主人で、船の事故で夫を亡くしてから後は、ずっと喪服を着たままでいます。服装のせいか非常に陰気な印象を受けますし、笑う時もどこか淋し気な雰囲気を漂わせますが、特に物静かな女性というわけではなく、客に対してはごく普通に接しています。酒場はあまり賑わっておりませんが、定期的に団体客が訪れ経営も順調であることから、彼女は誰かの愛人なのではないかと噂されています。
一言:「あら、そんなことはないのよ。でもね……」
・関連:酒場「マリオン・トーチ」、港守
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