東部地区
紫陽花通り

基本情報施設・名所人物・集団


 

基本情報


○解説

 とても静かな雰囲気の住宅街です。高級住宅地である白鞘街が近い方には、富裕層の屋敷が多く立ち並んでいますが、ミンキッシュ川沿いは昔から中層市民が住む地域となっています。


▼由来
 紫陽花という名がついてますが、特に道端に紫陽花が植えられているわけではありません。由来には諸説あり、戦争が激しかった時代に徴兵で住人が入れ替わることが多く、それを次々と色が変わる紫陽花にたとえて、このように呼ぶようになったという話があります。他にも、階上家屋が集まっている様子が、密集して咲く紫陽花の花に似ているためとか、移り気な人が多く住んでいたからという説もあります。


▼分類
・種別

 主に住宅地(中上層〜中層)
・交通
 普通
・治安
 表通り-普通
 裏通り-やや悪い
・警察
 環道警察署
   


○地域

▼階上家屋
 この地域に古くからある住居は特徴的な構造をしており、1階が倉庫や何もない空間で、2階以上が住居となっています。玄関は2階についており、階段を昇って家に入るようになっています。
 この周辺の人々は、こういった家のことを階上家屋と呼んでいます。このような構造になっているのは、エルザ運河が出来る前は河川の氾濫によって、たびたび1階部分が浸水していたためです。
 
▼紫陽花城
 階上家屋が集合している地域では、2階以上の部分に通路が設けられており、昔から階段を昇り降りしなくても互いの家を行き来することが出来ました。そして、時代が進むとともに1階部分が石組みで補強されたり、上階に広場のような共用空間がつくられたため、現在はまるで橋の上に家が建てられているかのような、不思議な外観の巨大な集合住宅へと変貌を遂げています。これらの建物は、相互に支え合うような構造になっているため、1つの家屋だけを取り壊すことは難しく、これからもこの様式はずっと受け継がれてゆくことでしょう。
 
▼トンネル通路
 階上家屋が連なる辺りの地上部分は、トンネルが縦横に繋がれた迷路のような状態になっています。この通路は雨の時でも濡れずに歩ける一方、犯罪が起こっても誰にも気付かれないという問題があります。エルザ運河も近いことから霧が多く、通路には街灯もないためとても見通しの悪い場所となり、夜間に歩くには十分に注意が必要となります。
 
▼髑髏通り
 ミンキッシュ川沿いを通る道で、骸骨岩と呼ばれる髑髏の形をした岩が見えることから、このように呼ばれるようになりました。


○錬金街

▼限定情報
 トンネル通路の奥に存在するもう1つの世界、それが錬金街と呼ばれる場所です。この一画には昔から錬金術師が住んでおり、表向きは一般市民を装いながら、夜な夜な怪しげな研究を続けて来ました。
 彼らの研究室は地下通路に置かれており、「秘教館」という名で呼ばれています。ここには何軒かの錬金術たちの屋敷や、トンネル通路のどこかにある隠し扉から入ることが出来ます。この秘密の通路は大時計広場に通じるもので、かつてその場所にあったリュヒース王城と連絡していました。しかし、マルグリット王朝(聖歴403年〜549年)になって王城が移転した際に、片方の入り口は土砂で埋めて封鎖されてしまったのです。
 しかし、その存在に気付いた錬金術師「オリーン=ミード=シルヴェストリィ」によって、ここは密かに解き放たれて、実験室として利用されるようになります。その後、通路はその弟子たちに代々受け継がれゆき、周辺の建物を買い取って地下室と繋げるなどして、長年をかけて少しずつ拡張されてゆきました。そして最終的には現在のような、錬金術師たちが集う地下実験棟へと姿を変えることになったのです。
 地下通路の一部は下水道へと繋がっており、ここから裏社会を通じて密かに資材が運び込まれたり、失敗した実験産物が捨てられているという話です。アイリストールに出没する奇怪な怪物の中には、錬金術師たちの手によって改造された生物が紛れているのかもしれません。


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施設


○種類

▼公共
 骸骨岩トニー=ベイン診療所

▼一般
 占い小屋「静寂館」古美術店「三日堂」薬局「オッド・アイ」クラブハウス「サイレント・ユニオン」


○骸骨岩

 2m近い高さのある大きな岩で、ミンキッシュ川沿いの土手に転がっています。これは髑髏の形をした無気味な岩で、近づこうとする者はあまりおりません。この岩は生きているという噂があり、夜になると顎の部分を動かして笑っているという者もいるようです。しかし、そのような噂を本当に信じている者はおらず、光の悪戯でそのように見えるというの一般的な認識です。


○占い小屋「静寂館」

 トンネル通路の中にひっそりと立っている占い小屋で、出口が塞がれた通路の1つを利用して建てられたものです。部屋の中は紫の布で飾り立てられており、メルシャと名乗る妖艶な雰囲気の女性が、大きな水晶玉を前に静かに客を待ち構えています。
 占い小屋の存在はあまり広く知られてはおりませんが、よく当たるということで最近は評判になっています。しかし、不吉な予言ばかりが当たるため、一部では不幸を呼ぶ女と陰口を叩かれたりしているようです。


▼限定情報
 彼女の持つ水晶玉は変異現象の影響を受けたもので、これを通して見た相手に将来的に起こる不幸が、瞬間的な映像として映し出されます。


○古美術店「三日堂」

 月のうち、たった3日しか開いていないという古美術店です。実際は、店長である「スウィード=ベルコット」氏の気まぐれで、好きな日の好きな時間に開いているだけであり、だいたい月の半分くらいは開店しているようです。
 彼は好事家であり、様々な品物に興味を持って買い集めるのですが、すぐに飽きてしまうという困った性分の持ち主でもあります。それを解消するために始めたのがこの店で、掘り出し物も多いので頻繁に訪れる蒐集家もたくさん居ます。ただ、いつ開いているのか誰もわからないので、店の前でため息をついて後戻りする紳士の姿がよく見られます。
 店の中は雑然としており、商品は時代も作品傾向もバラバラのまま、仕入れた順番に適当に並べられています。最近はいわくつきの美術品や装飾品に凝っているようで、わざわざ遠くまで足を運んで、よくわからない古い指輪や版画などを仕入れて来るようです。


○トニー=ベイン診療所

 川沿いにある小さな個人病院で、2階建て家屋の1階部分を診療所として使っています。内科、外科ともに非常に優れた医師であり、患者に対して非常に親身になって対応してくれます。大きな病院から誘いの声もあるようですが、彼はそれを固辞しているようです。

・関連トニー=ベイン


○万能薬物店「オッド・アイ」

 トンネル通路の付近にある薬局で、薄汚れた古めかしい建物の中にあります。黄人の血が混じった店長の「ヒュー=バックリー」は、左右の瞳が違う色をしているためオッド・アイと呼ばれています。猫を思わせる顔だちをしており、金銀の瞳を持つ猫の看板を掲げています。ここは様々な薬物を取り扱っておりますが、特筆すべきは民間医学に属する古い時代の処方箋を数多く残していることです。そのため、現在の医学で対応できない病に対応できる可能性もあります。


▼限定情報
 彼は錬金術師たちと繋がりがあり、手に入りにくい薬物を密かに錬金街の人々に渡したりしています。また、彼だけが持つ処方箋の中には、麻薬や危険な毒物を混合するものもあり、効果はあっても何らかの副作用が生じる可能性があります。


○クラブハウス「サイレント・ユニオン」

 トンネル通路の近くにある知識人たちの集まるクラブハウスで、医師や研究者たちが主な会員となります。建物はもともと商人の屋敷だったもので、看板も出していないため普通の一軒家にしか見えません。入会するためには会員の紹介が必要で、なおかつ審査に受からなければなりません。その基準は非常に厳しいようで、希望者の殆どは断られているようです。


▼限定情報
 表向きは単なるクラブハウスですが、ここは錬金術師たちの集まるサロンのようなもので、建物の地下から秘境館へと抜けることが出来ます。建物の廊下には、何枚ものペルソニア製の仮面が飾られていますが、このうちの1つは隠し通路へと繋がる壁にかけられており、向こう側から廊下の様子を覗き見ることが出来るようになっています。


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人物・集団


○人物

▼万物収集家 ケリアン=モンタネール
 種族:白人  性別:男  年齢:54  職業:富裕農民/趣味人
 居住:紫陽花通り  出身:アイリストール市

解説:何事にも興味を示す収集家で、彼の屋敷には書物、工業機械、標本、家具、自動車、武器など、これまでの収集品が山と積まれています。それらの品々は部屋や蔵の中に無造作に並べられておりますが、本人はどこに何があるかきちんと把握しているらしく、迷うことなく目的の品を探し出すことが出来ます。彼の収集生活は幼い頃からはじまっておりますが、奥さんが愛想をつかして出て行ってからは、その収集癖にさらに磨きがかかったようで、収集品を収蔵するために幾度も増築を繰り返しています。最近は博物学に興味が向いているようで、昆虫や骨の標本を至るところに飾り、小動物や昆虫はもちろんのこと、屋敷の中に檻を設置して熊やトラなどの危険な動物を飼っています。

一言:「ほほう、それはぜひとも私に譲っていただきたい!」


▼魔姫 アデリー=マウ
 種族:白人  性別:女  年齢:17  職業:無職/伯爵令嬢
 居住:紫陽花通り  出身:アイリストール市

解説:冷血で知られる伯爵令嬢で、血生臭い争いや背徳的なことを好む、非常に近寄りがたい人物です。つい先だって、彼女の家庭教師とその婚約者が自殺を図るという事件がありましたが、この件も彼女が何か関係しているに違いないと噂されています。

限定情報:彼女は奴隷を買い入れては、密かに殺し合いをさせて楽しんでいます。男遊びが激しいことでも知られており、貴族の跡取りをたぶらかしたり、男娼を屋敷に連れ込んでは快楽にふけっているようです。

一言:「あなたの血は何色かしら?」


▼サミッシュ=エル少佐
 種族:白人  性別:男  年齢:37  職業:国家情報部
 居住:紫陽花通り  出身:リンクリフ市

限定情報:国家情報部第7課、通称「インビジブル・セブン」の室長であり、課内でも切れ者で通っているエリートです。殺人許可証を持っており、拳銃の名手として知られています。怜悧で冷静な性格ですが、妻や娘には非常に甘いようで、特に娘の話になるとだらしないくらい相好を崩してしまいます。

一言:「いやあ、昨日うちの娘がな……」

・関連ロンデニア国家情報部本部ウィメット=オリヴェイラ(部下)


▼トニー=ベイン
 種族:白人  性別:男  年齢:33  職業:医師
 居住:紫陽花通り  出身:ハノーヴ市

解説:小さな診療所を開いている、とても腕の良い医師です。友人の誘いでこの街に来て3年になりますが、患者の身になって親身に受け答えをしてくれるため、人々に厚く信頼されています。大きな病院から誘いの声もあるようですが、彼はそれを固辞しているようです。

限定情報:彼は錬金術師の1人であり、生物秘学と生命秘学を専門としています。患者を被献体にするようなことはしませんが、摘出した臓器や組織を実験に用いています。大掛かりな実験を行なう場合は、錬金街に置かれている研究室を使いますが、多くの場合は診療所の地下室で研究を行なっています。

一言:「なるほど、診てみましょう」

・関連トニー=ベイン診療所


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