基本情報
○解説
平和通りと環状道路の間に位置する一画のことを言います。正式にはアルデロン地区というのですが、地区の外に住む人たちは亡骸街と呼んでいます。
全体に陰鬱な雰囲気の漂う街で、大通りはガス灯で照らされているにもかかわらず、隣接する地域よりも闇が濃いような印象を受けます。風向きの関係なのか霧がたちこめることも多く、夜間の人通りはあまり多くありません。
▼歴史
静かな住宅街であるこの周辺に、このような陰鬱な名前がつけられたのは、慰霊公園のある場所で起こった幾つかの悲劇に由来します。
聖歴478年に起こった大火によって、それまで現在の大時計広場のある場所に置かれていた刑務所は、監獄通りへと移されることになります。その後、現在のウィンズリー王朝(聖歴549年〜)が興るまでの間、慰霊公園のある場所は処刑広場として利用されてきました。
1つ目の悲劇が起こったのは、聖歴500年代に入ってからのことになります。マルグリット王朝時代(聖歴403年〜549年)のジオール王は、対立する議会を武力で抑えて、聖歴514から519年の間、完全な専制政治を行います。これに反抗した下級貴族や有産市民は、この広場で反抗集会を開いたのですが、王は参加者の全てを殺害するという形で、この集会を潰してしまったのです。この「アルデロンの虐殺」事件で、処刑広場の地面は真っ赤に染まったといいます。
このジオール王の時代を終わらせたのが将軍ゼローニア=ローレンスで、聖歴525年には彼を首長とする共和政権が誕生します。しかし、ローレンスは革命後の混乱を収める手段を武力に頼り、徐々に独裁者へと変貌してゆきます。そして、この間に数多くの処刑が行なわれるようになり、大勢の無辜の民が命を落としたといいます。その時に処刑された1人、思想家の「レゴール=ファナフォード」は、首を刎ねられてもなお王の政治を激しく非難し、燃やし尽くされるまで呪いの言葉を叫び続けたといいます。
その後、ウィンズリー王朝の時代になってからまもなく、この土地は墓地公園へと改装されます。しかし、聖歴554年に埋葬された死者が一斉に蘇り、周辺の人々を襲うという事件が起こりました。この時、不死者たちを率いていたのは首のない死体であったといい、誰もがレゴール=ファナフォードの祟りであると考えました。
事件を解決した聖母教会は、この地を浄化して慰霊のための公園とし、隣の敷地にミレー浄化教会を建設します。そして墓地は教会に移転され、死者の安らかな眠りが二度と妨げられぬよう、盛大な儀式が執り行なわれました。それから、この場所で大きな事件は起こっておりませんが、この一帯は呪われた土地として人々の記憶に深く刻み込まれ、亡骸街と呼ばれるようになったのです。
▼分類
・種別:
主に住宅地(中上層〜中層)
・交通:
普通
・治安:
普通
・警察:
環道警察署
▼チャリティー通り
慰霊公園やミレー浄化教会の前を通る環状道路のことで、教会の慈善活動としてバザーなどのチャリティーイベントがよく開かれることから、このように呼ばれるようになりました。
この付近に住む人々は概して信心深く、慎ましく控え目な生活を心掛けています。多くの人々は社会奉仕の意識も高く、宗教行事にも真面目に参加します。これは街に漂う闇を恐れているためであり、ここに住む者たちは何かに突き動かされるように、善人として振る舞おうとするのだといいます。
▼巡礼通り
この付近には聖母教会が所有する巡礼宿が多くあり、国内外から訪れる巡礼者の姿がよく見られます。
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施設・名所
○種類
▼公共
慰霊公園、ミレー浄化教会、王立医学校、ペルソニア博物館
○慰霊公園
ミレー浄化教会の北にある、環状道路に面した公園です。ここはかつて処刑場や墓地公園だった場所で、数々の悲惨な事件が起こったことで知られています。
敷地全体に芝生が敷き詰めてあり、遠目には市民たちの憩いの広場のように見えますが、ここでくつろぐ人々の姿を見かけることはありません。公園の中央に置かれた黒大理石の慰霊碑から、勘の良い者は何か底知れない不安を感じ取るらしく、そこに近づくことさえ躊躇うのだといいます。泉の近くには東屋もあり、浮浪者たちが集まってもおかしくはないのですが、ここをねぐらとする者は現在のところ誰もおりません。この公園に大勢の人が集まるのも、慰霊祭やチャリティーイベントが行なわれたり、巡礼団が来訪した時くらいに限られます。
夜もこの公園は開放されていますが、滅多に足を踏み入れる者はおりません。もし、普通の人間が歩いているとするならば、それは一時的に身を隠そうとしている犯罪者か、自殺を考えている人たちでしょう。ここは自殺の名所としても知られており、植樹された木の枝で首を吊ったり、刃物で自害した死体などがよく発見されます。そのため、管理人と聖職者が定期的に見回りをするのですが、それでも死者の数は殆ど減少していないようです。
▼黒の泉
公園の中央と四隅には、それぞれ小さな水受けの付いた湧水の泉があります。このうち慰霊碑の近くにある中央のものだけは水が真っ黒に染まっており、呪われた泉として有名になりました。なお、信憑性は全くないのですが、霧死人はここから生まれて来るのだという噂もあります。
当初、この泉の水は澄んだものだったのですが、時間が経つにつれて黒く濁ってゆき、公園がつくられてから1年も経たないうちに、真っ黒に染まってしまったそうです。教会が術法で浄化しても効果はなく、やがて水受けには石蓋がされてしまったのですが、その蓋が侵蝕されてひび割れから赤黒い水が染み出し、人血だと騒ぎになったこともあります。現在、蓋は取り払われており、以前のように水が溢れだしておりますが、その水はすぐに下水管に流されてしまうようです。
○ミレー浄化教会
慰霊公園のすぐ南にある大きな教会で、単に浄化教会と呼ばれることもあります。慰霊公園で亡くなった者たちの魂を慰めるためと、そこから移転した墓地を管理するために設けられたもので、敷地内には大きな巡礼宿も付属しています。
・関連:レイチェル=クリア
▼髑髏隧道(地下墓地)
浄化教会の地下には共同墓地が設置されており、迷路のように曲がりくねった狭い通路の左右には、おびただしい数の骨が整然と積まれています。これはもともとあった地下洞穴を利用して造られたもので、一部は慰霊公園の向こう側にまで通じているようですが、現在は頑丈な扉で封鎖されているため行き来することは出来ません。ここに納められているのは、主に引き取り手のいない貧民街の住人たちの遺骨であり、墓参する者はごく稀にしかいないようです。▼ミレーの塔
環状道路沿いに建てられている塔で、かつては市壁の一部だったものです。もともとは物見の塔として使われていましたが、現在は鐘楼として利用されています。なお、この塔からも地下墓地へと降りることが出来ますが、これは教会の関係者しか知らないことです。
○王立医学校
医療に関する専門教育を行う専門学校で、付属病院も併設されています。この病院は検死も行なっており、不可解な事件が起こった場合、死体はここに運ばれてくることになります。学校の建物はピアソン侯爵夫人が寄贈したもので、流麗な曲線を多様した美しい建築物です。
○ペルソニア博物館
海戦公園のすぐ北西にある博物館で、ペルソニア植民地の文化資料や遺跡の出土品などが展示されています。その外観はペルソニア南部にある遺跡を模したもので、台形をした一風替わった石組みの建物です。正門まで続く通路の両側は、精緻なレリーフが刻まれた円柱で囲まれていますが、これはペルソニアから運ばれて来た実際の遺跡のものです。
中には原住民の装飾品や、ラガン帝国が支配していた古い時代の鉄器、あるいは珍しい漆黒のデザートローズなど、ペルソニア大陸に関する多種多様な展示品が並べられています。最近では新しく発掘された128枚の仮面と、薄緑に輝くガラスの装飾品、および石室に横たわっていた石像が植民地から輸送され、連日館内は大賑わいとなっています。
▼限定情報
仮面や装飾品とともに、一般には全くの未公開の発掘物がペルソニアから運ばれています。これは奥地の砂漠で発見された銀色の板で、鉱物の一種のようですが材質は未だ不明のままです。この表面には薄く文字のようなものが刻まれているのですが、これまで発見されたどの文明のものにも該当せず、現在も解読作業が行なわれています。
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人物・集団
▼レイチェル=クリア
種族:白人 性別:女 年齢:35 職業:聖母教会/神官
居住:亡骸街/ミレー浄化教会 出身:アイリストール市解説:囚人たちに献身的なシスターで、よく拘置所を訪れては神の教えを説いています。家族に手紙を書いたり、出所後も就職の世話をするなど、とても親身になって対応してくれます。実は彼女自身も過去に犯罪を犯したことがあり、そのことを誰よりも悔いており、1人でも多くの罪人を改心させることが、その償いになると信じています。
一言:「迷いなさい……リュクレルの剣(迷いを断ち切る剣)は、いつもあなたの手元にあります」
・関連:ミレー浄化教会
▼正義執行官 アルバート=フリード
種族:白人 性別:男 年齢:27 職業:市役所職員
居住:亡骸街 出身:アイリストール市限定情報:表向きは謹厳実直な市役所の職員ですが、影では独断で正義の刃を振るう「断罪騎士団」に所属する犯罪者です。彼らは私的に社会に害する悪人を調べ上げ、暴力的な手段を用いて粛正を行います。アルバートも既に3人の重犯罪者を殺害していますが、誰も彼のことを疑う者はおらず、彼の凶行はこれからも続くことでしょう。
一言:「不正は正されなければならない……不正は正されなければ……」
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