基本情報
○解説
全体に華やいだ雰囲気の町並みで、中心となる商店街と高級住宅地で構成されています。古くからある背の低い建物と、新しく建てられた高層建築が混在しており、奇妙なコントラストを形作っています。道路は全て綺麗に舗装されており、街に雇われた清掃夫が定期的に道を掃除してゆくので、道行く馬車に泥を跳ねられる心配もありません。
付近には娯楽施設も多くつくられており、劇場、小遊園地、室内動物園といったものから、高級カジノや会員制のサルーンバーなど、様々な催し物を堪能することが出来ます。また、紳士クラブやサロンも多くあり、富裕層に属する人々が気取った会話を楽しみます。
▼由来
ここがメノウ通りと呼ばれるのは、大理石の壁に術法でメノウを張り付けた、メノウ館と呼ばれる奇妙な建物があるためです。
▼分類
・種別:
商業地
住宅地(高級〜中上層)
・交通:
多い
・治安:
良い
・警察:
環道警察署
○地域
▼高級住宅地
商店街の裏手の殆どは、裕福な人々が暮らす住宅地となっています。新しく建築された高級アパートやマンションも人気がありますが、誰か名士などの紹介がなければ入居は難しい状態です。▼レイニー・ウォーク
この通りで有名なのがエルモア初のアーケード街で、平和通りに続く商店街のあたりは、ガラスの天井で覆われています。
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施設・名所
○種類
▼一般
メイベル百貨店、レストラン「銀の鈴音」、コーヒーハウス「ブルーウインド」▼個人
メノウ館
○メノウ館(メノウの壁館)
宝石コレクションの趣味で有名な名士、「ウィルセル=ベッドフォード」氏が建てたお屋敷です。もともと彼は広大な土地を所有する富裕農民の出だったのですが、不動産を全て売り払って船舶会社を立ち上げ、さらなる財産を築き上げました。後に宝石収集に懲るようになると、人々にそのコレクションを見せたくてたまらなくなり、個人的な宝石展示館を屋敷内につくりあげます。これによって家が手狭になると、隣の土地を買い上げて新しい屋敷を建てるのですが、その際に大理石の壁の一面に、メノウを術法で張り付けるという奇行に走るのです。
現在はウィルセルの曾孫にあたるジュリアンが所有者となっていますが、これまでいかなる盗賊たちもこのメノウを盗むことに成功しておりません。敷地内に侵入することは難しくはないようなのですが、現在ではこれに手を出す者は誰もいないようです。
○レイニー・ウォーク
雨天でも傘をささずに歩けるように、大きな板ガラスで天井を覆ったエルモア初のアーケード街です。道の両側には様々な商店が立ち並んでおり、いつでも快適にウィンドウショッピングを楽しむことが出来ます。
かつては立ち込める霧のせいで、天井のガラスについた露が雨のように落ちて来るという欠陥があり、周囲の人々には激しく非難されていた代物でした。風の通り抜けがいいように、高さにゆとりをもたせて設計したはずなのですが、昔はいつもこの通りの空気は湿っていて、アーケードの下なのに傘をさす人が大勢いたようです。レイニー・ウォークという名は、このことに由来しています。
しかし、設計者は諦めずに改良を施し、全面を開閉式のガラス屋根に取り替えると同時に、プロペラを設置して風を送れるようにしました。これらの動力には霊子機関を用いているため、煤煙の心配なく装置を動かすことが可能です。
○メイベル百貨店
ロンデニア初の百貨店であり、食料品、衣料品、装飾品、雑貨など、1つの建物で様々な品物を買うことが出来ます。また、一種のアミューズメントパークとしての機能も有しており、レストラン、コンサートホール、室内動物園、温室なども備えています。
▼コンサートホール
半地下になっている小劇場で、防音設備を備えています。全部で500席が用意されており、芝居や音楽を楽しむことが出来ます。
▼室内動物園
建物の中に檻をしつらえ、小型の猿、鳥、ウサギ、犬などを放し飼いにしたものです。危険のない動物の場合は、檻の中に入って一緒に遊ぶことが出来ます。つい最近、小猿の逃走騒ぎがあったばかりですが、そのことで逆に話題を集め、客足をのばしています。
▼室内温室
百貨店の入り口近くに置かれたガラス張りの温室で、主に南方の植物を育てています。1年に1度だけ咲くシルバームーンという花があり、その日はこれを一目見ようという人々でいっぱいになります。
○ベニーナ広場
小型遊園地やパノラマ館といった娯楽施設が揃った広場で、子供たちに人気があります。
▼小型遊園地
霊子機関で牽引する超小型列車、噴水滑り台、メリーゴーラウンドなど、小スペースながら様々な施設が設置されています。
▼パノラマ館
パノラマというのは、曲面の壁面に描いた景色の前に模型を置き、実際の風景を見ているような錯覚を起こさせる装置のことです。直径30mほどのこの円形施設の中には、他国の大都市や山岳の風景、あるいは海洋冒険や大戦争の光景などが描かれ、その場に居ながらにして小さな旅行を楽しむことが出来ます。
○レストラン「銀の鈴音」
アーケード街にある落ち着いた雰囲気の高級レストランで、ボーイを呼ぶ時に銀の鈴を振ることから、このような店名がつけられました。常連客には、かの有名な新聞王「クレスト=フェラード」や、劇作家「アーリー=ハワード」、文化広場の設計に携わった「アメット=ファービアス」などがおり、彼らに近づくことが目的でここに通う田舎紳士も大勢いるということです。
○コーヒーハウス「ブルーウインド」
新しくできたコーヒーハウスの1つで、いつも大勢の客で賑わっています。貸本屋を兼ねた喫茶店となっており、店に置かれている新聞、小説、雑誌などを読みながら、軽食やお茶を楽しむことが出来ます。店の名前の由来はコーヒーの豆の名前で、ペルソニア大陸から輸入されているものです。この付近には珍しく大衆的な店となり、出入りする人々の格好も紳士・淑女といった堅苦しいものではありません。
1階は通常の店鋪となっていますが、2階は集団相手の貸部屋が幾つかあります。ここでは紳士クラブの会合が開かれたり、富裕市民がサロンの真似事をしたりしています。最近では、深迷クラブというミステリー好きの人々が集まって、ミステリー小説の批評を行なったり、巷で起こった事件の真相について推理を披露し合ったりしています。
店のマスターである「カート=ブルック」氏は賭事が好きで、適当なネタを見付けてはよく客と賭けをしています。最近では深迷クラブの影響を受けたせいか、犯罪事件を題材にした賭事が多いようですが、彼に推理の才能はないようで、ずっと負けが続いています。・関連:深迷クラブ
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人物・集団
▼黎明クラブ
開明派の知識人や企業家たちが集まる紳士クラブで、様々な新しいことに挑戦しています。過去にはコーヒーや自転車を一般に広め、現在は自動車や鉄道の普及を行なおうとしています。
▼深迷クラブ
ミステリー小説の批評を行なったり、巷で起こった事件の真相などについて推理し合い、楽しむためのクラブです。最近では自ら推理小説を書いたり、近所で起こった小さな事件に首を突っ込んで、解決に導こうとする者などもあらわれています。・関連:コーヒーハウス「ブルーウインド」
▼薔薇の夜明け神秘会
◇限定情報
放蕩生活を送る趣味人や退廃を好む芸術家、あるいは刺激を求める退屈した資産家といった人々が集まってつくった、上流階級の秘密の社交クラブです。彼らが掲げる目的は、独自の神秘思想に基づく神学研究と異教信仰ですが、実際のところは爛れた遊びを繰り返す遊興会に過ぎません。彼らは週末にメノウ通りにあるクラブハウスに集まり、贅沢な宴を開いて怠惰に過ごしたり、麻薬や乱交といった享楽に溺れています。
▼新聞王 クレスト=フェラード
種族:白人 性別:男 年齢:55 職業:新聞社社長
居住:メノウ通り 出身:ロックグリン市解説:新聞王として名高い叩き上げの経営者であり、非常に斬新な発想の持ち主です。彼はもともと製紙工場主の息子でしたが、父から会社を引き継いだ直後に新聞社を買収し、その経営に乗り出すことになります。買収された新聞社というのは、ロックグリン市の地域紙を発行しているごく小さな新聞社で、彼の親友が経営していたものですが、その友人が亡くなって経営が行き詰まり、彼の妻と子を助けるために新聞社を買い取ることになったのです。
彼は効率の良い新型輪転機の開発を進めるとともに、自らの製紙会社で製造した安い紙を使って販売価格を抑え、わずか数年で小カルドレン島のトップシェアを獲得します。次にフェラードはアイリストールに自らの新聞社を構え、神大学で教鞭を取っていた若き経済学者「バリー=タウンゼント」を引き抜き、信頼性の高い情報を提供する経済紙を創刊します。
こうして誕生したロンデニア・フィナンシャルの評判は瞬く間に広まり、数年で経済界には欠かせない存在にまで成長を遂げます。そして、フェラード社に集まった多額の投資金をもとに、1部100エランという低廉な価格で全国紙の販売を始め、一躍トップの座に躍り出ることになるのです。
彼は能力を重んじるタイプで、年齢に関係なく才能と野心を持つ者を、どんどんと社に取り入れて行きました。また、記事の正確性にはとことんこだわり、自社で大量の馬車を買い入れて専用の情報伝達網を整備したり、記者以外にも政治や経済の専門家を顧問に抱えることで、人々の確固たる信頼を得るに至るのです。
こうして、彼の経営するフェラード情報通信社は、国内最大の新聞社へと成長を遂げ、この社が発行している3紙の新聞は、この国のシェアの5割以上を占めています。他社がこの状況を覆すのは非常に困難なことであり、この先もっと引き離されると予想する人が多いようです。一言:「これからは情報の時代だよ」
・関連:フェラード情報通信社、フェラード通信局本部
▼レネト=ベルクレール男爵
種族:白人 性別:男 年齢:37 職業:趣味人/貴族
居住:メノウ通り 出身:アイリストール市解説:変異現象の研究家として有名で、社交界随一の変わり者です。車椅子に乗って生活しており、あまり遠出をしたことがありません。しかし、好奇心に溢れた人物のようで、よく冒険者や旅の芸術家を家に呼び寄せては、様々な話に耳を傾けているようです。
限定情報:幼い頃に変異の影響で足が奇形化したため、教会の目を欺くために切断したという経験があります。
一言:「変異ですか? ……その薄ら寒いほどの不気味さの裡には、神々しささえはらんでいるような、そんな気がするのです」
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