解説/吸血鬼

概要吸血鬼化支配と階級その他


 

概要


○不死族/吸血鬼

 人間の血を糧として永遠の生を得る化け物です。不死族の一種として考えられていますが、その中でも特に忌み嫌われています。
 日光を弱点とし、強力な再生能力を持つという特徴のために、一般には不死者の仲間と混同されています。しかし、実際には不死者とは根本的に異なる存在のようです。ほとんどが瘴気に属しますが、噛まれた程度によっては不完全であることもあります。


○知識判定

 一般分野:怪物知識(一般:記憶+異端知識)
 専門分野:異端判別/怪魔(専門:記憶+異端知識)


○吸血

 彼らは以下のような理由から吸血を行ないます。


▼永遠
 彼らを不死の怪物たらしめているのは血液であり、吸血なしでは治癒の力や永遠の命を維持できません。しかし、彼らは自ら吸血鬼化した者の血でしか、不死の源となるエネルギーを獲得することはできず、そのために犠牲者を求めて夜の狭間をさまようのでます。

▼衝動
 血を吸わないまま長く過ごした場合、吸血鬼は飢えと渇きに苦しむことになります。

▼孤独
 永劫の時を生きる彼らは、心の隙間を埋めるために眷属を増やすこともあります。しかし、本人がそのことに気づいているとは限りません。


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吸血鬼化


 吸血鬼化の特殊能力を持つ吸血鬼は、噛んだ相手を吸血鬼とすることができます。吸血鬼はこれによって相手を瘴気属性に変化させなければ、その血を吸っても糧とすることは出来ません。


○過程

 相手を噛んだ回数と時間によって、吸血鬼化の程度が変化します。


▼最初の吸血
 唾液を介して吸血鬼となる精素(エキス)が注入されます。この時、生命抵抗の判定に失敗すれば、瘴気属性への転換が始まります。この状態に陥った者を、「吸血の贄」(ブラッド・サクリファイス)と呼びます。

▼24時間の空白
 属性変化が進行し、24時間で不完全な変化を遂げます。ただし、この時点ではまだ完全に瘴気に属する生物となったわけではないため、まだ吸血鬼の餌にはなりませんし、日光を嫌うもののダメージを受けることもありません。

▼2度目以降の吸血
 再び吸血が行なわれ、2回目の生命抵抗に失敗すれば、その肉体は完全な瘴気属性へと変化を遂げます。この過程は約数分で完了し、完全体の吸血鬼が誕生します。なお、いかなる階級にある吸血鬼でも、この段階を経なければ主人となる吸血鬼の糧とはなりません。


○生命抵抗

 噛まれた者が吸血鬼化を防ぐためには、生命抵抗の判定に成功しなければなりません。判定の目標は効果値となり、基準は吸血鬼化の特殊能力のデータに記されています。この抵抗に失敗した場合は【生命値】にダメージを受けますが、これは属性転換によって受ける影響です。


▼修正値
 最初の生命抵抗に成功していれば「吸血の贄」とはならず、抵抗し続ける限りにおいては吸血鬼化することもありません。しかし、2度目以降に噛まれた時は、その回数だけ抵抗判定にマイナスの修正値が与えられます。たとえば、3度目に噛まれた時は−3修正という具合です。そのため、抵抗判定に何度か成功したとしても、繰り返し血を吸われることになれば、いつかは必ず吸血鬼となってしまうことになります。
 この修正値は術法による浄化によってリセットすることが出来ます。浄化の難易度は噛まれた回数となります。


○飢えと発狂

 吸血鬼に1度噛まれて属性転換がはじまった「吸血の贄」は、食べ物の代わりに血液を欲するようになります。そして、長いあいだ血を飲まないでいると、いずれ精神に異常をきたしてしまいます。これに耐えるためには、難易度1の自我抵抗に成功しなければなりません。
 この判定は1日ごとに難易度が1上がってゆきます。抵抗に失敗した場合は暴れだしたり、自分を傷つけて血を飲もうとしたり、あるいは近くにいる者を襲って血を吸おうとします。また、この判定に失敗した時は、さらに自我値にダメージを負うことになるため、回復が間に合わなければいずれ発狂してしまうでしょう。


○解除

▼阻止
 2度目以降の吸血によって完全な吸血鬼になるか、発狂して屑鬼(なりそこない)になる前に噛んだ吸血鬼を滅ぼせば、吸血鬼化を防いで元の状態へと戻すことが出来ます。ただし、吸血鬼を倒しても即座に治るわけではなく、噛まれてから経過したのと同じだけの時間を要します。

▼属性転換
 
吸血鬼化した後は、完全な瘴気生命体になってしまいます。これを治す手段は、浄化系の『聖気転換』の術しか知られておりません。ただし、これを使える聖職者は数えるほどしか存在しないようです。
 なお、屑鬼もこの手法で元の肉体に戻すことが出来ますが、崩壊した自我までを癒せるわけではありません。


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支配と階級


○階級

 吸血鬼とその眷属には階級があり、以下のように分類されます。


▼半吸血鬼
 まだ完全な吸血鬼にはなりきっていないもので、通常の生物の範疇に含まれる存在です。そのため、血液から栄養を得ることはできないのですが、吸血への衝動を抑制することは出来ず、精神的な苦痛に悩まされることになります。
 
◇吸血の贄
 吸血鬼化に対する生命抵抗に1度だけ失敗した犠牲者です。日光を嫌い吸血衝動に悩まされるようになりますが、まだ吸血鬼には成りきっておりません。噛んだ吸血鬼は、この贄の感覚を自分のもののように受け取ることができますが、命令を下すことは不可能となります。

◇屑鬼
 吸血の贄が発狂し、自我のない怪物に変化したものです。彼らは狂気により自ら闇に落ち、瘴気属性へと変貌を遂げています。
 1度この状態に陥ってしまった者は、噛んだ吸血鬼の束縛から解き放たれているため、再び血を吸うことで吸血鬼化することは出来ません。また、仮に最初から吸血をやり直したとしても、自我を持たず主人の命令に従わないので、噛んだ側もなりそこないを相手にしようとはしません。


▼吸血鬼
 いわゆる吸血鬼として、永遠を生きる怪物です。
 
◇下位吸血鬼

 吸血鬼の中では最も下位の存在で、主人の命令を受けて活動することが殆どです。命令を与えられていない時は、屑鬼と同様の理性のない怪物でしかなく、無差別に生者を襲うだけの危険な存在となります。

◇吸血鬼
 いわゆる吸血鬼といった場合に思い浮かべる存在で、自らの意思で活動する闇の支配者です。

◇吸血公主
 吸血鬼をも凌駕する伝説の存在です。真祖とも呼ばれ、氏族の長として一族の全てを支配しています。


○支配法則

 以下のようなルールに従って上下関係が定まります。


▼眷属
 吸血鬼化を行なった者は主人となり、血を吸った相手を眷属(一族)として支配下に置くことが出来ます。
 主人は離れた場所から眷属と意思疎通を図ったり、自由に操ることが出来ます。また、彼らが知覚しているものを、自分の感覚と同じように認識することも可能となります。
 また、主人となる吸血鬼は、眷属の支配下にある者を従えることも出来ます。そのため、長く生きてきた吸血鬼の場合は、氏族の長として君臨している場合が多いようです。

▼階級の選択
 吸血鬼は犠牲者を吸血鬼化する際に、どの階級の眷属とするかを選択することが出来ます。指定できるのは自分と同格の階級までで、より上位の吸血鬼へと変貌させることは出来ません。
 通常は自身よりも下位の階級に定め、同格とするのは永遠を共に生きるパートナーとして選んだ者ぐらいです。なお、同じ階級の吸血鬼であったとしても、吸血を行なった側が主人となるルールに変わりはありません。

▼支配解除
 自分の主人となる吸血鬼の血を飲んだ場合、眷属はその支配から解放されます。しかし、これによって相手を支配できるというわけではありません。


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その他


○特殊能力

▼吸血鬼化(能動発動)
 噛んだ相手を吸血鬼化することができます。生命抵抗の判定に失敗した場合は、差分ダメージを生命値に受けると同時に、肉体が瘴気属性への変換が引き起こされることになります。

▼仮死休眠
 吸血鬼および吸血公主は、自らを仮死に陥らせることによって休眠状態へと移行することが出来ます。これは吸血鬼自身が決めた特定の条件が破られるまで、効果は永続します。ただし、他の者がその条件を成立させたからといって、吸血鬼が休眠状態に陥るわけではありません。

▼眷属支配
 自らが吸血鬼化した眷属や、その下僕となる吸血鬼たちを支配することが出来ます。この能力により、相手と意思疎通を行なったり、命令を与えて行動を操ったり、その感覚を自分のものとして受け取ることが可能となります。これは離れた場所から念じるだけ効果を発揮します。知覚力を借りている最中も自身の感覚を失うことはなく、同時に複数の情報を受け取ることが可能です。
 これらの能力を発動する場合は能動行動として扱われますが、1度だけ念じれば継続して効果を発揮します。また、停止はいつでも自由に行なうことが可能で、これは瞬間行動として扱われます。


○弱点

▼日光
 日光によるダメージは、1ラウンドにつき4ポイントとなります。ただし、これは日ざしが強い時の基準であり、季節や天気の状態によってダメージは1〜4までの値を取ります。

▼選択
 吸血鬼および吸血公主は、その個体にのみ有効な何らかの弱点を1つ持ちます。GMが定めた条件が達成された時、彼らは自動的に死に至ります。


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概要吸血鬼化支配と階級その他