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TRPGを遊ぶ上で、プレイヤーは以下のような点に注意を払う必要があります。
■ 協調 ■ |
▼役割分担
TRPGは複数の人間が参加するゲームですから、それぞれに与えられる役割というものが存在します。自分が多く登場した方が楽しいのは間違いありませんが、全てのシーンで活躍しようとして他人の見せ場を奪うようなプレイは控えるべきでしょう。全員が楽しくゲームを行うことも、ゲームの目標の1つです。そのことを忘れず、周りの状況に気を配りながら遊ぶよう心掛けて下さい。
▼周囲の意見
同様の理由から、TRPGでは周囲の意見をよく聞いて判断することが求められます。自分の考えが絶対に正しいと思っても、他人の意見を頭ごなしに否定したりせず、相手を尊重しながらプレイを進めるように注意しなければなりません。
これは相手が初心者で、ゲーム世界やルールについて何もわかっていない場合も同様です。どのような判断基準があって、その行動にどのようなメリットやデメリットがあるのかを説明してから、相手の意見を再確認すればよいでしょう。
■ 目的の対立 ■ |
▼解釈
ゲームには一応の目的が設定されていますが、その解釈は必ずしも一義的ではありません。刑事が事件を解決するという目的を与えられたとして、強行突入して犯人をとらえるという手段もあれば、説得して自首させるなど、さまざまな解決法が考えられます。
多くのTRPGでは、スポーツのように数値で単純に比較できる目的ではなく、解釈にある程度のゆとりを持った目的設定がなされています。ですから、ゲームの目的という大枠に沿った行動を取りながら、なおかつ自分が設定した目標を充たすことも可能となります。
▼立場と目的
このような解釈の違いが認められるのは、立場によって目的に対するスタンスが異なるためです。TRPGではゲームの目的、シナリオの目的、パーティーの目的、キャラクターの目的など、幾つかの異なる目的が設定される場合があります。また、キャラクターの目的をとってみても、社会的な立場としての目的と、個人の目指すものが必ずしも一致するとは限りません。
問題となるのは、それぞれの目的が対立した場合です。この時は、そのシナリオの目的が何かということを、まず思い出して下さい。そして、解決手段を考えるにあたって、その他の目的を判断基準とすればよいでしょう。
なお、こういった要素の対立は、ゲームを妨害する要素とはなりません。このような選択を行う際の葛藤は、TRPGの大きな楽しみの1つといえるものです。
■ 目的と個性 ■ |
キャラクターを表現することとゲームの目的は、必ずしも一致するわけではありません。これが対立するようなシナリオを遊ぶ場合、どちらの要素を優先するかというのは、ゲームを進行する上での大きな悩み所といえるでしょう。
▼優先順位
〜という性格だからゲームで設定された目的を果たさなくてもよい、という意見はゲームにおいては成り立つものではありません。逆に、目的のためだからといって個性や役割と大きくかけはなれた判断を下すのも、役割を演じるゲームであるTRPGでは大きな問題となります。
設定されている目的と役割を演じることのどちらも充たして、初めてゲームが成立しているといえるでしょう。ゲームの参加者がこのことを忘れていると、そのゲームが持つ固有の楽しみを得られないばかりか、周囲に迷惑をかけることにもなりかねません。
▼大前提
TRPGは複数の人間が参加して行うゲームですが、参加者同士で勝利を競うゲームではありません。全員が楽しむということは、ゲームの目的以前に存在する大前提といえるでしょう。ですから、キャラクターの個性を表現することで他人に迷惑をかける場合は、どのような状況であっても控えるよう心掛けて下さい。
◇食い違い
もし、こういった点について意見の食い違いが起こった場合は、自分の立場をスポーツや他のゲームにたとえてみればよいでしょう。そうすれば、自分が何をしているのか、そして何をすればよいのかが明確となるはずです。たとえばサッカーにおいて、自分がドリブルが好きだからといってドリブルばかりしているプレイヤーがいたらどう思うでしょうか? また、野球で一番バッターになったとして、ホームランが好きなら大振りばかりしてよいのでしょうか? このように性格やプレイスタイルを理由にして、ゲームで果たすべき目的から遠ざかるような選択をするプレイヤーは、集団のお荷物でしかないのです。
自分が有利に事を進めたいだけ、あるいは好き勝手に行動したいだけならば、自分の頭の中で空想するなり小説でも書けばそれで済むことです。自分をゲームに参加させてもらえない存在に貶める前に、全員で楽しむという最大の目的を思い出すようにしましょう。
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ゲームを進める上で、キーパーは以下のような点に注意しなければなりません。
■ 役割 ■ |
▼敵対
TRPGでは、キーパーはプレイヤーやキャラクターと敵対する存在ではありません。ゲームの目的は与えられた課題を達成することであり、キーパーとプレイヤーとの間で勝敗を決めることではありませんので、そのことを決して忘れないで下さい。
▼審判
キーパーは審判としての役割を担っているわけですから、公平な存在でなければなりません。ゲームのルールを厳密に解釈して、何から何まで杓子定規に適用する必要はありませんが、少なくともPCに応じてルールの適用基準が変わったり、プレイヤーが不公平だと感じるような扱いをしてはいけません。
▼接待
キーパーはシナリオという形で、プレイヤーが楽しめる仕掛け(イベントなど)を用意しなければなりません。しかし、キーパーはプレイヤーのお守りをする役ではないので、プレイヤーの要求に全て応じる必要はありません。キーパーもゲームの参加者の1人ですから、自分もゲームを楽しむ権利がありますし、プレイヤーを楽しませる義務を負っているわけではないので、その点については注意して下さい。
■ ストーリー進行 ■ |
▼目的の提示
PCが何をすべきかを伝えることで、プレイヤーはようやく行動を選択することが可能となります。ゲームの目的を伏せたままでは、プレイヤーは何をしていいかわからず、ただ無駄に時間を費やしてしまうことになります。もちろん、目的を直接伝えないまま誘導して、PCを罠に陥れるようなシナリオも存在しますが、そういった場合でも、その時点で行うべき行動や目的を示唆する情報は、必ず与えておく必要があります。
▼選択肢
シナリオには必ず選択肢を用意しなければなりません。また、局面での判断を行う場合でも、悩むべき要素は幾つか盛り込んでおくべきでしょう。プレイヤーが考え、判断する要素があってこそ、ゲームとしてのTRPGが成立するといえます。
▼分岐
キーパーは事前に想定したストーリー展開にこだわるべきではありません。物語はキーパーだけがつくるものではなく、キーパーとプレイヤーの双方の共同作業によって紡ぎ出されるものです。いかに美しい物語を考えたとしても、PCの行動の結果に関係なく決められていた結末を迎えるのであれば、プレイヤーがゲームに参加する意味はなくなってしまいます。シナリオやストーリーというのは、ゲームを成立させるために存在するということを、絶対に忘れないようにしましょう。
■ ルール ■ |
▼把握
キーパーはゲームの審判役を引き受けるわけですから、世界観と同様にルールについてもよく把握していなければなりません。ですから、キーパーは事前にルールによく目を通しておく必要があります。
◇バランス調整
シナリオにおけるゲームバランスや個別のデータバランスは、PCの実力やシナリオの目的に応じたものでなければなりません。キーパーはこれらのバランスを可能な限り調整し、プレイヤーがゲームを楽しめるように設定しておく必要があります。
▼解釈
キーパーは審判であって、存在そのものがルールというわけではありません。あくまでもルールに従った判断を下し、その結果を適用しなければなりません。しかし、そのルールをいかなる場面で適用するか、迷った時にどのようなルール解釈をするかについては、キーパーにその判断が委ねられています。また、ルールの取捨選択についての権利も、キーパーの側にあります。
▼基準の変更
1つのセッション内では、1度決めた基準を変更しないよう心がけなければなりません。判定の基準は判断の基準でもあるわけですから、それがキーパーの気紛れで頻繁に変更されるようだと、プレイヤーは強い不満を抱くことになります。同様に、新しいルールを作成したり、キーパーの判断でルールを改編したいと考えた場合にも、判定を行う前にプレイヤーに変更点を伝え、了解を取っておかなければなりません。
▼ミス
キーパーといえども、ルールを全て覚えて完璧に適用することは出来ません。しかし、ミスに気づいた場合は、何らかの対処が必要となります。これが単なる間違いであれば、その場で判定のやり直しを行うなどして対応すればよいでしょう。しかし、過去に遡って問題を訂正する場合には、セッションの展開に与える影響を考慮しなければなりません。
こういった状況では、まずセッションの進行を優先し、状況に矛盾が出ないよう対処するのが一番よいやり方でしょう。これが原因で参加者の間で議論となる場合がありますが、セッションが停滞して時間をロスする上に、参加者に不快感を与えることにもなりかねませんので、なるべく避けるよう努めて下さい。セッションを成立させることが第一だと理解してもらって、議論はセッション終了後に行うのが理想的です。
■ NPC ■ |
キーパーはNPCを通じてゲームの世界に干渉し、ストーリーを進めてゆくことになります。しかし、その扱い方を間違えるとゲームの進行に悪影響を及ぼす可能性もありますので、キーパーは以下のような点に注意しなければなりません。
▼愛着
NPCに過剰な思い入れを抱くことは禁物です。ゲームプレイヤーとしてのキーパーは、NPCはコマの1つとして割り切って扱い、その役割を果たすことを第一に考えなければなりません。もし、ストーリー進行の上で必要と考えるのであれば、愛着のあるNPCが危険な目にあっても無理な救済は行わずに、切り捨てることもしなければならないのです。
▼立場
NPCに愛着を持ち過ぎるのも問題ですが、コマとしてしか扱わないのも考えものです。NPCといえども、それが人間であれば死を恐れたりするのは普通のことですし、それぞれに生活や目的というものが存在します。NPCがゲームのコマであるのは間違いありませんが、シナリオ上での役割を果たすという意味でのコマなのです。ですから、理由もなく命を粗末に扱ったりしてはいけませんし、立場と行動に矛盾が生じないように行動を決める必要があります。
▼活躍
そのNPCがいかに重要であったとしても、PCの出番を奪うような存在になってはいけません。PCの出番がなく観戦しているだけだったり、最後にNPCがPCの活躍の場を奪ってゆくようなセッションは論外であり、選択肢のない一本道のシナリオと並んで、キーパーが絶対にやってはいけないことの1つです。
もし、NPCに頼むことでシナリオが終わってしまう状態にあるのだとすれば、NPCを探すまでをシナリオのメインストーリーとして、課題を達成した時点でエピローグへと移行してしまって下さい。PCの行動による成果を最も大きいものとしてクローズアップしなければ、プレイヤーの達成感が大きく削がれることになります。ですから、NPCの活躍をわざわざ詳細に伝える必要はなく、それ以降の描写は極力控えるよう心掛けなければなりません。
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SacrificeSyndrome-Trpg