サイバーな有機体、サイボーガニックは
ネット上の『めぞん一刻』だ
●Cyborganic http://www.cyborganic.com/
人によってインターネットに魅せられるきっかけはいろいろだと思うけれども、僕にとっては去年の夏(*95年のこと)のこのサイトとの遭遇が決定的だった。今はだいぶデザインが変わってしまったが、当時はミツバチの巣を模したグラフィックで、そこからGardenというページに飛ぶと、このサイトにウェブページをもってたり、リンクを貼っている人たち(The Cyborganics!)の顔写真やイラストが無造作に張り付けられていた。これがコンピュータとネットワークによる有機的(オーガニック)なコミュニティを標榜するCyborganicとの出会いだった。
元Hotwired編集長のハワード・ラインゴールドや、Links from undergroundのジャスティン・ホール、デザイナーのニック・フィリップといった有名人のページに混じって、いずれも一癖ありそうな連中の顔写真をクリックすると、それぞれに個性的な彼ら彼女らのホームページへジャンプする。まるで高橋留美子の『めぞん一刻』に出てくるあの奇妙なアパートみたいな、ある種の集合住宅が醸し出すコミュニティ感覚がそこにはあった。
実際、Cyborganicはサンフランシスコにある集合住宅が本拠地になっている。そこに住んでいる若い連中が安いPCをつないでコチョコチョやってはじめたものらしい。WELLやHotwiredがベビーブーマーたち、つまり日本で言えば団塊世代のセンスで運営されているのに対して、Cyborganicは、僕らと同世代のもう少し若い世代が、ごくふつうの日常感覚の延長でやってる感じがしてとてもシンパシーを感じた。
現在のCyborganicは森のメタファーでできていて、(bOIMG bOINGのカーラ・シンクレアによるNetChickClubhouseや、anonymous)などいくつかの優れたウェブジンへもここから飛んで行ける。こうやってリンクされあうことによって、これらのウェブジン同士も、互いに緩やかに組織(organize)された一つの有機体(organics)を形成しているかのようだ。Cyborganicは、世界中の個人がそれぞれstand aloneでありつつnetworkしあう、というインターネットが切り開いた新しいコミュニティのあり方を実践している最良のサイトの一つだと思う。
copyright 1996 Kentaro Mizumoto
この原稿は、1996年にアスキーから出た、『感じる! インターネット』のために書いたものです。
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