アトピー治療の病院選び(『Reborn』62号より)
構成/曽我部ゆかり(『Reborn』編集部)
監修/江部康二(高雄病院理事長)
アトピーが難治・重症化するなかで、病院を転々とする患者さんが多くみられます。しかし、どの病院へ行っても結果はかんばしくなく途方に暮れてしまい、しかもステロイド外用剤に対する恐怖心から医師への不信感も高まり、独断で重症のまま放置してしまう…。そして、最終的には高額な民間療法に手を出して…といったケースが後を絶ちません。
アトピー・ネットワーク・リボーンは、皆さんもご存知のようにステロイドを媒介に失われてしまった医師・患者間の信頼関係を回復することを一つの目的として結成されました。
そこで、良心的な病院・医師の見わけかた、自分にあった治療法の選びかたを提案してみます。
リボーン・ネットワーク 提携医療機関は、リボーンの活動に賛同してくれ、なおかつリボーン運営委員が勧める医療機関です。おもに漢方治療やホリスティックな視点からのアプローチをしている医師とのネットワークです。リボーンに入会された方が通院しやすい場合は、ぜひ、受診してみてください。診察にあたっては予約が必要な場合が多いので、まず電話で確認してください。
残念ながら、通院可能な病院が近所にない場合には、これから提案する内容を参考に病院選びをしてみてはいかがでしょうか。
一、初診時に、これまでの病歴、現在の症状などをきちんと問診してくれる。
二、患部をきちんと診察してくれる。
三、その日実施する検査や治療内容をきちんと説明してくれ、必要最低限にとどめてくれる。
四、処方する薬の種類や内容、副作用について、またその薬の服用のしかた、塗布のしかたをきめ細かく説明してくれる。
五、会計が明瞭で、患者の請求に応じ、会計内容をきちんと提示してくれる。
以上が、良心的なお医者さんかどうかを見分ける基準なのではないかと『Reborn』編集部では考えています。
その上で、医師としての知識や経験に基づいた適格な診断がなされるかどうかが問題なのですが、それを一回の診察で患者さんが判断するのはむずかしいかもしれません。世間の評判に頼るしかないのですが、この「世間の評判」というのも案外曲者です。やはり最後は自分の勘をしっかり働かせたいものです。
とくに薬の説明の段階で、どんなお医者さんなのか、判断できるかもしれません。アトピーの場合、医師のステロイド外用剤の濫用が患者さんの信頼を失う結果になってしまっているわけですが、患者さん自身もある程度の知識を持って対応して欲しいと思います。 『Reborn』別冊の『ステロイドの上手なぬりかた・やめかた』を熟読し、納得のいかないことはどんどん担当医に質問しましょう。もし、質問にきちんと答えてくれないようでしたら、その医師にはもう診てもらわない、という覚悟も時には必要です。
また、とくにアトピーのような生活習慣病においては、皮膚の症状に関することだけでなく、ストレスをはじめとする心理的な問題、食事の内容や睡眠時間など、毎日の生活習慣、衣類、住環境などもふくめてアドバイスしてくれるかどうかも判断基準となるでしょう。
ただしお医者さんによってはそれぞれ得意分野があります。あなたがいまどんな治療を希望しているか、ということで、医療機関選びの基準も大きく変わってきます。
ところで、アトピーは単一の要因で発症するわけではなく、様々な要因が重なって発症する症候群です。もちろんベースには、皮膚のバリア機能が低下していて、外的な刺激に弱いという弱点があります。アトピーの全体像で示したアトピー・コップを思い出してください(『Reborn』50号参照)。このアトピー・コップを念頭におき、治療選びをはじめましょう。
まず、現在のあなたの症状は、次のどの段階にあてはまるでしょうか?
(一)最近、湿疹がでたり皮膚の状態がかんばしくなく、アトピーかもしれない、と思うようになった。
(二)長年、アトピーとつきあっているが、このところ症状は安定している。もう一歩踏み込んだ治療を受けて根治させたい。
(三)長年アトピーとつきあってきて症状は一進一退だが、最近とくに皮膚症状が悪化している。
(四)ステロイドを一気に中止して、リバウンドを起こし症状が急激に悪化してしまった。
まず、(三)(四)にあてはまる人は、きちんとスキンケアをした上で、抗炎症作用のある外用剤を適切に使って炎症を鎮めることが先決です。西洋薬ではステロイド外用剤やプロトピック軟膏などが有効で、炎症を抑えるという意味ではステロイドに勝る薬はありません。ただし、これらの副作用のある薬の場合には、独断で使うのではなく、通院可能で評判のよい皮膚科を見つけ、まず、受診してみてください。そして、きちんと現在の自分の症状について説明し、不安に思っていることなども告げ、医師とのコミュニケーションを積極的にとるようにしてみましょう。そこで、良心的な医師かどうかを、見分ける基準を思い出し、あてはめて判断してください。良心的なお医者さんであると判断できたら信頼関係を築く第一歩となります。信頼関係が築けたら、症状が安定するまでは医師の指示に従うほうが賢明でしょう。患者さん自身の判断で、薬を使ったりやめたりするのは治療そのものが混乱し、良い結果を得られません。もちろん治療の過程で疑問に思うことや不安があれば、遠慮はいりません。どんどん医師に相談してください。
(一)にあてはまる人は、小児科(小児の場合)でも皮膚科でも、内科のアレルギー科でも、漢方専門の機関でも構いません。アレルギー疾患の患者さんを多く診ている医師に診断してもらい、アトピーだと診断されたら、今後の治療計画をともに考えてくれるよう積極的に働きかけてみましょう。
(二)にあてはまる人は、
(A)食生活を見直したい。
(B)心理的な問題を解決したい。
(C )上手なスキンケアを学びたい。
など、その人にとって、いま必要としているケアの内容は変わってくるのではないでしょうか。リボーンとネットワークしている提携医療機関はいずれも熱心にアトピー治療に取り組んでいます。『Reborn』では、随時、取材などを行って、提携医療機関の紹介をしていきたいと思います。
また、アトピー治療のキーワードをもとに、BOOKSでご紹介している『Reborn』別冊ブックレット『ステロイドの上手なぬりかた・やめかた』『プロトピックの上手なぬりかた』(リボーン)や『ドクター江部のアトピー学校』(東洋経済新報社)などを参考にしてもらえたらよいでしょう。
アトピーのような生活習慣病の場合は、患者さん自身の取り組みがなにより大切です。その上で、医師や看護士、管理栄養士、臨床心理士(カウンセラー)、鍼灸士など専門家のサポートを得て、アトピー改善の道を目指しましょう。
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