Seotaiji & Boys
 ヘヴィメタル・バンド"シナウィ"のベーシストであったソテジが1992年に結成した革新的ダンス・グループ。韓国ではアイドル・グループと認識されているソテジ・ワ・アイドゥルですが、ソテジの音楽センスは卓越しており、後の韓国音楽メジャー・シーンに多くのフォロワーを生み出しました。また韓国において、卑しい者と認知されていた演芸人の位置を、社会的に高めた彼らの功績は大きかったといえます。残念ながらソテジ・ワ・アイドゥルは1996年に解散していますが、ソテジ、ヤン・ヒョンソク、イ・ジュノの各メンバーは現在でもソロ活動を行っています。

*ライブ盤およびミニ・アルバムは掲載しておりません。

Released
(Up)date
Jacket
Title
Comment
1992
1集
 ウルトラ大ヒット曲"ナン アラヨ"(私は知っている)を含んだソテジ・ワ・アイドゥルの輝かしきデビュー作。韓国歌謡にラップを導入した"ナン アラヨ"は今の韓国歌謡の原形になったと言えるでしょう。
 ダンス・アルバムの印象が強いように言われる1集ですが、むしろ洗練されたエレポップといった作風です。特に"ナン アラヨ"と"ノワハムゲハン シガンソゲソ"(あなたといっしょにいられる時の中で)は名曲です。
1993
2集
 テクノ色が強いと言われるも、1集の延長線的作品で、ここにソテジ・ワールド完成を思わせるポップで、ひじょうに美しい作品です。ここで特筆すべきは2曲目"ハヨガ"(何如歌)の存在で、ラップとロックを見事に融合させており、ひじょうに革新的なダンス・ミュージックに仕上げています。
1994
3集
 1,2集とは打って変わりバンド・サウンドをコンセプトにおいた作品。ヘヴィメタル・アルバムと称されているようですが、実際にはパンク、ハードロック等が収められています。レベル的には、ひじょうに厳しいものがあるのですが、"キョシル イデア"(教室イデア)に関しては今のミクスチャー・ロックを思わせる出来で快作です。
 いわゆるソテジ・ワ・アイドゥルらしい曲も数曲あるのですが、全体的に散漫な作りになっています。ただし数字を出せる、彼らがファンを裏切るような行為にでたことには興味深いものがあります。
1995
4集
 3集にも増して散漫さが目立つも、アンチ・コマーシャル曲がズラリ顔を揃えたソテジ・ワ・アイドゥル最高傑作。中でもイントロ、Aメロ、サビすべてが完璧な"ピルスン"(必勝)はロック・ナンバーとしては言うことなしですし、ミディアム・テンポの地を這うベース・ラインに女性コーラスが交ざる"Come Back Home"は今聞いても全然古さを感じさせない最強のクラブ・ナンバーです。この2曲を聞くだけでも、このアルバムを買う価値があります。
1996
Goodbye
Best Album
 ソテジ・ワ・アイドゥル唯一の公式ベスト盤。彼らのほとんどの代表曲が発表順に収録されています(ただし、リミックス・テイク1曲、ライブ・テイク3曲含む)。ソテジ自身毎回コンセプトを変えたアルバムを提示してきたわけですが、このベスト盤を聞くと、やはり同じ人が作った曲なんだなと、その統一感を改めて感じさせられます。
 余談ですが、涙なくしては聞けない、ヴォーカル入り"Good Bye"は、このベスト盤でしか聞けません(4集収録の"Good Bye"はインスト・バージョンです)。

Seotaiji

Released
(Up)date
Jacket
Title
Comment
1998
1集
 グランジ・ロックに挑戦したソテジ・ソロ第1弾。ソテジ・ワ・アイドゥル時代のポップ性やダンス・ミュージック指向を一切排除した点や各楽器やプロデュースをセルフで行っている点は評価したいのですが、一人でやっているため、本来狙い目にあたるバンド・サウンドのグルーヴ感が皆無で、また米国ロックの流行りを、そのままもってきたことも残念です。そして残念続きにソテジ・ワ・アイドゥル時代のロック・ナンバーより出来の良い曲は入っていません。
2000
2集
 オルタナ・アルバム第2弾。今回はミクスチャー・ロックを手掛けており、1集に比べれば米国のオルタナ・ミクスチャー勢に対抗できるだけの楽曲が用意されています。ただし今回もセルフですべてをこなしているため、直進的な音が目立ち、いわゆる横ノリを体験することは出来ません。
 ただソテジの人気のおかげもあるでしょうが、このようなマニアックなアルバムをダンス・ミュージック主流の韓国音楽メジャー・チャートに叩き込めるという状況も実に面白い話です。
 余談ですが、隠しトラックにソテジ・ワ・アイドゥル2集に収録されていた"ノエゲ"(あなたに)のロック・バージョンが収録されています。
2001
Live Album
2000-2001

 "Seotaiji Band"名義で発表されたライブ2枚組作品。1,2集においてスタジオ・ワークが故に不完全燃焼に終わってしまった楽曲群が、ライブという絶好の舞台でついに開花します。観客と一体化となった演奏は絶妙で、もうアジアだからどうのと言わせないだけのライブ演奏を聞かせてくれます。
 またソテジ・ワ・アイドゥル時代の曲も9曲演奏しており、中でも今風の硬質なアレンジになった"ピルスン"、"Come Back Home"は聞きものです。そしてラストを飾るのは"ノワハムゲハン シガンソゲソ"、泣かせてくれます。
2004

(04.8.12)

3(7)集

Issue

 ソロ以降、個人的には盛り上がらないソテジですが、やはり期待してしまいます。
 ソロ以降、近年米国ロックに影響を受けていたせいか、今作も楽器の音色や楽曲のアレンジ等に米国オルタナ・ロック・テイストが見られますが、今作では、ヴォーカルやメロディー・ラインを非常に大切にしており、楽曲自体はソテジ・ワ・アイドゥルを彷彿させます。また突き抜けるようなロック・ナンバーが多く、聞いていて気持ちが良いです。正直言ってソロ作品の中では一番出来が良いです。また、これからも良質な作品を聞かせて欲しいものです。

Perfect Kiss