Roo'Ra
 1994年デビュー、"ルーツ・オブ・レゲエ"がグループ名の由来となっているルーラですが、厳密なレゲエ・ミュージックはほとんどなく、様々なヨコノリ・タイプのダンス・ミュージックを聞かせてくれます。ルーラの特徴はリーダーでもあるイ・サンミンの詰込み過ぎのラップとも言えますが、やはり核はキム・ジヒョンのセクシー・ヴォイスとチェ・リナの歯切れの良いラップにあると言えます(ただしキム・ジヒョンは5集、チェ・リナは1集には参加していません)。曲における、この三要素の分業は実に鮮やかで、聞いていて心地が良いです。近年、メンバーの高齢化や一貫した音楽性のため若年層から支持が得られず、2001年に残念ながら解散していますが(厳密には5集後一度解散し、6集で再結成しています)、男女混成グループの元祖でもあるルーラ、やはり90年代韓国歌謡において、忘れてはならない存在だと言えるでしょう。

*1・5集およびライブ、リミックス盤は掲載しておりません。

Released
(Up)date
Jacket
Title
Comment
1995
2集

ナルゲイルン チョンサ
(翼をなくした天使)

 ルーラ最高傑作。1集にレゲエのリズムをベースにした出世曲"ペギルチェ マンナム"(100日目の出会い)が収録されていますが、この2集に収録されているシングル扱い曲"ナルゲイルン チョンサ"もルーラ・サウンドの典型と言えます。
 確かに陽気で海の浜辺を連想させる曲がルーラの特徴ではありますが、2集にはかなりクールな曲も2曲程収録されており、スロー・テンポな前半からブレイク後ノイズ・シンセ・ベースと共にアップ・テンポに変わる"サランエ キド"(愛の祈り)はムチャクチャ・カッコ良く、個人的には一番好きな曲です。
 2集にはカバー曲"Hotel California" by Eagles、"Koreana(ただし原曲はEnglishman) In New York" by Sting(ex.Police)も収録されており、どちらもルーラ風アレンジで、彼らのセンスが伺われます。
1995
3集

天上有愛

 シングル扱い曲"天上有愛"を含んだ好盤。リズムが強調されている" 天上有愛"はひじょうにカッコ良く、しかも曲構成が通常のポップスらしくなく、さすが韓国歌謡と言えます。
 今作にもカバー曲"Come Together" by Beetlesを収録していますが、ブレイク時にジャングル・ビート(32ビート)を導入するなど、今作はリズム・パターンやリズムの音色をかなり凝った作りにしており、ルーラにしてはかなり実験的要素の強い作品になっています。
 またラストにはリズムの強化された" 天上有愛"のRemixバージョンが収録されており、こちらもなかなかイケます。
1996
4集

All System Go

 イ・ヒョンド(ex.Deux)をプロデューサーに迎え、製作された最強タッグ盤。
 TVドラマ「ファイティング・ガール」で、出演のユン・ソナがドラマ内で口ずさんでいた、ルーラの名曲"3!4!"は、この作品に収録されています。
 全体的にアメリカナイズされた趣きはありますが、韓国歌謡およびルーラ・サウンドはその中でも、しっかり健在しており、ルーラ円熟期作品と言えます。
1997
Best Album
 1集〜5集よりセレクトされたベスト盤。3集収録曲"天上有愛"がカットされているのは残念ですが、ルーラの代表曲をほぼ網羅した完璧盤です。
 ダンス・ミュージックという狭い枠内で、これだけ違ったタイプの曲を製造したルーラには脱帽致します。
1999
6集

Six n' Six

 ルーラ再結成第1弾。中近東音楽を連想させる、シングル扱い曲"キド"(祈り)は新境地であり、名曲と言えます。それ以外の曲もファンを裏切らない作りにはなっていますが、やはりパワー不足は否めません。"キド"の出来があまりにも良いだけに、残念な一枚です。
2000
7集

風變旗曲

 ルーラ再結成第2弾。欧州ダンスフロアの音色や韓国伝統音楽のフレーズを導入したり、音質を向上させたりと、その努力は評価したいのですが、飛び抜けた楽曲が見当りません。ただし、アップ・テンポなダンス・ミュージックが主流のなか、独自のルーラ・スタイルを貫いていることは立派だと言えます。
2001
8集

Best&Last

 新曲7曲を含んだリミックス・ベスト盤。新曲にしてもリミックス曲にしても、何か時間に追われながら作られた印象が強く、凡作が並んでいます。ファンからすると、ひじょうに寂しいラスト・アルバムと言わざる負えません。
 今後、各メンバー共、各々の活動に入ると思いますが、特にチェ・リナのPD活動には期待してみたいです。
2009
9集

A9ain

 ルーラ復活の狼煙とも言える8年振りの新作。再々結成なのか、今回きりなのか詳細が分からないところですが、作詞・作曲にイ・ヒョンド先生も参加していたり(2曲のみ)と、90年代の韓国歌謡を引っ張ってきた自負を提示するかのような、絶頂期に肉迫する快作に仕上がっています。
 近年のクラブ・サウンドの新しい音色等も所々入っていますが、原則は往年のルーラ・サウンド全開で、リード曲にあたる1曲目"Going Going"はまさに、その神髄とも言える1曲ですし、洗練されたダンス・ナンバー"Dance Dance"、ロック的アプローチを感じる"ウリガ カンダ"(私達が行く)(初代メンバーのシン・ジョンファンがゲスト参加しています。)、アコーステック風味の"チュウィヘソ"、(酔って)、そしてラスト・ナンバーに相応しく切なさが耳に残る"ピョリ チンダネ"(星が消えたね)はオススメです。

Bros

Released
(Up)date
Jacket
Title
Comment
1999
The Bros
 この年、ヤン・ヒョンソク(ex.ソテジ・ワ・アイドゥル)が集結させたYG Familyや、いくつかのラップ・グループが集結したHoney Family等の大所帯グループが話題になり、それに負けじとルーラのリーダーでもあるイ・サンミンが乗り出した企画盤。参加メンバーはルーラ、チェ・リナもデビュー当時参加していたDiva、今を時めくChakra、イ・サンミンの秘蔵っ子・X-Large等です。
 正直、企画色が強いのですが、"Eye Of The Tiger" by Surviverをサンプリングした、ルーラ名義のシングル扱い曲"Win Win"は結構カッコ良かったりしますし、Bros名義の、"Win Win"のリミックスとも言える"Bros 2000"も悪くはありません。

Perfect Kiss