下町漫画回顧展

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初出:ミステリーボニータ 1995年3月号
95.2.8発売 50P
雑誌掲載時の煽り文句
【時は平成———。久しぶりに日本の地を踏んだ浜路を待つものは———!?至高の超伝奇ミステリー!!】

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里見学園八犬傳について


「ミステリーボニータ」の特集「学校」での読み切りです。
実はわたしは「南総里見八犬傳」がかなり好きでして、小説もマンガも映画も何種類も集めたりしてます。そもそも子供の頃にNHKでやっていた人形劇「新八犬伝」にはまったのが始まりなのですが、八犬伝モチーフの漫画を描きたいとずっと思っていました。
で、50Pの読み切りに詰め込んでしまったわけですが、今読んでも当時の思い入れの強さを感じられる出来になっていると思います。あくまで八犬伝でありながら現代物で学園ものでオリジナルストーリーでなければならないわけで、解説書なども読みあさりまして八犬伝の設定の元ではないかという話もある八大童子やら文殊菩薩やらに関連づけていきました。
編集者には「8人は多いから3人くらいにしないか。」と提案されたのですが「そんなの八犬伝じゃないから!」と拒否。8人で描ききったのですが、実は作画に入ってからちょっと後悔しました。一コマに八犬士と浜路で9人いたりするわけで、作画に時間がかかることかかること。それだけに描ききった達成感はありましたけどね。
当時よく手伝いに来てくれていた、みつき和美ちゃんが描いた曼荼羅も見所のひとつですよ。

アオリ文句の「久しぶりに日本の血を踏んだ…」ですが、久しぶりも何も生まれたのは日本でも、0歳で出国してるのでちょっとニュアンスが違ったかな(^_^;)。

浜路は原作の二人の浜路のうち、どちらかというとあとの方の鳥にさらわれて新潟で育った里見の姫の浜路の方になります。
だったらアメリカじゃなくて新潟に預ければという話になりますが、現代の新潟じゃ近すぎるし原作でも怨霊の影響範囲内である新潟じゃ意味が無い。原作はほぼ関東甲信越が行動範囲内なのですが、人形劇の「新八犬伝」では沖縄まで行ってたというイメージが私の中では大きくて、国内じゃ怨霊から隠れるには近すぎると考えて海外にしました。

ストーリーには描けませんでしたが、浜路はアメリカ在住の事情を知っている父の知人(日本人)に預けられたという設定です。彼女が実の親が日本にいる事を知っているのは、父親には怨霊を調伏した暁には娘を呼び戻したいという望みがあったからで、「この子にはこの子の人生を」と言いつつ手放しきれない甘さがあったということです。
しかし預けられたその家で彼女が幸せだったかというと実はそうではなくて(もしかすると父親の甘さが怨霊の影響を許したせいかもしれません。)、だからこそ自分を手放した親への憎しみがあったわけです。その辺りは原作の最初の浜路とリンクする内容を考えてました。その家の息子というのが原作の網干左母二郎に当たる男で、浜路は常に身の危険にさらされていたけれど育ての親は実の息子可愛さに信じてくれない。
なんやかんやあってその息子は浜路に悪さをしかけようとして自業自得で命を落とすはめになり、育ての親との関係はいよいよ悪化。丁度そんな時に日本から呼び出しがかかったという展開でした。ここまで入れたらもう50P必要ですね(^_^;)。

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