******** うそばっかりのうささぎの話し ********

  

【第3部 第10話】1998年12月

 

さてさて、ヤギ先生の実験中にやって来たうささぎ。

 

うささぎ「アルバイト派遣センターから来たうささぎです。

     今日は『健康のためになる実験』のお手伝いということで来ました」

ヤギ先生「あー、待ってましたよ。

     今はもう実験が始まっているところです。こちらへ来てください」

うささぎ「はい」

 

一方、シャックリ発生装置にかけられたクロクロはというと、、、

 

クロクロ「ヒャッポ、ハッポ、ヒョッポ」

ヤギ先生「順調にシャックリが始まりましたね」

くまった「先生、実験大成功ですね」

ヤギ先生「まだ成功とは言えません」

くまった「へっ? でもシャックリが、このとおり始まっていますよ」

クロクロ「ケッポ、パッポ、シャッポ」

ヤギ先生「くまったさん、あなたはわかっていない。

     あなたには常識というモノがないんですか?」

くまった「えっ?」

ヤギ先生「私はみんなの役に立つような研究をしているのですよ」

くまった「はあ」

ヤギ先生「みんなの幸せのための研究をしているのです。

     シャックリを起こさせて、何の得(とく)になるというんです」

くまった「何の得にもなりません。かえって困ってしまいます」

ヤギ先生「そうでしょう。シャックリが始まると困るんです。

     普通は」

くまった「クロクロもだいぶ困った様子になってきましたけど、先生」

クロクロ「ダッポ、ヨッポ、ヒャッポ」

ヤギ先生「困っている動物を助けるのが私の研究の役目。

     シャックリが止まらなくて困っている動物のために、私が開発しました。

     この薬を。

     『シャックリを止める薬』

くまった「おお」

ヤギ先生「やっと、私の実験の意味が見えて来たでしょう」

くまった「はい。その薬が効くかどうかを調べるために、わざとシャックリを

     起こしたんですね」

ヤギ先生「くまったさん、だいぶ世の中のことがわかるようになってきましたね。

     そうです。これからが実験の本番なんです」

くまった「なにかワクワクしますね。だろ? クロクロ」

クロクロ「ピッポ、薬があるんだったら、、、、ヘッポ、能書き言ってないで、、、

     ヒャッポ、早くください」

ヤギ先生「いやいやこれは失礼しました。では、くまったさん、コップに水を用意して」

くまった「はい」

ヤギ先生「ではクロクロさん、この薬を一錠飲んでください」

クロクロ「ヒャッポ、、、はい」

 

ヤギ先生「そうそう、そうやって一気にグーッと飲み干して。

     即効性の薬なのですぐに効果が表れますよ」

くまった「これでシャックリが止まれば、実験大成功ということになりますね」

ヤギ先生「大丈夫です」

くまった「クロクロ、どんな感じだい?」

クロクロ「うーん、ピッポ、ピッポ、ピッポ、ピッポ、ピッポ、、、、」

くまった「余計にひどくなったような感じがしますが、、、先生!」

ヤギ先生「実験失敗です」

くまった「えっー! じゃあクロクロはどうなってしまうんですか?」

ヤギ先生「自然にシャックリがおさまるのを待ちましょう」

くまった「そんなあ」

ヤギ先生「効く効かないに個体差があるのかもしれません。

     別のウサギさんでも実験をしてみましょう。

     うささぎさん、こちらの席へどうぞ」

うささぎ「いや、ちょっと急用を思い出しまして、今日は帰らさせていただきます」

ヤギ先生「うささぎさんの急用より、世界のみんなの健康の方が大切です。

     さあ、ここに腰掛けて。

     くまったさん、クロクロさんも手伝ってください」

うささぎ「ひえー」

 

ヤギ先生「スイッチ、オン」

 

つづく

 

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