【第2部】 Vol.7



*** うそばっかりのうささぎのはなし ***



お寺に修行に来たうささぎとクロクロ。いよいよ修行の始まりです。



正覚和尚「修行を始める前に、みなさん3名ずつ4組に分かれてもらいます。

     修行はそれぞれの組単位で行います。

     はい、では、1組、2組、3組は3人ずつ、4組はそちらの方と

     ぬいぐるみ2匹です」

4組の人「えっ! ぬいぐるみと一緒なんて勘弁してください」

正覚和尚「それは困りましたねえ」

別の人 「あのー、よろしければボクが代わりにぬいぐるみと一緒の組に

     なりましょうか?」

正覚和尚「ああ、それではお願いします」



うささぎ「なんかうささぎ達は嫌われちゃったね」

クロクロ「文句言う奴なんか、こっちの方から願い下げだってんだ」

うささぎ「だね。あっ、代わりの人が来たよ」

人   「さて、ボクが君たちと一緒に修行をさせてもらうよ」

うささぎ「よろしく。うささぎって言います。

     こっちの黒いのがクロクロ」

クロクロ「よろしく」

人   「ボクは丸山って言うんだ。お互い頑張ろう」

クロクロ「丸山さんはぬいぐるみと一緒の組でもいいんですか?」

丸山  「もちろんさ。自分と違う種類の人と何かを一緒にやっていく

     っていうこと自体が修行なんじゃないかな、と思ってね」

うささぎ「うささぎ達は人じゃないけど、まあいいか。

     丸山さんって、できた人だね。クロクロ」

クロクロ「うん。修行に来たかいがあったってもんだ」



正覚和尚「組み分けも終わりましたので、いよいよ修行に入ります。

     まず始めは身を清める意味でも滝行を行います。

     みなさん、参道を降りてください。そちらに滝がありますから」

うささぎ「いきなり滝行とはキツイね」

クロクロ「厳しいものほど意欲が湧くってものさ」


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滝行とは、流れ落ちてくる滝の下に立って、滝の水にあたるというものです。

さあ、1組から順に滝にあたり始めました。冷たそう。



うささぎ「クロクロ、ぬいぐるみには滝行は無理じゃないかと思うん

     だけど?」

クロクロ「どうして?」

うささぎ「ぬいぐるみって、水に弱いし、水に浸かると重さが2倍、3倍に

     なって身動きできなくなっちゃうよ」

クロクロ「まあね」

うささぎ「それに体が柔らかいから、滝にあたったら体がベコベコに

     なって、ショックで気絶しちゃうかもよ」

クロクロ「うささぎは意気地がないなあ。怖じ気づいたかい?」

うささぎ「さすがにこれにはね」



正覚和尚「では3組まで終わりましたので、次、4組ぬいぐるみ班の方」

うささぎ「いよいよまわってきちゃったね。あんまり乗り気がしないなあ」

クロクロ「それじゃあ、まずはクロクロが行くぞ。

     滝に向かって突撃ー! おー!」


ザバザバザバ


うささぎ「あーあ、滝に入っていっちゃった」

丸山  「ぬいぐるみちゃん、勇気あるね」

うささぎ「うん。でも大丈夫かなあ?」

丸山  「大丈夫さ。がんばればできるさ」

うささぎ「そうでもないみたいだよ。ほら」


<クロクロ滝に打たれて倒れるの図>

丸山  「大変だー」

うささぎ「早く助けないと」

丸山  「クロクロを引きづり出せ!」

うささぎ「クロクロ!」


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うささぎ「よいしょっと」

丸山  「クロクロ、しっかりしろ!」

クロクロ「・・・・・」

うささぎ「だめだこりゃ。気絶してるよ」

丸山  「和尚様どうしましょう?」

正覚和尚「とりあえず本堂に運んで乾かしましょう」

うささぎ「うささぎもビショビショだー」

                            つづく

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