1996年7月1日


** うそばっかりのうささぎの話 ドカドカドッカーン大先生と爆発うさぎ **


カステラ「ただいま」

うささぎ「ヤッホー」

か「今日は変わった恰好で盆踊りの練習をしているね。」

う「盆踊りじゃないよ。」

か「じゃ、床に耳をあてて、なにやっているの?」

う「ひ・み・つ。」

か「あっ、そう。」

う「内緒だから教えてあげられない。」

か「じゃあ、いいや。気にしないから。」

う「でも、何やっているか知りたいでしょ?」

か「全然、知りたくない。」

う「ちっとも?」

か「うん、ちっとも。」

う「でも、ちょっとくらいなら、うささぎが爆発の練習している、って

  教えてあげてもいいんだよ。」

か「爆発? 何を爆破するの?」

う「うささぎ自身が爆発するんだ。」

か「なに、それ? となりのマンションの住人の逆襲があったら、うささぎが

  爆発して、反撃するの?」

う「ちがうよ。マンションには近寄らないようにしているから大丈夫。

  うささぎはドカドカドッカーン大先生に弟子入りしたんだ。」

か「ドカドカドッカーン先生?」

う「うん、先生はドカドカドッカーンって爆発することができる。

  うささぎもドッカーンって爆発してみたいから、先生に弟子入りして、

  爆発の仕方を勉強している。」

か「ふーん」

う「爆発できるなんて、いいでしょ。」

か「そうかなあ。」

う「先生は近所のぬいぐるみやガラクタを集めて、お寺の境内で

  爆発の仕方を教えている。」

か「ほう。で、なんで床に耳をつけているの?」

う「先生の教え。先生が言ったんだ:

  <第一教程:爆発とは何か

                  火山の爆発を例に爆発の何たるかを知る>

  <火山の爆発は地球内マグマが地上に噴出するときに起こります。

   さあ、あなたも大地に耳をあてて地下のマントル対流の様子を

   肌で感じましょう。>

  だって。」

か「そんなの、マントル対流なんて、絶対感じることできないよ。

  そんなことじゃ、いつまでたっても爆発できないさ。」

う「えー、でも、お弟子さんたちは、みんなこうやって練習しているんだよ。」

か「なんかインチキくさいなあ、先生は。

  だいたい先生はどうやって爆発するの?」

う「まだ見たことない。」

か「そうかあ。やっぱり怪しい。

  だいたい、先生はどんなかっこう?」

う「円い筒が体にいっぱいあって、糸でできたしっぽがある。」

か「そりゃ、先生は爆竹だ。

  爆竹なら確かに爆発する。」

う「どうやって。」

か「しっぽにマッチで火をつければいいんだ。

  円筒の火薬本体がパン、パンって爆発する。」

う「うわー、見てみたいな。」

つづく


** うそばっかりのうささぎの話 ドカドカドッカーン大先生と爆発うさぎ **


うささぎ「うささぎは、どうしても、どうしてもドカドカドッカーン先生の

     爆発を見てみかったんだ。だから.......


次の日、ドカドカドッカーン先生の道場、といてもお寺の境内に

やってきたうささぎとクロクロ。


うささぎ「ねえ、クロクロ。クロクロもドカドカドッカーン先生の

     爆発するところを見てみたいよね。」

クロクロ「うん」

う「今日はマッチを持ってきた。

  これで先生を爆発させることができる。」

クロ「わーあ」

う「先生が講義しているスキにこっそりと後ろから、ヌキ足サシ足

  近づいて、っと。

  マッチをする。」

            シュポッ

う「先生のしっぽに点火!」

              チチチチチチチチ

弟子1「先生、導火線に火がついています!」

ド先生「なに! 

    大変だ、爆発するぞ!」

弟子1「爆発するぞ。みんな、逃げろー!」

弟子2「総員退避ー」

うささぎ「わー、どこへ逃げればいいんだあ?」

弟子1「わからないけど、とにかく逃げろー」

クロクロ「わー逃げろー。

     もう少しで爆発だあ。」

先生「だれか、水はないかあー」

弟子1「水、ありません。」

弟子2「先生の後ろに池があります。」

ド先生「池に飛び込むしかない。

    ダメだ、間に合わない!」

                  ドカーン

うささぎ「うわー爆発が始まったあ。」

弟子1「うわー」

                  ドカーン ドカーン

                  ザブーン

                  プシュン プシュン

弟子2「先生が池に飛び込んだぞ。」

弟子1「爆発は収まった。

    先生を早く引き上げろー。」

うささぎ&クロクロ「よいしょ、よいしょ」

弟子2「先生、大丈夫ですか?」

ド先生「大丈夫じゃない。

    体が半分吹っ飛んだ。」

うさ「うわー、すごい」

ド先生「誰だ! 導火線に火をつけた奴は?」

うさ「うささぎだよ」

ド先生「なんてことするんだ。

    貴様は破門だ。破門。」

うさ「うわあ。」


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うさ「ってなわけで、うささぎは破門になっちゃった。」

カステラ「残念だったね。」

うさ「でも、いいんだ。

   もう爆発したいなんて思わないし。

   体が吹き飛ぶのは嫌だよ。」

カステラ「そうだね。」

うさ「ほかのお弟子さんたちも、”爆発は怖い”って辞めちゃったし、

   何よりドカドカドッカーン先生自身、花火工場に入院しちゃった。

   しばらくは講義できない。」

カステラ「先生は怒っていない?」

うさ「ちょっとだけ、怒っている。

   でも、”いたずらにみんなの興味を煽った先生自身が悪かった。”

   って言っているから、たぶん逆襲はされない。」

カステラ「そりゃ、よかった。」

うさ「うん。またほかのコトを習おうっと。」

おわり


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