1996年6月10日
新しい技を授けってもらった。」
カステラ「どんな技?」
うささぎ「浮上走行! うささぎは足が短いから歩くのが得意じゃないでしょ。
だから、リニアモーターカーのように地上数センチのところを滑走できるように
してもらった。」
カステラ「よかったね。」
うささぎ「うん。垂直方向にも1、2メートル浮き上がれるし。」
カステラ「すごい。」
うささぎ「これで外へも簡単に遊びに行けるよ。」
カステラ「きっと、いろいろなことを体験できるね。」
うささぎ「わーい」
うささぎ「今日はクロクロと隣のマンションへ遊びに行った。」
カステラ「誰のところ?」
うささぎ「103号室の高橋さん。」
カステラ「どうだった。」
ピンポーン
うささぎ「こんにちわ、うささぎとクロクロだよ。」
高橋 「はっ? どちら様?」
クロクロ「うささぎとクロクロだよ。いっしょに遊ぼう! 扉を開けて。」
高橋 「わたくしどものだれと知り合いで?」
うささぎ「だれとも知り合いじゃないよ。今日初めて来たんだ。
うささぎと遊んで!」
高橋 「うちはセールス、勧誘の類はお断りしています。」
クロ 「ものを売りに来たんじゃないよ。遊びに来たんだ。」
高橋2 「近所の子どものイタズラだろ。ほっとけ。」
うささぎ「うささぎとクロクロだよ。遊ぼ! 扉を開けて。」
高橋2 「こらっ、いたずら坊主たち! 帰りなさい。」
クロ 「なんか、一緒に遊びたくないみたいだよ。」
うささぎ「なんか、そうだね。」
クロ 「帰ろう。」
うささぎ「うん、帰ろう。」
カステラ「残念だったね。」
うささぎ「うん、何で遊んでくれないのかな?」
カステラ「きっと、先祖の遺言で”うさぎと遊んじゃいけない”
って決まっているんじゃない。」
うささぎ「そうかー、残念。」 つづく
++++++++++++ 次の次の日 ++++++++++++++
カステラ「うささぎは、しっぽをびしょびしょにして、どうしたの?」
うささぎ「今日もクロクロと隣のマンションへ遊びに行った。
そこで、しっぽがびしょびしょになった。」
カステラ「誰のところ?」
うささぎ「104号室の山本さん。」
カステラ「なにやってた?」
ピンポーン
うささぎ「こんにちわ、うささぎとクロクロだよ。」
山本 「えっ、なーにー?」
クロ 「一緒に遊ぼう。扉を開けて。」
山 「はい、はい。」
うささぎ「初めまして。うささぎだよ。」
クロ 「初めまして。クロクロだよ。」
山 「オレ、山本っていうんだ。」
クロ&うささぎ「よろしく。」
うささぎ「遊ぼっ!」
山 「何をして?」
クロ 「かくれんぼ」
山 「かくれんぼ? オレは鬼ごっこがいいなあ。」
う&クロ「わーい。鬼ごっこをしよう。」
山 「じゃあオレが鬼になるからね。みんな逃げるんだ。」
う&クロ「うん」
山 「きみたち鬼に捕まったら、罰ゲームだよ。」
う&クロ「どんな?」
山 「火あぶりの刑! 油をたらされて、火で燃されちゃうやつ。きみたちよく
燃えそうだね。パチパチパチッて燃えるぬいぐるみ。おもしろそう。」
うささぎ「なんか危なそうな人だね、クロクロ。」
クロ 「うん」
うささぎ「こういう時は?」
クロ 「逃げろーー!」
うささぎ「わーー」
山 「もう鬼ごっこが始まったのかな? 待てー」
うささぎ「待たないよー」
山 「でも捕まえた!」
クロ 「わー、うささぎが捕まっちゃった。」
山 「さあ、火あぶりの刑だ。茶色いうさぎくん。」
うささぎ「ひょえー、火あぶりの刑はヤダよー。放せ、放せ!」
山 「静かに! さあて、油、油を取り出して。」
うささぎ「うささぎを燃しちゃダメだよ。家の中で火をつけたら火事になるよ。」
山 「じゃあ、水責めの刑だ。」
うささぎ「水責めもヤダよー。」
山 「風呂場に連行する。」
電子レンジに入れて、っと。調理開始!」
山 「何の音だ? あっー、レンジの中で卵が爆発していくー。
くそっーー。黒いうさぎの仕業だな。」
クロ 「うささぎ、ヤツが卵の後始末をしている間に逃げるんだ。」
うささぎ「わー、うささぎはしっぽに水を含んで、思うように動けない。」
クロ 「がんばって逃げるんだ。」
うささぎ「ふー玄関だ。重くて扉のノブまで浮き上がれない。」
クロ 「じゃあクロクロがノブを回すから、うささぎは扉を押して!」
山 「待てー逃すか。」
うささぎ「そこのブレーカーを切って、クロクロ。」
クロ 「サーキットブレーカーOFF!」
バチン、ドカッ
うささぎ「やったあ、急に暗くなったんでやつはころんだ。」
クロ 「今のうちに逃げろー。」
うささぎ「わー、逃げろー。」
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うささぎ「ってな感じ。」
カステラ「世の中にはいろいろな人がいるね。」
おわり