2003年12月の柿のたねニュース

就学時健康診断を考えるつどい報告

毎年12月初めの日曜日におこなっている就学時健康診断のつどいですが今年は12月7日(日)に本町社会教育館で開催しました。

これまでは講師をお招きしておはなしを伺うという形式でしたが、今回はこの間続けている、障害児の親の会からの各現状報告を中心にしながら、資料をもとに「めぐろ学校教育プラン(改定案)」説明会(11/29、12/6)の報告や「東京都心身障害教育改善検討委員会」の中間まとめ、委員会での審議内容などについての学習会をおこないました。参加者はこれまでのメンバーに加え、今年になって柿のたねに教育相談をされている方や就学時健康診断の際のチラシを見ていらしてくださった方なども加え13名となりました。

「めぐろ学校教育プラン」については私と支援者の一人である羽山さんがそれぞれ別の日に説明会に参加したのでその時の様子を話し、東京都心身障害教育改善検討委員会」の中間まとめについてはその時点で答申が出ていなかったため、制度の概要と東京都のホームページに掲載されたQ&Aを参照しながらどの点が大きく変わるか、またどのあたりに不安を感じているのかなどについて話し合いました。

その時はもう少し先になるのではないかと考えていましたが、12月25日に最終報告が発表されました。次号にてあらためて報告しますが、東京都のホームページに掲載されていますのでご参照ください。(http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr031225g.htm

学校現場からの報告では、年齢とともに成長していく過程の中で、新たな課題があげられました。身体介助を伴なうケースでは身体が大きくなるにつれ介助者の負担も大きくなっていく点や本人の身体的負担の問題、また高学年になっていくことで性に関する事例も挙げられていました。

また学校と継続的な話し合いを続けてきたケースではその結果として学校側が受入に対して前向きになってきた一方で、担任の障害児に対する理解不足によるトラブルなどがあり、新たな試みとして普通学級の担任、心障学級の担任、校長、教頭、親、支援者(櫻原)が本人とのコミュニケーションの取り方や周りの子どもたちとの関係作りなどについて話し合いの場を持つようになりました。今後の特別支援教育に向けた1つのモデルケースとして今後も継続して進めていきたいと思います。

今の学校現場はカリキュラムの過密により子どもたちにとっても教師にとっても負担は大きくなっています。その中で地域による支援や公的介助も含めたサポート体制の充実は今後の大きな課題で、ただ学校に通えばよいというだけでなくその中身についても問われています。普通学級で学んでいくために何らかの支援を必要とする障害児が安心して通える学校、それは他の子どもたちにとっても大切なテーマです。そのためには現場を知らないと私たちにはなかなか見えてきません。ぜひ学校教育に関心を持ち、介助支援に対するご理解ご協力をお願いします。

(櫻原)

非配偶者間人工授精(AID)って知っていますか? 当事者の声を聞くことの重要性

今回の話は、柿のたねの活動とはちょっと離れますが(たまにニュースに生殖医療のことなどを書いてきました)、私が今やっていることのご紹介です。

今年4月、厚生科学審議会生殖補助医療部会が報告書を出しました。そこに書かれていたのは「非配偶者の精子・卵子・胚の提供を国内で認可し、子どもの出自を知る権利を認める」という内容でした。つまり、夫婦以外の精子、卵子、受精卵を使った不妊治療を認める、そして、生まれた子どもが15歳以上になった時、精子・卵子・受精卵の提供者を知ることができるというもので、法整備に向けての議論も始まっていまっています。

え、ちょっと待って。今まで国内では非配偶者間人工授精(AID/提供してもらった精子を子宮に入れる技術)が50年以上行われてきました。そして1万人以上の子どもたちが生まれてきたといいます(2001年で 152人誕生)。でも、いわば水面下で行なわれてきたため、当事者への精神的ケアや情報の提供もほとんどありませんでした。また、プライバシーにかかわることであるため、当事者も口を閉ざして、その実態は明らかになってきませんでした。

それなのに、卵子・受精卵もですか? まず、議論の前提として当事者の現状や、何を考え、何に困っているのかを知ることが必要ではないかということで、何人かの研究者と研究会を立ち上げ、AIDの当事者(受けようとしている女性、受けた女性、その配偶者、生まれた子ども、精子提供者)へのインタビュー調査をしようとこの春から動き始めました。その一環として今年の夏オーストラリアで当事者のインタビューを行い、12月にオーストラリアからAIDで生まれた女性と不妊カウンセラーの方をお呼びして、講演会を行ないました。(オーストラリアでは提供者も含めてカウンセリングを受けることが法律で義務付けられています)

新聞などでも取り上げられ、何人かの生まれた方からも連絡をもらいました。彼女/彼らたちが感じているのは、まず、このような大事なことを一番信頼していた親に秘密にされていたことのショックです。「だまされていた」と表現する人もいました。そして、皆、精子提供者を知りたがっています。でも、それはその人が父親だと思っているからではなく、講演していただいたジェルさんも言っていましたが、それでやっと自分のストーリーができあがるということだと。

海外では子どもにAIDで生まれたことを伝えるための絵本もあります。

当日のために翻訳してみましたが、最初のページに「この本は○△ちゃんの物語です」と書き込めるようになっていて、両親がいかに待ち望んでいたか、子どもに愛情が伝わるなかなか感動的な絵本でした。

親が隠すということは、自分の出生自体が汚らわしいことのように思える。もし行うのであれば、そういう生まれた方たちの声を反映できるような制度やケアが必要なのだと思います。

当事者の現状・意識を明らかにすることで、どのような法的・社会的・精神的ケアが必要なのか検討し、今後の制度について提言をしたいと思っています。なによりも、これをきっかけに、日本にもAIDの当事者のグループができ、当事者が発言していける場ができればよいなと思います。

研究会のホームページはhttp://www.hc.keio.ac.jp/aid/です。

(さとこ)

今年で3回目!もちろん来年も行く気満々
孝広さんのピープルファースト体験記

今年ではや3回目のピープルファースト全国大会。孝広さんにとってはすでに年間行事として組みこまれているようで、夏ぐらいからずっと気にしていました。今回はこれまでいっしょに旅してきた金井さんからパートナーを三谷さんに替えて新たなスタート!

さてさて今回はどんなお話が聞けることやら…

先月29日(土)、30日(日)にピープルファースト大会in滋賀に参加します。

場所は大津市民会館です。朝8時半に学芸大で待ち合わせ、学芸大〜菊名で東急東横線に乗り、菊名〜新横浜で横浜線に乗り換えて、新横浜から東海道新幹線「のぞみ」に乗って京都に行きます。ホット珈琲300円くださ〜い。

財布から500円出してお釣り200円。京都から山科に乗り換えて湖西線で大津に行きます。ここから歩いて大津市民会館(第10回ピープルファースト大会in滋賀)です。

冷房も暖房もなくて、コタツも壊れて、オカズが腐ったり、御飯だけ!(※1

珈琲とケーキで200円。終わったらパーティーに来て下さい。スパゲティーに粉チーズをかけ過ぎる。麦酒を飲みながら、カレーを食べて、ニョッキのグラタンなど食べました。お昼にサンティーユでチキンカツカレーを食べました。

1日目が終わったらホテルα−1に行きました。533号室が三谷君、534号室が福田君、534号室の鍵を忘れてドアが開かなくなり、534号室の鍵を忘れるな!(※2

翌日、ベーコンとクロワッサンなど、珈琲。タクシーでプラザ淡海に行き、プラザ淡海じゃなくて大津市民会館だよ。セルフ・アドボカシーに参加する。2日目終了。お弁当を食べながら琵琶湖に見に行きます。ここから歩いて大津駅前でお土産を買って、大津から東海道本線で京都に乗り換えて、新幹線「のぞみ」東京行きに乗って新横浜に乗り換えて東急東横線に乗って学芸大に行きます。

三谷くんバイバ〜い。

(福田孝広)

〜解説(大きなお世話?)〜

※1 毎度のことながら、当日会場で仕入れてきた「ネタ」らしい。ひどい待遇を訴える当事者の話で孝広さんが印象に残った部分のようです。とくに「オカズが〜」のあたりは強い関心があるみたいです。

※2 やるんじゃないかと心配し、出掛ける前から三谷さんにさんざん気をつけるようにと言われていたのですが…

今回紙面の都合で掲載できなかったあたらしいパートナー「三谷さんのつぶやき」は次号にて。乞うご期待!