まき散らす
急に言葉を思いついて
ノートに書いた
<人生は思ったより美しくも見にくくもなかった!!>
ああ、
いい言葉だ
<世界中にむかって、ボクは力まかせの言葉を吐いた!!!>
なんてステキなんだ
そう思っていたはずなのに
久しぶりに見つけたノートには
いい気なボクが溢れていた
ああ、よかった
誰にも聞かれずに
どこにも書かずに
と
独り、踊り場の隅で赤面したりして
本になってしまた詩人たちにも
消してしまいたい言葉があるのかもしれない
達治も俊太郎も朔太郎も
どこかの隅っこで顔を伏せている姿が浮かんできた
読まれてしまったら取りかえしがつかない
だから
言葉が浮かんだ時は
取り合えず、棚の奥にしまっておくことにしよう
忘れた後で偶然見つけたら
臭いをかいでみる
それから一晩寝かせて
翌朝どうするか決めるのがいいのかもしれない
それでも
恥をまき散らし
まき散らし
顔を伏せる日々は続く
p.s.
ずっと前キミに出した手紙が出てきて
今のボクは
いい気なもんだと思えるけれど
手後れだったりする
バレちゃったら
終りだなんて
人さし指にバラの棘ささって
思ったように言葉を叩くことが出来ない
棘が抜けたあとも
逃げようとしている指
刻まれた小さな恐怖は
なかなか抜けないという事だな
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2001年9月24日
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