ドライフラワー雑記

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スライデイン・グドア

<Sliding Door>

という映画がある

朝、オフィスに出勤した主人公が

いきなり解雇されてしまった

仕方なくアパートへ戻るため

地下鉄の階段を駆け下りて

ドアが閉まる寸前の電車に乗り込もうとする

その一瞬

間に合った自分

間に合わなかったもう一人

彼女は二つの可能性に別れ

違う未来に向かって進んでいく

というお話なんだけど

一つ言えることは

ボクもキミも

何かに選ばれてここに登場しているということ

それから

誰かを選び、何かを選び

何かを選ばず、誰かに選ばれ

しばしば選ばれず

とりあえずの現在があるということだ

これからも

捨てられ、捨てられ

外され、外され、外され

やっと選ばれたと思ったら

違う神様に

何処かへ連れて行かれそうになっているかもしれない

だから

運やら不運、退屈とか興奮の迷路をすり抜けた一瞬の友情に

涙するのだ

さて

スライデイング・ドアに滑り込めなかったボク達は

順調な人生を歩めないのは確実で

映画では

どちらがよかったのか

いずれにしても映画のようにはいかない

頭が不明になった夕方

泥の海へ出かける

潟の底に身体を沈め

すると、心は沈み

これ以下のことはないと思えてくる

頭の空洞に

ミクロの光りが射し始める頃には

やり直せそうな気がしてくる

   

 

2001年9月14日

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