花を散らす
たしか先週の土曜日は雪の中の夜桜だった
7日間でこの変わりよう
その間もこのあたりでは桜が咲き続け、
しかし、そろそろ、うす紅花びら散らしはじめている
君の胸にいつも帰る場所を
抱きしめていることを
甘えとか弱さではないんだと
いつか僕に伝えて
これは槙原敬之の<桜坂>の一節
このタイトルをきくと、違う曲をイメージするかもしれないけど
こちらは1990年のアルバムに入っているのでだいぶ先輩
自分と自分の町から去って行った親友を歌った歌です
さて、親友のことを考えてみました
僕には高校2年の時にT君という親友と呼べる友だちがいました
一日おきくらいに、泊まりに行き、
寝つくまで、いろんな話をしました
その殆どが、どうでもいい話しだったように思います
その頃の僕には、誰にも言えない(と思っていた)秘密があり
それを話さなければいけない、という思いにとりつかれ
とうとう話してしまった夜のことを
今でも当時のドキドキと一緒に思い出すことがあります
秘密の共有という遊びだったのかもしれません
高校生の誰もが秘密を持っている
ということは随分後で分ったことであり
今では考えられない、せっぱつまった状況だったろうと思います
10年程前、ひどい憂鬱に襲われ、
それが半年くらい続いたことがあり
ふいに、会ってみようと思いました
もはや少年TくんではないT君に
Tくんは僕の話しを聞きながら、にこにこしていました
すると、不思議なことに
重苦しく思っていた僕の現在が
たいしたことじゃないんだと思えてきました
僕達はもうすっかり大人になってしまったのに
秘密の共有という遊びを再現したのかもしれません
それでも花を散らすゆるい雨を
明日もわからずに
見送った
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