ドライフラワー雑記

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耳に残るは

この世にいない人の中で一番会いたい人

フェルッチョ・タリアビーニ

初めて会った音楽教科書の中

世界最高のテノールとして

マリア・カラスと並んでいた

しばらくしてボクの町に

<忘れな草>という映画がやってきて

そこで再会、声を聴いた

歌う姿を見た瞬時から

子供の夢の中心になり

それから東京へお引っ越し

日比谷の公会堂にて来日リサイタル

そのお姿、脳にネガ焼きつけられ

歌を聴くなり心のビデオが再生開始する

なーんて、歴史を語ってみたりして

数日前

タリアビーニの6枚組のアルバムを発見

しかし、聴くのが恐い

記憶の歌が流れると

理由の分からない悲しみ蘇るようで

まわる

まわる

まわる まわる まわる まわる まわる

理由なんて知りたくないのに

そして

清里からの帰り道

とうとうCD6枚を車に乗せた

それからボクは何処へ行っていたのか

ふと気がつくと東京にて

赤信号無視したところでボクに戻ったとしたって

記憶にございません

壊れかけた競技場の傍を通ったような

大理石裸像の噴水

大きな石の階段上がって

青空が広がっていたのは何処だったのか

彷徨っていたのはたしかなのに

記憶のコイルの向こうから

耳にひびくは君の歌声

<忘れな草 タリアビーニ>でサーチエンジン

あった!

と思ったら、

雑記33

 

 

2002年2月5日

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