イルミナシオン
レーザーで縫いとめられて半年
そろそろチェック・アウトする時がきた
目は口ほどには物を言わないから
無自覚のまま何処かへ行ったしまいかねない
さて
どういうふうにやるかというと
まず、少し濁った液体薬品を注がれ
20分ほど待つ
先生の前に呼ばれて
急接近
人と人がこんなに真正面からくっついていいの?
って感じで
それから、全開の瞳を覗かれるのだ
隅から隅まで、ずずずずいーっと
心の傷の数々も
なんか照れるっていうか、こっぱずかしいっていうか
いずれにしろ、隠せるものはなにもない
突然、先生が唇を突き出した時にはドキドキしたな〜
しかし、先生はボクのプライベートなんて感心ないみたい
白い部分があるけど心配ないですよ
年だからさっ
って言うのだ
年上のあんたに言われたくないよ、と
口には出さないが
目は口ほどに物をいうからバレたかもしれん
で
すばらしい出来事は三時間後にやってきた
そろそろ薬が切れてきた頃だと
夜の街へ出かけることにしたのだが
車は暗い住宅街を抜け
そろそろ大きな街道へさしかかる
突然の光りの洪水
動くライトの数珠つなぎに紛れこんでしまった
ヘッドライト、ブレーキライト
トラックのゴージャズライト
それに
シグナルのレッド、イエロー、ブルーグリーンライト
一つ一つがレインボウの光りを放ち夜の空気に滲む
世界中の夜がイルミナシオンに覆われている
薬が切れるまでのあとどれくらい
今のうちに幻想の街を楽しんでおくのだ
薄幕がかぶさったような写真でしょう?
ボク的には、こんな感じに見えてる時もあります
紗がかかるっていうんでしょうか
ああ
霧の中の風景に
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2001年12月24日
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