1998年の春 チューリップなのだ。
花屋さんはいつも季節を先取りして。 だから時々分からなくなってるんだな。 チューリップはまだ固い芽を出したばかりだって。
光が柔らかくなりはじめた朝。 シンシアと名つけられた、ミニチューリップ。
何処にも出かけられなかった僕たちは大急ぎで表へ飛び出した。 そして。