大田市場で起きてること

新ルールにおける問題点

(東京都に提出したものです)

 

2005年の8月合意以来、約束したはずのルールが守られないまま今に至っています。
一番の問題は、どのようにしてセリに減り続けている花を残すか、ということです。
ただ単に残ればいい、ということでもなく
それぞれの花屋にとって必要な花が残ってなければ意味が薄い、ということでもあります。
クリスマスシーズンに、赤いバラの代わりに黄色いバラで代用なんて出来ないし
早春にアネモネの花束を作れないのでは困るのです。

東京都は、2月の取引委員会までに、<この新ルールの趣旨を理解し、所属団体に周知徹底
されたい>と言っています。しかし、東京都が言う通り、<権力の行使>で決定するのが可能
だとしても、公権力の行使には、行使される側にとっての理解可能な確かな根拠が必要です。

この観点で、1月24日付、東京都が決定(案)として出してきた新ルールを考えてみました。

花き部における取引ルールに関する決定(案)は6項目にわかれれます。
その中で、2<競り割合いに関する>、と5<インターネットシステム>は受発注システム
がセリに花が残らなくなる直接的な項目だと考えます。

 2 <各品目別に、受諾入荷量の2割以上をセリ上場数量とする>

 ・17年8月合意の内容として決定する。
 ・予約相対、買い付け集荷分を除いた受諾分を割合の母数とする。
 ・卸会社はせり割合の2割を確保するために、受諾部分の8割を超える相対注文は断る義
  務を負う。

 
 ここで書かれている予約相対について考えてみました。

2000年7月1日付け、花き部取引委員会による<取引方法の概略について>という一般
配布用説明資料 の中に、予約相対の説明があります。

 予約相対取引(卸会社を通じて産地へ注文する場合)については、次ぎの通りになりま
 す。
 1、宣誓は2日前(前々日)まで。(卸会社が東京都に申請を提出するのが前々日という
   こと)
  (産地へ連絡し、別送してもらうために必要な時間が必要なための処置。)
   したがって、前日以降の注文については、予約相対となりません。
 2、卸会社は予約相対取引の予定数領、結果についても毎日提示する。予約注文状況につ
   いても定期的 
   に公表し、取引の便を図るように努める。
 3、予約相対取引分は別枠とし、最低競り割合算定の母数に含まない。
   注文物品の確実な確保のため、別枠とする。

   *2000年における最低競り割合いは、同一品目、同一種で40%以上。

この説明で分ることは。
予約相対取引が、<卸会社を通じて産地へ注文する>という意味である、ということです。
実際には、予定入荷に入っているかどうか分らない、産地が出せるかどうか分らないものを注
文するということです。
だから、注文品の確保のために別枠としたのです。
インターネット取引における、予約相対と呼んでる取引方法は、これとは違います。
入荷予定が分っていて、それをインターネット上にアップ。
産地、等級、長さ、値段等、セリにおける電光掲示板と同様の情報を公開し、ネット参加者が
クリックすると画面から消え、クリック後はキャンセル出来ない。
そこには<産地へ注文する>という意味あいはなく、詳しい情報つきの入荷予定リストから、
セレクトする、ということになっているのです。
インターネットでの相対取引との違いは、16時間のタイムラグだけだということになります。

東京都は決定内容の妥当性として、こんなことを言っています。

 『予約相対については、卸し会社の総入荷量が前日までで確定しないうえ、予め注 文し
 た買受人に引き渡されるべき性質のものであるから、上場数量の母数として拘 束をかけ
 ることが妥当でないこと。』

総入荷量が前日まで確定しない、という理由が不明です。天候不純とか別の突発的な出来事で
入荷出来ないということもあるかもしれませんが、これは例外的なことです。品種、等級、産
地、値段までの情報が1ケース単位で表示されてるわけですから、<確定しない>という言い
方には無理があります。しかも、予め注文した、とは言い難いのがインターネット取引だ、と
いうことは前述した通りです。

さて、セリ割合いに関して、インターネット取引ルールを決定する過程で、事業協同組合が提
出した質問に、取引委員会事務局が以下のように回答しています。(2001年11月13日)

 『予約相対取引を別枠集荷ではなく当日上場とし、その内2〜3割を入荷量として残すこと。
 予約相対取引はもともと個別の仲卸業者・売買参加者と卸業者が契約して行うもので、本来の
 委託、買い付け集荷と別になるものである。』

その後、取引委員会での協議の末、東京都による提案で、総入荷量の最低2割をセリに残すこと
がきまり、2005年、8月にこれが確認されて、文書化されたのです。

もう一つ、数量的担保について、の東京都の説明です。

 『<受託部分の2割>という数字は、天候や予約相対・買い付けの状況により変化 するもの
 であり、セリに参加する買受人の予測可能性を確保する必要がある。 また、<すべて予約相
 対という理由がつけられてセリに残らなくなるのではないか>という買受人の懸念にも正当な
 ものがある。 そこで、<インターネット取要領>が、セリ取引を原則総入荷量の2割以上確
 保す
ることを前提としてることを今回再確認するとともに、受託部分に関しては卸会社 に相
 対取引8割を超える部分を断る義務を負わせる。、、、、』

<予約相対でセリ分の花がなくなる危険性>というのは、予約相対を別枠集荷にするから発生す
るのです。天候不順とか、無関係です。
予約相対は別枠集荷、だから相対取引の2割を残す義務を負わせればセリに花が残る、というの
は出来ないことを出来ると言ってるのと同じです。
インターネット上にアップロードされた情報で、2前までにクリックされつくした花は前日の
16時からのネット画面には掲載されません。8割を超える部分を断る義務、といっても、すで
になくなっているものから、セリ分を確保することは出来ません。

次に項目5を考えてみます。

 5 <インターネットシステムは受発注システムと確認する。>

 ・ 電話やファックス等によるものと同様の、発注の一手段である。
 ・ 取引は現物渡しの時に成立するものとする。

取引か受発注か、ということが問題になっていました。
現在、事実上、運用されてる時間の問題もあります。取引だとすれば、相対の時間の前に相対が
行われ、本来の相対の時間には相対が終ってるという不思議なことになってしまい、受発注と言
わないわけにはいかない、ということだと思います。しかし、セリに花が残るかどうか、という
ことを考えると、受発注か否か、ということにあまり意味がありません。
大切なことなのでリピートします。

インターネット取引の実際は
入荷予定が分っていて、それをインターネット上にアップ。
産地、等級、長さ、値段等、セリにおける電光掲示板と同様の情報を公開し、ネット参加者がク
リックすると画面から消え、クリック後はキャンセル出来ない。
予約相対と呼ばれているものが、セリ日から2日前の24時に終了すると、セリ日前日の16時
から相対に引き継がれ、24時まで取引が行われる。
予約相対同様、産地、等級、長さ、値段等、セリにおける電光掲示板と同様の情報を公開し、
ネット参加者がクリックすると画面から消え、クリック後はキャンセル出来ない。
このシステムが、受発注かどうか、ということに関わりなく、セリに上場される花は減っていく。
例え、8割を超えた相対注文を断ったとしても、予約相対とよばれてる段階で消えてしまった花
は何処へ行った? か分らないけどセリには出ない。
こんな感じです。

売買参加者が市場で花を手に入れる方法はいくつかあります。以前は、セリに参加して落札する、
というのが主流でした。現在は、主にインターネットの導入により、多様化してきています。そ
の中で、相対中心でやってる花屋さんもいるだろうし、セリで花を買い、足りない部分を中卸し
で補う花屋さんもいると思います。または、ネット、注文、セリ、と色々な方法を利用する人も
いるでしょう。
問題は、限られた生産量にたいする中央卸売り市場の公平性の問題だと思います。
これまでもルールは守られず、公平とは言えない状態が続き、しかも新ルール(案)により、よ
りひどい未来を想像するのは簡単です。むしろ、不公平を目指しているような感じさえします。
このままいくと、一般の花屋の未来はバラ色というわけにはいきません。
時々は幸運にありついて、希望の花をセリ落とせる時もあるかもしれませんが、殆どの場合、残
ったものの中からから品揃えする日々になるかもしれないのです。
だれか責任をとれますか?

組合としては、
上記の理由により、受け入れられないことをお知らせいたします。

 

 

9へ続く

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