<太田市場で起きてること>

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注文と相対取り引き&別枠集荷

予約相対取り引き、という言葉が曖昧になっています。

元来は、注文=予約相対だったはずです。

しかし、インターネット取り引きが始まった後の予約相対取り引きは、かなり事情

が違ってきています。

全く違うと言ってもいいくらいです。

ボクの場合はネットを利用していないので、2日前までに注文用紙に書いて、窓口

に出しています。

入荷予定のリストがわるわけではなく、実際に花があるかどうかも分りません。

値段も不明で、問い合わせて分ることもありますが、分らないこともあります。

インターネット取り引きの場合はどうかというと

まず、ネット上に入荷予定リストがアップされます。

そこには、等級、長さ、産地等が表示され、値段まで分ります。

例えば

<リトルマーベル> <50本> <静岡> <60cm> <150円>

こんな感じ。

基本的にセリにおける電光掲示板の情報と同じです。

2日前の24時まで受けつけられ、クリックするとリストから削除されます。

クリック(発注)後のキャンセルは出来ません。

(その後、1日前の16時から、相対のリストに引き継がれる。)

この二つの全く違う取引方法をを同じ予約相対と呼び、それを総入荷量の中から別

枠にして、競りに上場されるべき20%枠から除外する、

というのが今回、東京都が決定案として出した取り引き新ルールなのです。

東京都は、決定内容の妥当性として、こんなことを言っています。

『予約相対については、卸し会社の総入荷量が前日までで確定しないうえ、予め注

文した買受人に引き渡されるべき性質のものであるから、上場数量の母数として拘

束をかけることが妥当でないこと。』

ホントに分かりにくい文章なんだけれど、要は、注文したんだから別枠だ、と言い

たいんだと思います。

しかし、来るかどうか分らない花を取り寄せて下さい、と注文するのと違って、

すでに入荷予定になってる花のリストを見て注文する、というのは相対取り引きと

どこが違うか分りません。

16時間のタイムラグがあるだけじゃないかいな?

以前にも述べた通り、予約相対が別枠になると、競りに花がなくなっても

ルール違反とは言えなくなります。

さすがに、競りから花がなくなれば問題が大きくなるので、多分、調整はするので

しょう。

しかし、それを卸会社の裁量にまかせる、というのは大きな後退。

後退させようとしてるのは、何故か東京都なのです。

東京都が言う、ルール改正の根拠には不思議な解釈がいくつも出て来ます。

まず、東京都の説明2

『<2005年8月合意>では、単に<希望品目(買い受け人の希望が特定品種、

産地、等級等に偏る場合はそれも含めて)の2割以上を確保する>とするのみで、

その母数を総入荷量とは限定していないこと。

この際、<総入荷量>が<8月合意>の内容でなかったことは、卸会社委員が主張

してるとともに、直後の9月に中卸し組合いが要望を提出してることでも証明され

る。』

卸し会社が、解釈の違いと言っていたのは、母数のことではありませんでした。

品目の意味の問題で、

卸し会社は 品目、つまり、枝もの、バラ、カーネーション、ユリ、みたいな大く

くりの品目の総入荷量の2割を残す、

インターネットの仕切り設定も例えばバラの総入荷量の2割は残す、色とか品種は

関係ない、という主張だったのです。

ボク自身がセリ検証部会で直接質問したので、これは間違いないところです。

中卸しの要望書の趣旨は

現状の取り引き要綱の見直しを要望する、ということでした。

予約相対取引分は別枠とし、総入荷量から省くこと、に変えたいという要望なので

す。

つまり、総入荷量が8月合意の内容ではなかった、という東京都の主張は基盤がお

かしいということになります。

もう一つ、数量的担保について、の東京都の説明です。

『<受託部分の2割>という数字は、天候や予約相対・買い付けの状況により変化

するものであり、セリに参加する買受人の予測可能性を確保する必要がある。

また、<すべて予約相対という理由がつけられてセリに残らなくなるのではないか

>という買受人の懸念にも正当なものがある。

そこで、<インターネット取要領>が、セリ取引を原則総入荷量の2割以上確保す

ることを前提としてることを今回再確認するとともに、受託部分に関しては卸会社

に相対取引8割を超える部分を断る義務を負わせる。、、、、』

ホントに分かりにくい文章だ、と思ったら、ホントは分らないのが当たり前の文章

でした。

<予約相対でセリ分の花がなくなる危険性>というのは、予約相対を別枠集荷にす

るから起きてくることなのです。

天候不順とか、無関係です。

予約相対は別枠集荷、だから相対取引の2割を残す義務を負わせればセリに花が残

る、という言葉がいかにもっともらしくて意味が薄いか。

何故、短い文章の中に、このような矛盾した内容を書けるのか?

読んで考えた時間の無駄を返せ、と言いたくなるのを我慢しながら

何故、東京都は、露骨に卸会社よりの決定を押し通そうとするのか、

謎は膨らむのです。

7へ続く

2007.2. 5

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