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いじめられる気持といじめる気持
小学校６年生の１年間
ボクはバイキンだった。
クラスの５人くらい
聞こえるか聞こえないからくらいの音量で
すれ違いざまの毎回
バイキン、キン、と背中に痛かった。
例えば、朝の集会で男女が１列に並んだ時とか
ボクの横には５人分くらいの空間があいて
バイキン キン、という無声音が聞こえてきた。
ただでさえ、人前でちゃんと話しが出来ない頃で
今、考えても、顔が赤くなってしまいそうな悔しい気持が
復活しそうになる。
その時の心理を振り返って思い出すと
いじめられてる
というまぎれもないことを
だれにも知られてはいけない
母にも先生にも、絶対言わない
同級生はみんな知っていたに違いないけれど
できれば、なかったことにしたい
と深く思っていたような気がする。
あの頃は
不登校とか自殺とか、
ストレス性のナントカとか
そんな観念もなく思いもしなかったので、
ただただ我慢する日々だった。
中学になると、いきなりイジメはなくなった。
当時、日本で一番大きな中学校で
１学年１２００人くらいになり
ボクもいじめてた女の子たちも
薄まって見分けがつかなくなったからだ。
しかし、ボクは今でもその子たちを覚えている。
いじめた方は、きっと忘れてるが
ボクは覚えている。
と思った時、突然、
ひょっとして、自分もイジメる側にいた頃があったんじゃないか
と思い始めた。
イジメていて、その自覚が少なく
今ではすっかり忘れてしまったんじゃなかろうか。
イジメられて、ボクを覚えているダレかがいるのかもしれない。
今年に入って、イジメで自殺が続発している。
一つ一つが大事件だから
ニュース解説からワイドショーまで
様々に取り上げられ、色々なコメントが流され
時々は遺書が公表され
また自殺が起きている。
先日、テレビで６時間の生トーク番組があった。
ビートたけしとかテリー伊藤とか橋下弁護士とか
何にたいしてもコメントする人たちが出ている。
たまたま見てた数分間の中に
子供たち１０人が登場。
彼等のうち９人が、いじめられる方にも問題がある
とキッパリ言っていたのにびっくりした。
ボクのあの頃もいじめてた女の子たちのあの頃も
こんな感じだったのかな？
いじめられる側は忘れない。
いじめてる方は忘れる。
想像してみるとすぐ分るはずなのに
される側の気持を想像しない。
ボクがいじめられた理由はなんだろう？
はっきりは分らないが
それが、他の人と違うボクの特別な部分だったのかもしれない。
もしそうなら
自分の中の他の人にない特別な部分が
かけがえのないボク
と今は思えるのに。
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2006.11.21
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