TOMORROW 明日
人間は
父や母のように
霧のごとくに
消されてしまって
よいのだろうか
<若松小夜子「長崎の証言・5>
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中学生までを長崎で過ごした。
近頃になって、中2同級生数人と
よく会うようになった。
その中に、古里くんというクラスで一番成績のよかった子がいた。
通称、ブルちゃんと呼ばれてたのは
イメージからつけられたあだ名、と思っていたが
本当は、名前をもじっただけだと、さっき気がついた。
そのブルちゃんが映画を紹介してくれた。
黒木和雄監督の戦争レクイエム3部作。
実は、黒木和雄という映画監督の存在すら知らなかった。
まず
<父と暮らせば>
次ぎに
<美しい夏キリシマ>
そして、先程、
<TOMORROW 明日>
を見終ったところ。
清里に来て、1週間、
曜日の感覚が薄い。
8月9日。
今日は、長崎に原爆が落とされた日だ。
と、見終って気がついた。
<TOMORROW 明日>
8月8日から9日午前11時02分までの長崎の日常が描かれている。
結婚式
カブトムシを捕まえる子供
生まれたての赤ちゃん
言えないでいた秘密を告白しようとする夫
明日でも明後日でもいいとよと言う妻
みんな明日のことを考えながら
すぐ目前の未来に気がついてない。
未来人のボクは
確実にやってくる出来事を待ち構えていた。
戦争中と言っても
日常は日常で
それなりに楽しかったり悲しかったり。
無差別に人を消す、というのはこんなことなんだ
と、1人、清里のテラス
台風の余風を感じながら、胸が詰まった。
8月9日が希薄になってる自分を含め
今も続く
霧のごとくに消されてしまう人間のことを
忘れてはいけない。
と強く思わされた映画。
お薦めの1本です。
<父と暮らせば>は終戦後の広島
<美しい夏キリシマ>は、終戦間際の霧島を舞台に
生き残ってしまった自責が描かれている。
日本映画の傑作を紹介してくれた
ブルちゃんに感謝した次第。
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2006.8.9
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