『百鬼夜翔 霧が開く黎明』 友野 詳 7点
『冷たい校舎の時は止まる』 辻村深月 7点
『幽霊は行方不明』 矢崎存美 7点
『ホミニッド −原人−』 ロバート・J・ソウヤー 8点
『パーフェクト・プラン』 柳原 慧 8点

『百鬼夜翔 霧が開く黎明』 友野 詳
 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 魔霧を操り日本を混乱に陥れた「ナイト・フォッグ」へ反撃を開始した「スーリエ・ルージュ」のメンバーたち。仲間が敵の企みを次々と突破する中、洋大は妖力を持つ銅鏡が指し示す場所・横浜ランドマークタワーへと向かう。そこで待ち構えていたのは異常な数の妖怪の群れ。いったいそこには何があるというのか? そして、妖怪と人間の狭間に立つ洋大が最後の戦いの果てに選び取る未来とは!?

 一応これでシリーズは完結ですね。まあ、ある意味ふさわしい世界に変容しましたが、確かに続けてはいけない状態になりましたか。しかし、とんでもないクライマックスの展開だったんじゃないかと。死者も色々だし、盛り上がりがなんだか中途半端なような… 結局、色恋沙汰かよという思いも。うーん、いつからアイデアで勝負しない展開になったのか、もうちょい技というか、見せて欲しかったですね。

『冷たい校舎の時は止まる(上)(中)(下)』 辻村深月
 講談社ノベルス BK1-3.gif (240 bytes) BK1-3.gif (240 bytes) BK1-3.gif (240 bytes)

 ある雪の日学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない玄関の扉、誰も来ない校舎。謎を追ううちに彼らは気づく。学園祭で自殺した級友の名が思い出せない…死んだのは誰!?

 面白かったんですが、ああいう設定上しかたない結末ですね。各登場人物の心理描写については、いい部分もあり悪い部分もありでしょうか。全体的にそこが長かったのが気になりました。また、ラストも長い。まだ、終わらないの? 終わらないの? の心境のままずるずる長引いたのは勢いが消された気持ちになりました。結構すきなんですが、そういう部分で悪い点が積み重なって結果平均かなと言うところ。ミステリと言うよりも青春小説もどきですよね、この作品って。

『幽霊は行方不明』 矢崎存美 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 突如、「霊感探偵になりたい」と言い出した姉に、慌てる真人。相棒の美少女幽霊・美海と失踪した姉の依頼人を捜すうち、なぜか埋められた他殺死体を発見してしまい――!?

 良くも悪くもライトミステリって感じでしょうか。特異体質な主人公とそれを取り巻く環境は、まあライノベ。事件が起こるのがミステリ、というわけでそこがいまいち合致しないのです。ライトの展開だと、推理という要素をすっ飛ばしてしまうわけで、もう、なんともミステリとしてやっていけない。なのに話の進みがミステリしてるから、変にアンバランスなのかな。どうも、いまいちノレなかった一冊でした。

『ホミニッド −原人−』 ロバート・J・ソウヤー
 早川文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 クロマニヨンが絶滅し、かわりにネアンデルタールが進化した世界で、量子コンピュータの実験をしていた物理学者のポンターは、不慮の事故でいずこかへと転送させられてしまった。一方、カナダの地下の研究所で実験を行っていたルイーズは、自分の目を疑った。密閉した重水タンクのなかに異形の人物がいきなり出現したのだ! 平行宇宙に転送されたネアンデルタールの物理学者の驚くべき冒険とは…?

 クロマニヨンの変わりにネアンデルタールが進化した平行世界から転送されてきたネアンデルタール人と、彼を受け入れる人間たちの話です。まず、やはり上手いなあと感じさせられます。ネアンデルタール人を受け入れた人間と、ネアンデルタールの元の世界で繰り広げられる法廷サスペンスの平行。あえてタイムスリップやエイリアンではなく、平行世界を扱ったことならではの展開。中盤移行うまく引き込まれていきました。ただ、やはり終わりがあっけない部分もあり、あくまでネアンデルタール・パララックスのシリーズの導入部であるという印象もあります。二つの世界がどう動いていくのか、非常に興味深く次作を期待します。

『パーフェクト・プラン』 柳原 慧 宝島社文庫 BK1-3.gif (240 bytes) 

 代理母として生計を立てている良江は、かつて出産した息子を救うため、ある”犯罪”を企てる。そして始まる「身代金ゼロ!せしめる金は5億円!」という前代未聞の誘拐劇! 幼児虐待、オンライントレード、ES細胞、美容整形……現代社会の危うさを暴きつつ、一気に結末まで加速する物語。

 勢いがあります、視点の移り変わりもそこそこです。でも結構無駄も多かったなと。雰囲気的には伊坂作品に似てる印象もうけました。誘拐と株とコンピュータ犯罪をくっつけ、あやういバランスで一気に読ませます。ただ、その過程で、なんだかわからないちょいやくの人の視点など、どう物語に関わってくるのかと思えば、意味が無かったり、もうちょっとスリムにすれば洗練された作品になったんだろうなと思うと残念なところも。でも面白かったです。


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