『学校を出よう! 3 The Laughing Bootleg』 谷川 流 7点
『僕と先輩のマジカル・ライフ』 はやみねかおる 7点
『羊の秘』 霞 流一 7点
『ちーちゃんは悠久の向こうに』 日日日 8点
『真夜中の五分前』 本多孝好 7点

『学校を出よう! 3 The Laughing Bootleg』 谷川 流
 電撃文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 密室で一人の少女が煙のように消え失せた……とはいってもそこは超能力者たちが押し込められ、不思議も秘密も盛りだくさんな第三EMP学園の女子寮でのこと。なにが起こってもおかしくないわけで、でもなにか起こった以上、やっぱり解決は必要で―――
 というわけでこの怪事件の謎を解くため、乗り出したるは我らが光明寺茉衣子! もちろん彼女がそこで見聞きすることが彼女にとってとんでもない悪夢であると、知る由もなく…

 ぶわーと一気に駆け上がって一気に収束した感じ。単発モノのネタで、もうちょっとシリアスかつサスペンス風であればもっと面白かったんだろうなと思う部分がありますが、ま、シリーズモノである以上仕方が無いんでしょう。1巻の内容をあんまり覚えてないんで人間関係がわからず、その点で楽しめない部分はマイナス点。一冊で楽しめるようにして欲しかったところです。でも、一気に読めたからいいか。

『僕と先輩のマジカル・ライフ』 はやみねかおる
 角川書店 BK1-3.gif (240 bytes)

 大学に入ったら自力で頑張るを目標に、家賃1万の今川寮に入ってしまったのが運の尽き。そこで出会った変人の先輩にうまくごまかされて、子どもの頃に刷り込みのごとくなつかれた春奈と一緒に『あやかし研究会』なるよくわからない会に入れさせられる。そして、出会うのは不思議な怪事件ばかり。オカルトは存在する?

 こういうふざけた話好きです。まじめで変人の大学生を中心に、オカルトもどきの怪現象を、なんだかわからないうちに論理的に解いちゃうという短編集。出てくる人の変人度合いは高い割に、目立つのがほとんど先輩だけというのも悲しいですが… しかし、結局伏線の謎をちりばめるだけちりばめて、それを回収せず(回収する気が無い?)終わっちゃうのがなんとも無責任というか、なんというか… 続編を出そうとしてるのかはわかりませんが、とりあえずそこだけはいただけませんでした。でも、面白いです、ノリはライトノベルです。

『羊の秘』 霞 流一 ノン・ノベル BK1-3.gif (240 bytes)

 ミイラのように全身を覆う白い紙、口には矢印形の金属棒。現場を見下ろすのは、1時、2時、3時を指す3つの古時計… 武蔵野の土蔵に横たわる謎だらけの死体。絞殺された通訳の仲丸伸之は夢の表現サークルの一員だった。事件を追う古道具屋露沢は、会員の少女が直前に自殺したことを知る。しかも謎の羊頭男の写真を残して…

 謎の見立てこそはっきりせずに進みますが、相変わらずの不可解な連続殺人事件はさすが霞さんという感じ。事件が一段落したあたりから、徐々に明かされる薀蓄と装飾の謎。ただ、あんまりテンポが上手くすすまなかったんじゃないかなという部分もあり、またかなりダークな話へと遷移していき、実に後味の悪さが尾を引きました。結果的に着地点も微妙な位置だったかなということで、どうもいまいちな印象を受けました。残念。

『ちーちゃんは悠久の向こうに』 日日日 新風舎文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 幽霊好きの幼馴染・ちーちゃんに振り回されながらも、「僕」の平穏な日常はいつまでも続くはずだった。続くと思っていた―――あの瞬間までは。怪異事件を境に、ちーちゃんの生活は一八〇度転換し、押さえ込んでいた僕の生活の中の不穏まで堰を切って溢れ始める…

 結構怖いホラーじゃないですか。怖いという意味で言えば、現実が怖いというか。危うい人間たちが暴走する話ですよね、これって。なんでライノベと言われているのかが不思議。まあ、高校生の文章だけに雑といえば雑なんですが、雑であるからか上手さもあります。文章というか場面がポンポン飛び回ったり、ダラダラした文章を意図的に書いているのであれば、やがて表現の上手さを手に入れたときに化ける作者かも。痛さ、怖さ、ダークな雰囲気を実に堪能させていただきました。ガクガク。

『真夜中の五分前 side-A/side-B』 本多孝好
 新潮社 BK1-3.gif (240 bytes) BK1-3.gif (240 bytes)

 小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚し時計」を今も使っている。その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋めあうように、僕とかすみは次第に親密になっていく―――

 それにしても……二冊に分けている意味っていったい…? 普通に物語りも進むし、A面B面の理由がわかりません。まあ、確かに雰囲気が多少変わっているかもしれませんが、それは展開だからでしょうに。そして、展開もなんともいえない恋愛小説、ですよね? 主人公の世界への無関心ぶりとか、変な女性上司とか、共有しあう双子とか。もう、そえだけで普通の恋愛小説になりえないのがはっきりしている感じも。結局、非常に曖昧もんもんとしつつもきれいに完結したのかな、という。むう、せめて二冊に分かれてなければもうちょい…