『恋霊館事件』 谺 健二 7点
『饗宴(シュンポシオン) ソクラテス最後の事件』 柳 広司 7点
『水の迷宮』 石持浅海 8点
『霧の迷宮から君を救い出すために』 黒田研二 7点
『まどろむ夜のUFO』 角田光代 7点
『恋霊館事件』 谺 健二 光文社文庫 
1995年1月17日。未曾有の揺れが神戸を襲った…阪神淡路大震災。私立探偵・有希真一も、自宅と探偵事務所を失ってしまう。そんな有希のもとに奇妙な事件の捜査依頼が。密室状況にあった簡易住宅で自殺死体が発見された。だが、動機に不審な点が… 有希は、振子占い師の雪御所圭子とともに、密室の謎に挑む!
短編集ともとれます。すべて神戸の震災をテーマに扱っており、心に傷を追った生き方というものを考えさせてくれます。そういった意味では重たいテーマで非常にいい作品ですが、ミステリとして読むとちょっと物足りないかなという部分も。面白いんですが重たくものかなしい背景がなんともいえませんでした。
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『饗宴(シュンポシオン) ソクラテス最後の事件』 柳 広司
原書房 
招かれた饗宴で出会った”坊ちゃん”が次の日の朝、衆人観衆の中で突然死した。そして数日後、まるで手足を引き裂いたかのようなバラバラ殺人事件が起こる。饗宴で語られたピュタゴラス教団の悪魔的所業なのか? ソクラテスとクリトンが、その言葉(ロゴス)によって謎を解体する。
ソクラテスの言葉・論理によって謎を解き明かす歴史ミステリ?なのかな。面白いです、ユニークです。歴史を上手く利用し、当時のアテナイの街の人々の心理を上手くかもし出し、そこに変人ソクラテスと当てはめることで味がでている作品です。さすがに舞台が遥か過去なだけに、本格本格しておらず陰謀なんかの香り漂いますが、それを抜きにしても面白かったと思います。
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『水の迷宮』 石持浅海 カッパノベルス 
首都圏の人気スポット・羽田国際環境水族館に届いた一通のメール。そこには展示物の攻撃をほのめかす文章が書かれていた。困惑する水族館職員を傍目に、事件は勃発、それは3年前に過労死したと思われる元職員を思い起こさせる内容だった…
非常にきれいな印象を受けた作品。水族館を舞台とした脅迫事件がおこり、職員の頑張る姿が描かれてます。なんとなく洗練された印象をうけ、水族館の職員ならではの緊迫感も感じられ、終盤「これはなぁ…」と思う点がありながらも上手いと思わせる小説でした。問題は終盤に納得できるかどうかなんですが、きれいさではOKだと言いたい、んですが、どうしても水族館内だけで完結しちゃってる部分に口を出したいんですよ。つまり人の死を悲しむのは職場の同僚だけじゃなく、他にも友人やもしかしらた親もいるかもしれないのに、職場内だけで納得してしまっている、外の人のことを考えていないという、ささいな不信感が沸いてしまいます。それでも面白い作品なわけで、オススメします。読んだ人が何を感じるかはその人次第ってことで。
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『霧の迷宮から君を救い出すために』 黒田研二
ジョイノベルス 
高原に建てられた災害用シェルター。その近くで”僕”は暗闇の中、何者かに襲われて崖から転落し、頭を打った。包帯が取れたとき目の前に広がったのは、一面、白い霧の世界。脳を損傷し、動くものを認識できなくなってしまったのだ。そして、密室のシェルターの中からは女性の死体が発見されて…
動いているものを見ることができないという障害に陥った主人公が巻き込まれる騒動。プロローグとこの障害から終わりのオチが読めてしまうという部分もありましたが、いつもの黒田さんらしい作品に仕上がってました。っていうかせっかくの設定がちょっともったいない感じも。結果的にサスペンス風なんですよね、もうちょいこう、ルールがあるんだからそれを上手いこと利用した本格を。いや、あるんだけど、目立たない印象というか、むむむ…
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『まどろむ夜のUFO』 角田光代 講談社文庫 
私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。五日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。三人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏。
なんだか今という時代からずれた人たちの視点からの物語と言う感じ。普通と普通じゃない境界をあえてぼかし、異世界がすぐそこにある雰囲気を実に上手くかもし出しています。そしてそれでも希望があるかのような終わりかた。微妙な雰囲気、違和感、居心地の悪さと今自分のいる場所の安心感を与えてくれるのかな。なんにせよ、へんてこな作品だったなとも思いました。
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