『黄昏に狂える鬼よ ガープス・百鬼夜翔リプレイ』 友野 詳 7点
『螢坂』 北森 鴻 7点
『play』 山口雅也 7点
『象られた力』 飛 浩隆 7点
『レオナルドの沈黙』 飛鳥部勝則 7点

『黄昏に狂える鬼よ ガープス・百鬼夜翔リプレイ』 友野 詳
 富士見ドラゴンブック 

 人に妖怪の力を与える刺青の謎を追い、京都の町に策略と暴力・妖術が飛び交う! 人でありながら仲間の妖怪たちと戦う高校生探偵・波田洋大は巻き込まれた人々を救えるのか。そして、戦いの舞台は富士の樹海を経て、アメリカへ! 霧のかなたから真の敵が姿を現す…

 なかなか珍しいタイプかも。3話収録されており、それぞれの話にはちょっとだけ関連があるんだけど、すべて舞台とキャラクターが違うという。ついでに小説版と見事にリンクしているので、小説版を読んでおかないとついていけない部分があったりします。プレイ自体は、やっぱり面白そう。どっちかというとルールよりも会話重視のガープスっぽさが出てる感じがします。

『螢坂』 北森 鴻 講談社 BK1-3.gif (240 bytes)

 すべてを捨てて戦場カメラマンをめざした頃のあの坂道は、どこに消えたのだろうか? 表題作の『螢坂』をはじめとする五編の短編集。旨いビールと粋な肴で、謎がやわらかくほぐされる「香菜里屋」シリーズ三作目。

 なんというか、いつもどおりです。美味しそうな料理と、人当たりのよいマスター。悩みのある人はいつしかその悩みを語り、マスターが謎を解き明かす。といっても、あんまりマスターは目立ってませんでしたが。それにしても美味しそうな料理の数々は非常に魅力です。酒が飲めない私でもいってみたいなと思っちゃいますからね、「香菜里屋」には。

『play』 山口雅也 朝日新聞社 BK1-3.gif (240 bytes)

 縫合手術の腕前はトップクラスの球磨教授。つなぎ合わせるのは得意だが、家族の絆は薄れつつあるばかり、そして彼が取った行動とは?(『ぬいのファミリー』) 息子が突然猿のようになってしまった。巷ではゲームをすると動物になってしまうという病が蔓延しているとかいう噂も。いったい息子の身には何がおこっているのか?(『蛇と梯子』) 他、家族とゲームを題材にした短編を4編収録した短編集。

 流れ的には『ミステリーズ』とか『マニアックス』系かも。幻想、ホラーのような感じで、それらがスッキリとまとまった短編集です。『奇偶』がなんだかな的な作品でしたが、あれも長いだけで、短編レベルなら結構面白かったのかもと、今回の『play』を読んで思ってみたり。どっちかというと、今回は家族とゲームがネタなのかな、何ともいえない不気味さが共通しております。面白かったです。

『象られた力』 飛 浩隆 早川文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 惑星「百合洋」が謎の消失を遂げてから1年、近傍の惑星「シジック」のイコノグラファー、クドウ圓は、百合洋の言語体系に秘められた”見えない図形”の解明を依頼される。だがそれは、世界認識を介した恐るべき災厄の先触れにすぎなかった… 表題作『象られた力』ほか4編の作品を収録した短編集。

 SFの短編集で、序盤の二作は結構面白かったです。で、後半の二作はあんまり話についていけなかったというか、むずかしかったというか。理解できる範疇だと読みやすい文章なんですが、理解できないと何がなんだか、どんどん進んでいってしまう印象を受けました。なんで評価が半々と。特に最後の表題作でもある『象られた力』は視点も飛び飛びだし登場人物がわかりにくかったというのが一番厳しくて、反面最初の『デュオ』はかなり面白かったです。多分、どれかは面白いと感じることが出来ると思うのでオススメ。

『レオナルドの沈黙』 飛鳥部勝則 東京創元社 BK1-3.gif (240 bytes)

 「私は遠隔のこの地にいたまま、目的の人物を思念によって殺してみせる」 降霊会の夜、霊媒師によって宣言された殺人予告と、その恐るべき達成。すべての家具が外に運び出された状態の家の中で首を吊って死んでいた男。密室状態の現場。踏み台にされたレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿本と鏡文字の考察。第二の不可能犯罪の勃発。そして「読者への挑戦状」――― 本当に犯人は霊媒師なのか、違うとすれば果たして犯人は誰なのか?

 超能力者が遠隔殺人を公言し、実際に起こると言うもの。序盤中盤の展開は結構面白く、登場人物同士のやりとりも楽しめたんですが、結末にちょっと拍子抜け。「あれ?」という感じ。もっとこう、何かあるのかなと期待してしまうじゃないですか、みごとに肩透かしを食らっちゃったというか、評価が結構難しいかも。もうちょっと、突拍子のないネタでも全然OKだと思ったんですが,残念。