『奇術師』 クリストファー・プリースト 7点
『アフナスの貴石 クレギオン6』 野尻抱介 8点
『ドアの向こう側』 二階堂黎人 7点
『吉永さん家のガーゴイル 4』 田口仙年堂 7点
『百鬼夜翔 真夜中の道化師』 川人忠明、清松みゆき、友野 詳 7点

『奇術師』 クリストファー・プリースト 早川文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれ”瞬間移動”を得意演目としていた、二十世紀初頭の天才奇術師。そして、生涯ライバル関係にあった二人の確執は子孫のアンドルーにまで影響を与えているというのだが…? 二人の奇術師がのこした手記によって、衝撃の事実が明らかとなる!

 二人の奇術師の互いの確執とその因縁みたいな話で、その二人の手記・日記が話のメインです。そして読めば読むほど互いの手記に矛盾があり、同時にそれが話の重要な部分でもあるわけですが… うーん、内容としては奇術に捧げる半生であり、実は話としては地味であんまりそそられないのですよ。何が面白いのかがわからない、と。奇術師だから、トリックがあるのは当然で、「それが一体何なんだー?」といわれても、読者としては実際の奇術をこの目で見ているわけじゃないんで、そこまで執拗にこだわれないという部分がなんとも。で、途中から、トンデモ設定なモノが出てきちゃって、ああ、そうですかって感じで終わっちゃって。あれー、最初の宗教の話とか関係ないの? ええー、いや、なんだったのとなっちゃいました。ジャンルもよくわからんこの一冊、誉めてる人も多いんですが、私はなんかダメでした。うーむ。

『アフナスの貴石 クレギオン6』 野尻抱介 早川文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 「ミリガン運送は解散した」―――
 とある軌道都市での業務完了後、突然の置き手紙を残してロイドが失踪した。アルフェッカ号は売却され、あえなく失業者となってしまったマージとメイ。彼の行方を追う二人にとって唯一の手がかりは、”生きた宝石”アフナサイトにからむ怪しい儲け話の存在だった。アルフェッカ号の新たな船主クランとアルチナに雇われた二人は、ロイドを追ってアフナス星系へと向かうが…

 やっぱり少年の心をもつ中年オヤジ輝いてますね。”自分の夢のためには、他人に迷惑をかけてもかまわない”ってのは名言です。さて、夢のため、ミリガン運送をほったらかしたロイドの所為で、失業者となった、マージ&メイコンビを中心に物語りは進みます。意外といいコンビです、色々な技巧によって宇宙へ出ます。中盤は、結構あっという間な出来事で、印象に残りにくく、やっぱりラストの生きた宝石関連のやりとりが、宇宙の神秘と発展をはらんでいて、面白いですよね。

『ドアの向こう側』 二階堂黎人 双葉社 BK1-3.gif (240 bytes)

 私は私立探偵である。名前は渋柿信介、六歳、幼稚園児だ。電車で騒いでいた男性の殺人事件、子どもたちを襲う暴走車の謎、別荘で神隠しになった女の子の行方、消えたウサギ、数々の謎、そして事件に遭遇した。シリーズの第三弾。

 幼稚園児シンちゃんの探偵シリーズもの。非常にアンバランスで、それが面白いのかな。幼稚園児がハードボイルドの私立探偵を演じているというものです。短編で、事件は色々ありますが、メインにはやってきません。あくまで中心はシンちゃんの中心であり、子どもによる事件の依頼だったりです。で、それと大人の事件が関連づいて、両方一気に解決がパターンでしょうか。なのでミステリとしてしまえば、ダメ出しありだったりするかなという部分もありますが、キャラ小説としてはそこそこ面白いと思ったりします。

『吉永さん家のガーゴイル 4』 田口仙年堂
 ファミ通文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 目覚めると、落下していた?
 和己は、謎のアイテム「記憶発掘装置」で三日間も眠ったまま、そろそろ起きないと死んじゃいそうなイヨを起こすことに。装置を使い、ガーくん、双葉と彼女の意識内に潜り込むが、気づくとそこは昭和2年の日本!? 着くなり、一同は錬金術師の東宮に良く似た青年に出会って驚き、その親友というフンドシ一丁の男に面食らう。さらに彼らの仕事部屋にはガーゴイルと瓜二つの石像が―――これ一体どういうこと?

 や、ちょっと特殊なタイムスリップものですね。っていっても、単純に舞台が過去なだけですが。浪漫なんて言葉の似合いそうな時代、ガーゴイル誕生秘話と、青春物語の融合? あんがい、いい感じにまとまっていて面白かったですよ。キャライメージはわきにくかったですが。

『百鬼夜翔 真夜中の道化師』
 川人忠明、清松みゆき、友野 詳 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 失踪した妖怪ハンター石動を捜す守田林檎を奇怪なネズミの大群が襲う。救出にむかった洋大だったが、その行く手をふさぐ霧の中には恐るべき敵の姿が!(『そして霧は広がりゆく』) 道化師に連れ去られた友達を、見習い魔女ひかりは救い出せるのか?(『真夜中の道化師』) 「エニグマ・タウン」が復活? サイトにアクセスした桐子がみたものとは?(『魔蟲の再臨』)

 うう、こんな衝撃シチュエーションで終わっちゃうとは、という展開です。一話目、二話目は普通からほんわか系にかかるような話なんですが、三話目はなかなかキッツイ。とくに人の壊れやすさといったら… 全体的に終盤に差し掛かろうとしているようで、今後どう集結させるかがみどころなのかなって感じでしょう。