『ぶたぶた日記』 矢崎存美 7点
『螢』 麻耶雄嵩 7点
『監獄島』 加賀美雅之 7点
『学校を出よう!2 I-My-Me』 谷川 流 7点
『百鬼夜翔 昏い霧に眠る街』 北沢 慶、柘植めぐみ、友野 詳 7点

『ぶたぶた日記』 矢崎存美 光文社文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 義母(?)の代理でカルチャースクールのエッセイ講座に通うことになった生命を持ったぶたのぬいぐるみで中年男の山崎ぶたぶた。仲間の生徒たちはおっかなびっくりと、ぶたぶたとの交流を行い、人生に温かな波紋を広げてゆく…

 なんだか、これまでのぶたぶたとはちょっと違う印象を受けました。ま、日記というかエッセイを書く講習会を中心に、主人公が持ち回りでぶたぶたとのふれあいを書いた短編でしたが、くすりとは笑えるんですが、ちょっと癒し効果が低いかも。まあ面白かったですが。なんだろ、ぶたぶたに慣れすぎたのかなぁ。

『螢』 麻耶雄嵩 幻冬舎 BK1-3.gif (240 bytes)

 大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀螢司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。去年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼”ジョニー”に無惨にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こった―――

 狂人による殺人のあった館を舞台とした嵐の山荘もの。結構読みにくかったりします、誰が誰と喋ってるのかがわかりにくくて。たぶん主人公なんだろうなーとか。で、やっぱり今までに比べると地味って感じがします。今までのが衝撃すぎってところもありますが。で、騙しは、妙だと思って考え込めばわかるレベルかな。多分ほとんどの人は「妙」とか「あれ?」と思うでしょうし。で、そっちよりも、もう一つの騙しは、ああそういう逆転の発想なんだと、ちょっと感心してみたり。なるほど、だから、か。でも、結末の「落とし」の衝撃度合いも、やっぱり地味? まあ、ある意味きれいともいえますが。

『監獄島(上)(下)』 加賀美雅之
 カッパ・ノベルス BK1-3.gif (240 bytes) BK1-3.gif (240 bytes)

 刑務所内で大がかりな陰謀が進行しているとの内部告発を受け、パリ警察が誇る名予審判事シャルル・ベルトランは、内偵のためタントワーヌ刑務所を訪れた。そこは十字架形の獄舎に長期刑の服役者だけが収監され、断崖に囲まれた脱出不可能の監獄島。囚人の中には国際的な犯罪者で、かつてベルトランが逮捕したアレクセイ・ボールドウィンもいた。
 密かに調査を始めたベルトランの前に突如、驚愕の事件が巻き起こる。内部から閉ざされた部屋での殺人。そして時計塔から吊り下げられた火だるまの絞殺死体… だが、これもまだ、その後に続く惨劇の幕開きに過ぎなかった!

 ツッコミどころ満載ですがな… 監獄のある島から犯罪者が脱走、本土へ渡す手段は船のみ、といっているにもかかわらず、船壊されてるし… いや、どう考えても船で脱走しようとすると考えて、船を見張るもんじゃないの? 頭の回る(とされている)探偵も「そこまで考えが回りませんでした」って、なにそれ?って気分ですがな。あと、殺人がすべて不可能犯罪ばっかり、密室だったりバラバラ殺人だったりします。一応不可能犯罪である必然性はあるんですが、それが逆に犯人特定の決定的な項目になっちゃってるってのは… 読ませる魅力もあり、面白いんですが、なんか犯人がすぐにわかっちゃうというか、仕掛けに驚けないというか。伏線がバレバレなんで、あれ、この状況だとこいつしか犯人にありえないやん、ということになっちゃうんですよね。残念ながら。それにしても相変わらず、喋らない探偵の所為で犠牲者が増えてるように思えるのはしかたないのでしょうか? 防げよ、犯罪、と思ってしまいます。怪しいと思った人間に対しては、少なくとも監視をつけるとか…

『学校を出よう!2 I-My-Me』 谷川 流 早川文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 突然、雨の路上に立っている自分に気づいた神田健一郎。傘も持っておらず、なぜか右手には血まみれの果物ナイフ。なにかよからぬことが起こったことは想像できるのだが、そのなにかがまるで思い出せない。とにかくやばいという焦りのままに、自分の家まで逃げ帰った神田を待っていたのは、なんともう一人の自分だった!
 いったいなにが自分(たち)に起こったのか? そして自分とはなんてむかつく奴なのか!?
 神田Aと神田Bは、変なコトに興味を持つ星名サナエの力を借りてなんとか謎を解こうとするのだが…!?

 これは、1よりも全然面白いと思ったり。タイムトラベルもので、ミステリ色ありの一作。ま、謎は時間が経過することで解決しちゃうんで、ただ惰性のままに展開するだけなんですが。なんで、最後のほうのまとまりがいまいちなんですがね。でも、萌えな1よりもSFチックで面白かったという印象勝ち。もうちょい(キャラの使い方とかで)上手くまとめてくれればよかったんですけどね。

『百鬼夜翔 昏い霧に眠る街』
 北沢 慶、柘植めぐみ、友野 詳 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 深夜0時を過ぎると昏い霧に閉ざされ、異形のものが徘徊すると噂される街・新宿。その街で凶悪な犯罪組織に追い詰められた鳴神風花の前に現れた”鬼”の正体は!(『昏い霧に眠る街』) ムカデ妖怪の生贄とされた少女に、寺尾のとった行動とは?(『わが古き名にかけて』) 青年に届いた採用通知は閉鎖されたホテルからのものだった―――(『深紅に染まる幻』)

 隠れ里をテーマにした3編の短編で、まあそれなりに。やっぱ、こういうの読んでると人間ってのは身勝手な生き物だなと思わされるというか。力を持ったものがそれを制御し、押さえつけるってのはそれはそれで難しそうだなとも。