『騙し絵の檻』 ジル・マゴーン 8点
『ケルベロス第五の首』 ジーン・ウルフ 7点
『空中ブランコ』 奥田英朗 8点
『イリヤの空、UFOの夏 その4』 秋山瑞人 7点
『黄色いアイリス』 アガサ・クリスティ 7点
『騙し絵の檻』 ジル・マゴーン 創元推理文庫 
「…被告に終身刑を命じる。最低でも十五年間の懲役は…」
無実だとの叫びもむなしく、ビル・ホルトは冷酷な殺人犯として投獄された。十六年後、仮釈放された彼は、真犯人を捜し始める。自分を罠に嵌めたのは誰だったのか? 次々に浮かび上がる疑惑と仮説。そして、終幕で明らかにされる驚愕の真相。
地味だけどしっかりとして面白かったミステリです。過去、有罪判決を受けた主人公が、その事件の真相を探るというかたちで、まさにパズルを解くような感じで、ピースピースのヒントが与えられて、上手く処理していくとやがて絵が出来ない感じ。まさに騙し絵。ちょっと見方を変えると意外な、でも非常に納得できる真相が明らかになるんだから。純粋なミステリとしてオススメします。
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『ケルベロス第五の首』 ジーン・ウルフ 国書刊行会 
地球より彼方に浮かぶ双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。かつて住んでいた原住種族は植民した人類によって絶滅したと言い伝えられている。しかし異端の説では、何にでも姿を変える能力をもつ彼らは、逆に人類を皆殺しにして人間の形をして人間として生き続けているという…
小学生が『ドグラマグラ』を読んだ感じかも。双子の惑星があるということはわかりました。先住民族がいて、彼らは何にでも姿を変化させられる、という言い伝えがあることもわかりました。でも、物語がわからなかった… 主人公たちが、地球人なのか、先住民族なのか、それとも違う何かなのかをわざとぼかしているなぁ、というのはなんとなくわかり、その「自分とは何か?」が最大のテーマなんでしょうが、ついていけない… 物語が高度とかいうより、脈絡のつながりを理解し、彼らの心のうちと行動を理解するのが、困難なのかなぁ。そういう意味では小説というよりも私小説なのかなとも思ってみたりします。せめて、解説してくれれば、もうちょっと「ああ、そうなんだ」「だから、〜なのか」など思えるかも知れませんが。難しい…
結局、いろんな人の解説とかあらすじを読んで、やっとある程度理解しました。でも傑作かどうかといわれると、何がそんなにヒットしたんだろうかと首をひねっちゃうかも。
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『空中ブランコ』 奥田英朗 文藝春秋 
サーカス団のリーダー公平がここ最近感じているのは、空中ブランコのキャッチャーで若手の内田がいやがらせをしているのではないかということ。いつも空中ブランコのキャッチを成功してくれない…(『空中ブランコ』) ヤクザが尖端恐怖症? そんなとき別のシマの組との騒動が持ち上がり。(『ハリネズミ』) 大学の教授の娘と目出度く結婚、このまま行けば教授になれると思っているが、どうも義父のズラが気になり始め、公衆の面前ではずしてやりたい気持ちが暴走していく。(『義父のズラ』) 送球のコントロールが狂い始め、スタメンから外れたプロ野球選手。後釜にはイケメンの若手が入り、気に入らないことばかり。以前はどうやって投げていたんだか。(『ホットコーナー』) 売れ筋の女流作家。しかし、書こうと思うと、以前書いたネタじゃないかと自分の作品を読み返し、妙な脅迫概念に圧迫される。書けない。(『女流作家』)
いろんな患者を癒すトンデモ精神科医・伊良部の治療とは?
トンデモ精神科医・伊良部の元に訪れる患者との騒動、面白すぎ。訪れるのはタイトルどおり、空中ブランコ乗りとか、尖端恐怖症のヤクザ、義父ズラをはずしたい衝動に駆られる教授、ノーコンになったプロ野球選手、書けない作家などなど。現代病で、まさにありそうな症状に、楽天的な癒し(?)効果を見せる伊良部がいいです。意外と効果あるし。パターン的には同じなんですが、なんとも楽しめてしまいます。オススメ。
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『イリヤの空、UFOの夏 その4』 秋山瑞人 電撃文庫 
伊里野と一緒に逃げ出した浅羽。二人の前にはかすかな幸せとその幸せを圧倒する様々な困難が待ち受けていた。次第に破壊されていく伊里野を連れ、疲弊した浅羽が最後に辿り着いた場所は…?
相変わらず、主人公の腰の引けた小物っぷりが見事というか、哀れというか。たしかに等身大の若者なんだけど… 結局、厳しい展開の続く最終巻のラストは、私はちょっとイヤかなあという感じ。少なくともハッピーエンドには感じられなかったです。ボーイ・ミーツ・ガール、でも夏が終わると元に戻ったって感じで。感動の結末、なのかなぁと。まあ、それもありだし、きれいに終わってるといえばそうなんですが、なんとなく、悲しめ。
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『黄色いアイリス』 アガサ・クリスティ 早川文庫 
四年前に死んだ妻の追憶のための晩餐会に出席してほしい―――ある富豪から奇妙な依頼を受けたポアロが赴いた場所では、昔とまったく同じ状況が繰り返され、テーブルには依頼人の義妹の死体が… クリスティの短編集。
クリスティの短編集って、シンプルだけど短い中に必要な要素が詰まってて面白いですよね。というわけで、その場で解決できるポワロもの、旅先でいきなり遭遇するパーカー・パインものなど、あっさりとしながらも「ほぅ」と言える作品で楽しませてもらいました。ノンシリーズである幻想小説も結構よかったと。
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