『イン・ザ・プール』 奥田英朗 8点
『イリヤの空、UFOの夏 その3』 秋山瑞人 7点
『ふりだしに戻る』 ジャック・フィニイ 7点
『白い兎が逃げる』 有栖川有栖 6点
『永遠の館の殺人』 黒田研二、二階堂黎人 7点
『イン・ザ・プール』 奥田英朗 文藝春秋 
会社の疲れを癒すため、通い始めた水泳だが、やがて泳がないと不安に襲われるようになり…(『イン・ザ・プール』) ムスコがずっと勃ちっ放しで、前を常に隠しているが、仕事にも支障はでるし、どうしたらいいのやら…(『勃ちっ放し』) いつも誰かが私を見ている、きっとストーカー そんな思いがエスカレートし、家から出ることすらできなくなって…(『コンパニオン』) 携帯電話のメール1日300通。携帯を手放すと震えがきて、誰からかの連絡がないか不安になってしまう。(『フレンズ』) 家を出るときに火の始末はきちんとしていただろうか? ガスの元栓は? 心配事に囲まれて…(『いてもたっても』)
ちょっとヘンな症状を持つ患者を、もっとヘンな精神科医・伊良部が診察する。
非常に楽しませてもらいました。爆笑とは言いませんが、笑えます。精神的には五歳の子どもと同じ、悩みの無い楽天的な中年・伊良部。精神科医の彼のところには、プール依存症の男や、ムスコが立ちっぱなしになってしまった男、自意識過剰なコンパニオンなどが尋ねてくるという話。結果的にはすべて似たような展開で、診断をしない伊良部の元へ、患者たちは気晴らしに来て、やがて症状悪化。行き着くところまで行き着いて、鎮火する感じ。伊良部は何もしていないように見えるけど、意外と患者をあおるという意味で役に立っているようにも見えるし、ただ自分のやりたいようにやってるとも取れてしまう部分が面白い。目立たないところで、露出好きな看護婦さんもグッドです。『空中ブランコ』楽しみだなぁ。
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『イリヤの空、UFOの夏 その3』 秋山瑞人 電撃文庫 
浅羽を巡る恋の三角関係が進行中、ということで、ついに伊里野と晶穂の正面切ったバトルが発生! 最終決戦の場となった「鉄人屋」では…! 血と涙が吹き荒れる『無銭飲食列伝』。
突然、園原基地付近で起こった爆発。北からの攻撃、輸送機の事故、UFOの墜落とさまざまな憶測が飛び交う中、水前寺はひとり、爆発事件の取材に向かった… 『水前寺応答せよ』。
主人公のダメっぷり全開。女の子を守るナイト気取りだけど、いざとなると逃げ腰で、何にも出来ないなんて、まさに等身大の男子生徒。一話目の『無銭飲食列伝』は、なかなか面白く笑えたりするのですが、その後は、いよいよ物語りも佳境、シリアスになっちゃって突っ込みがはいりません。どう転がるのか楽しみです。
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『ふりだしに戻る(上)(下)』 ジャック・フィニイ
角川文庫 
 女ともだちの養父の自殺現場に残された一通の青い手紙。その謎の手紙は90年前、ニューヨークで投函されたものだった。
ぼく、サイモン・モーリーはニューヨーク暮らしにすこしうんざりしはじめていた。そんなある昼下がり、政府の秘密プロジェクトの一員だと名のる男が、ぼくを訪ねてきた。プロジェクトの目論みは、選ばれた現代人を「過去」のある時代に送り込むことであり、ぼくがその候補にあげられているというのだ。ぼくは青い手紙に秘められた謎を解きたくて「過去」へ旅立つ。
ふとしたことで、タイムトラベルの研究の一員となった主人公が、過去に戻り、ある出来事を追跡するストーリー、ですが、どっちかというと過去を懐かしむ小説なのかな。イラストレーターという職業だった主人公の、過去の世界のイラストがいろいろと挿入されていたり、その風景が克明に描写されていたりします。ストーリーに関しては、ミステリー的、恋愛小説って感じかな。結構だらだらした印象を受けたんですが、ラストがいいですね。タイトルの意味が、「ああ、これか!」って感じでわかりますから。
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『白い兎が逃げる』 有栖川有栖 カッパノベルス 
「君を好きになった。君も僕に興味を持って欲しい。それが無理なら、離れたところから君を見守っているだけでもいい」―――
ストーカー行為に悩む劇団「ワープシアター」の看板女優・清水玲奈。彼女を変質者から引き離すプランは、成功した筈だった。ところが、ストーカーの死体が発見され、事件は思わぬ展開に!
あいかわらず、ありえないようなシュチエーション万歳な感じが。とくに警察のへぼぶりはなんだかなーと。最初っから火村に頼ること前提で、なんにも捜査してないんじゃないかと思えるほどに。トリックもなんだか中途半端っぽい感じもして、偶然にたよった出来事って、やっぱりなんだか拍子抜けだったりします。ちょっと、うーん。
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『永遠の館の殺人』 黒田研二、二階堂黎人
カッパノベルス 
スキー場を訪れたごく普通のカップル。実は男は、邪魔になった女を殺そうとしていた。しかし突然の吹雪に巻き込まれて遭難、目の前に忽然と現れた山荘に命を救われる。
館のオーナーは高名な作家であったが、オーナー家族、滞在者は皆、何かを隠すように怪しい行動をとる人間ばかり。立ち入りを拒まれたエリアにはいったい誰がいるのか…館全体を覆う違和感。そしてその夜、カップルの来訪が引き金であったかのように、凄惨な連続殺人の幕が開くのだった!
吹雪の山荘で起こる猟奇殺人事件と、なんかよくわからない連続殺人が描かれているわけですが、うーんってな感じ。メインは吹雪の山荘ですが、曖昧であっけなく否定される伝承など、無駄が多いような。なによりも、あからさまに怪しすぎで、何があってもおかしくない雰囲気なのです。ついでに、このネタはどっか他でも見たことがあるような… んで、最終的な結論が出てないような感じも気に食わないというか、「ええー」といいたいような。結局シリーズを通じて読む必要があるようにも取れるし、「まだ続くの?」みたいな印象を受けてしまうのもちょっと。全体的に曖昧でいまいちな印象を受けました。もっと、上手くケリをつけてほしかったなぁと。
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