『聖夜は黒いドレス スカーレット・パラソル2』 新庄節美 7点
『永久帰還装置』 神林長平 7点
『鬼の探偵小説』 田中啓文 8点
『パズラー 謎と論理のエンタテイメント』 西澤保彦 7点
『ラストホープ』 浅暮三文 8点
『聖夜は黒いドレス スカーレット・パラソル2』 新庄節美
創元推理文庫 
颯爽と登場した美少女怪盗、スカーレット・パラソルのもとに、日本泥棒競技会への招待状が届いた。世界に六部しかないといわれる稀覯書『ネクロノミコン』をしおりつきで盗んでこい、というのが今回のテーマだった。えりすぐりのプロフェッショナルたちをむこうに回し、果たして愛梨に勝ち目はあるのか?
盗賊たちの競い合いなんですが、手口がみんな浅はかじゃないですか、正攻法で競い合ったら、完全に早い者勝ちでしょ… 盗み方が美しくない! しかも、せっかくターゲットが『ネクロノミコン』なのに邪神でてこないし、とヘンな期待をしたたんですが。まあ、一昔前のジュブナイルなんで、冒険としてはこんなもの、淡い恋愛もこんなものかなと思わないでもないですが。大人になると、うがった読み方しかできなから、残念ですね。
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『永久帰還装置』 神林長平 ソノラマ文庫 
火星に現れたその男は、携帯していた千年前の警察手帳と大型拳銃、そして華奢な「帰還装置」を奪われた。だが、この世を滅亡させるという「犯人」を追って、男は宇宙軍基地を脱走。味方にした女性情報部員と首都に向かう。やがて、男の予想だにしなかった「正義」と「帰還」の形が、その様相を現してくる。
簡単にいってしまえば、エイリアンの刑事が、エイリアンの犯罪者を追いかけてきたってもの。ただ犯罪者は世界を再構築できる力があるため、ほとんど神。その力を利用すればいくらでも刑事を倒せるのにと思いつつも、メインは現地の人間と刑事のやりとりだったりします。このあたりが結構見所なんですが、ある程度理解している読者からするとちょっと冗長かなとも。決着なんて、なんか一瞬だったし。後半は盛り上がるんですが、中盤がちょっとつらかったです。そこそこということで。
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『鬼の探偵小説』 田中啓文 講談社ノベルス
マニア相手のアイテム売人は左右の目玉を入れ替えられて殺され、蜘蛛館に住む令嬢は蜘蛛の形に見立てられて殺されていた。続発する異常殺人の謎に挑むのは忌戸部署の「鬼」と呼ばれる男! 人間業とは思えぬ事件の背後に隠れているのは、いかなる論理か、それとも狂気か?
なんと、伝奇ものが絡んではいるんですが、普通のミステリ。駄洒落がほぼないという、驚きの作品でした。で、内容的にもそこそこ面白いんじゃないかと。主人公は、いわゆる人外な存在なんですけど、人の世で刑事などやっていて、ぱっとしない人物を演じているけど、事件解決の能力は非常に高いという、まさに探偵小説なわけですよ。そしてとても人の起こした事件と思えないものばかりで、それが上手かったりするんですね、最後の最後も楽しませてもらったなあと。オススメです。
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『パズラー 謎と論理のエンタテイメント』 西澤保彦
集英社 
高築俊郎の殺害時刻、アリバイがあるはずの淳子はなぜ、自分が彼を殺したと供述するのか… (『アリバイ・ジ・アンビバレンス』) 密室で首を切断された不可能犯罪、後日死者からの電話がかかってきて・・・ (『チープ・トリック』) など、短編6作を収録した短編集。
いろんなところに書いていた短編集の寄せ集めって感じです。タイトルは『パズラー』と、ロジカルなミステリかとも思っていたんですが、そんなにロジカルじゃないかなとも。要するに、事前に読者が与えられたヒントで解けるかというと、そうではなくて、作中の探偵が解く過程のひらめきと奇抜さをロジカルに当てはめてる印象ですね。事件の回りの飾り付けは結構面白いと感じました。
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『ラストホープ』 浅暮三文 創元推理文庫 
東堂と刈部が経営する釣具店「ラストホープ」に届いた一枚のファックス、それがすべての始まりだった。病床の父のために多摩川の山女魚が欲しいとの依頼を受け、東堂は山女魚を釣り上げるが、その途端何者かに襲撃される。困惑するふたりはいつしか一億円争奪ゲームの真っ只中に―――
上手いですよ、きれいにはまってて。元犯罪者の釣り屋たちと、婆さん三人組と、抜けた犯罪者三人組の、絡み合った物語。抽象的な三人称が多くて、慣れるまで誰がどこで行動してるかわかりにくいですが、中盤以降は、見事な伏線と繋がりを楽しむことができました。五感シリーズのような粘着質な文章ではなく、軽いタッチのひょいひょいとした感じも絶妙だったりします。面白かったです。
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