『吉永さん家のガーゴイル 3』 田口仙年堂 7点
『水の牢獄』 咲田哲宏 8点
『川の名前』 川端裕人 8点
『蹴りたい田中』 田中啓文 8点
『自転車少年記』 竹内 真 8点
『吉永さん家のガーゴイル 3』 田口仙年堂
ファミ通文庫 
いつ行ってもお客がいない怪しいアンティーク屋「兎轄舎」のお姉さんに呼び出された双葉は、うまーく丸めこまれてトゲつきの奇妙なヘルメットを被ることに。それは試作段階の植物と喋れる機械「イーハトーブ式交換装置」だった!? 故障で装置が脱げなくなってしまった双葉はおかげでご町内の笑いものに。心配するガーくんの気持ちをよそに、好奇心旺盛な双葉は装置を使い、新しい友達と出会うのだが、どうも様子が変!?
植物の気持ちを感じてしまえば、そりゃたしかにえらいことに。生活する上で、植物の死は無数に乗り越えているわけですから。というわけで、双葉ちゃんの暴走話に、ちょっとしんみりなシーンも満載の一冊。もちろん新たな「敵」も登場。植物だけど。アクションが主ではなく、対植物の接し方とかはなかなかいい感じです。面白かったし、ほろりときそうな一冊でした。
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『水の牢獄』 咲田哲宏 角川スニーカー文庫 
台風によって、外部との接触が閉ざされた山荘に訪れた9人の学生と教師たち。とつぜん、魚の形をした水が、彼らに襲い掛かってきた。いったいその生物(?)は何なのか?不条理な中、必死の抵抗を試みるが、被害者は増えていくばかり… 果たして彼らは無事に謎の生物から逃れられるのか?
館で謎の生物(?)に襲われるホラー。空中に浮かぶ水の魚は、イメージではすでにスタンド(by『ジョジョ』)ですね。で、体内に入られてあっけなく干からびて、ジ・エンド。『竜が飛ばない日曜日』でもそうでしたが、登場人物の死に容赦しないのが持ち味なんでしょうか、かわいそうと思う暇のない展開です。でも、だからこそその盛り上げ方も上手いなあと思ってみたり。ホラーらしい結末も良かったです。
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『川の名前』 川端裕人 早川書房 
菊野修、亀丸拓哉、河邑浩童の、小学五年生三人は、自分たちが住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまで三人が知らなかった数々の驚くべき発見が隠されていたのだ。少年たちの川をめぐる冒険がはじまった。
少年たちの冒険であり成長の物語。川と自然とのふれあいから、同時に自分のやりたいことの発見、可能性、親との対立までを上手く物語りにまとめているなぁと。冒険といっても、たいしたことはないですが、野生動物の観察、大人との闘いは小規模ながらも、わくわくどきどきを感じさせてくれました。読了後に面白かったなぁという気持ちになれる作品でした。
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『蹴りたい田中』 田中啓文 早川文庫 
第二次大戦での極秘任務をテーマとして、茶川賞に輝いた『蹴りたい田中』、他、イロモノ短編小説7編を収録した短編集。
同時受賞は『亀にピアス』。というのは置いておいて、バカだなぁという駄洒落でSFな短編集。このくだらなさが好きです。ヒートアップのしかたが尋常じゃない『地球最大の決戦』、山田正紀を誉めてるのか愚痴ってるのか『やまだ道』、蚊ミステリ『赤い家』、シカゴのちりめんじゃこ問屋の隠居が悪人をこらしめる『地獄八景獣人戯』、もはや元ネタすらわからないのも多数ありましたし、そのこじつけはどうかと思うのも多数ありましたが、楽しめましたとも。コテコテじゃなく、すっきりとした短編だし。意外と読んでみるとはまるかもしれませんよ。
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『自転車少年記』 竹内 真 新潮社 
銀色に輝く翼を手に入れた、昇平と草太は、冒険をした。レースで汗を流した。もちろん素敵な恋もした。自転車のスピードで、少年は大人へと成長する。
少年記ですが、少年時代だけにとどまりません。少年が、青年になり大人になるまでの物語。二人の主人公は、片方はまじめな、もう片方は中途半端な少年です。自転車というつながりで、物語はスタートし、自転車が中心となりつつも、野球や恋、就職など、盛りだくさんの展開が。物語の登場人物だけど、なんだか身近にいる等身大の人間のような気がして、何をしたいのかに悩み、葛藤していく生き様を感じられます。自転車が中心だけど、自転車が主にならないのがミソですね。悩んだときに、日本海まで自転車で走る、とか行き詰まったときの解決法として与えられているという部分が。青春小説です。面白いです。おすすめします。
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