『贋作遊戯』 赤城 毅 7点
『永遠の出口』 森 絵都 7点
『星ぼしの荒野から』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 7点
『学ばない探偵たちの学園』 東川篤哉 6点
『スペース』 加納朋子 7点
『贋作遊戯』 赤城 毅 カッパノベルス 
立見広介は、伝説の詐欺師・四条君隆とその孫娘・るぅの下で現在、詐欺師稼業修行中の身。昭和七年春、まんまとインチキ宗教家から大金をせしめた広介だが、その直後、突然現れた男たちにある館に拉致されてしまう! その館の女主人こそ、同業の世界で名を馳せた「絹婦人」その人であった。マダムは広介に、彼女の一番弟子とのぺてん勝負の遊戯を提案する。勝負の内容は三人の金満家が持つそれぞれの美術品を奪うこと。その場に立ち会った四条は、なぜか広介に参加を勧める。仕方なく遊戯に挑むことになった広介だが、三つの美術品には秘められた謎が…
三人の資産家がもつ美術品を、詐欺テクニックで奪い取る勝負を行うってな話。知的ゲームで、無理やり奪い取るわけではなく、逆に喜ばれて奪い取るという手法は、ある意味見事かなと。そういう部分でも、普通のミステリなどとは違った爽快感。騙されるではなく、騙す爽快感を味わえる作品ですよね。面白かったです。
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『永遠の出口』 森 絵都 集英社 
少女が大人になっていく過程で、家族との付き合い方、世の中との付き合い方を学んでいく。人生の起伏に躓き、くじけながらも、自分の行きかたとはなんなのか、そして目指すものとは? 一種の青春小説。
家族をテーマにした小説ですね。主人公の私が小学生時代から、年月を経ていくもの。小学生の頃の話はかわいらしいものが多いんですけど、やがてトラブルというかイベント目白押しに。普通の家庭なんだけど、ちょっとつまずくとこれだけ小説のネタになるんだなあと。「私」が葛藤し、苦悩し、成長していくさまを読んでみてください。面白かったです。
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『星ぼしの荒野から』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
早川文庫 
遥か深宇宙で進化した生命体グレックス―――エンギという名の幼仔が冒険を求めて行方をくらました時、群れは大騒ぎとなった。ただちに二体の斥候が選ばれ、その跡を追った。だが怖るべき捕食生物「大食らい」もまた、その仔を狙っていたのだ。やがて未熟なエンギは、とある恒星の磁力流に捕えられ、地球という名の惑星に… 表題作ほか10篇を収録した短編集。
正直読みづらい個所が多々。短編集なんですが、全体的に物語りの導入が非常にわかりにくかったりします。それでも、中盤で惹きこまれるものは、オチを含めて楽しめましたが。ほとんどが異星人との遭遇ネタなわけで、オチでそれまでの良さを台無しにするタイプのものが非常に良かったかと。『天国の門』なんてもう、なんて親切なんだと思ってたら… 適度なSFを読みたいときに手にとってみましょう。
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『学ばない探偵たちの学園』 東川篤哉 ジョイノベルス 
「だんしがしんだいでしんだ」
回文もどきの第一声で始まった足跡なき密室殺人、続けて起きるアイドル高校生の失踪。学園探偵部の三人と顧問の生物教師が解決に乗り出す。
全体的に説明的な文章がうっとおしいです。序盤はまだしも、中盤でもどうでもいいことに説明がついており、文字数かせぎなのかなと思ってしまいます。また、登場人物の軽いこと軽いこと。まあ、トリックは書き方ではそれなりなんでしょうが、ふざけすぎた学生探偵が無茶をやっているので、殺人の重みはまったくなく、ほんとにクラブ活動のノリで進んでいってしまうのはうんざり。もうちょっと、なんとかして欲しいところです。
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『スペース』 加納朋子 東京創元社 
大晦日に再開した駒子と瀬尾さん。「謎」をたくすことで、瀬尾さんとの関係をつなぎとめておくことが出来る。駒子はある手紙を瀬尾さんに渡すが…
手紙の内容こそが全てなのですが、「手紙」という形式は、そのまま読んでしまうと、日記と代わりがなく、人の私生活をそのまま見てしまうような気がして、ちょっと小説としては読みにくいかなとも感じました。たしかに「謎」が潜んでいるのはわかっているんですが、テーマのない日常を見せられても… その点、『スペース』の裏側にあたる『バック・スペース』は一貫したテーマに基づかれており面白かったと思います。青春小説であるわけですが。爽やかな物語をもっと書いて欲しいかなと。
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