『1ポンドの悲しみ』 石田衣良 8点
『七月は織姫と彦星の交換殺人』 霧舎 巧 7点
『10センチの空』 浅暮三文 8点
『長野・上越新幹線四時間三十分の壁』 蘇部健一 7点
『はじまりは青い月』 新庄節美 7点
『1ポンドの悲しみ』 石田衣良 集英社 
他人のしあわせのためだけに働くウエディングプランナーの由紀。本を読む男を好きになる千晶… 30代の女性たちに訪れる恋のさざなみを綴る珠玉の10話。
30代女性の恋愛物語。どちらかというと精神的に若い部分が大人になっていくような感じなのかな。ぶっちゃけエロ描写もそこそこあったりするわけで、やはり大人の恋愛が絡んじゃうと肉体関係になっちゃうのかなとも。そんな中、『デートは本屋で』なんか面白かったですね。これまで読んだ本で、その人のひとなりがわかる、なんてのはわからないでもないような。
▲
『七月は織姫と彦星の交換殺人』 霧舎 巧
講談社ノベルス 
七月。死体の傍らで発見された謎めいた文字が連なる「祈願成就」の短冊が美少女・琴葉を七夕伝説に由来する殺人事件へと誘う。すべての謎の中心、「笹乙女委員会」とはいったい何なのか…?
なんというか「人が死んでても誰も驚かないの?」という慣れが生じてきて、怖い状況に。なにしろ警察が捜査している側面がまったく見えず、素人探偵が勝手に人のメール読んだり、尋問したりやりたい放題。気が付いたら終わっちゃってるのもなんだかなーと。らぶこめストーリーはじわじわと微妙にしか進まないし、まどろっこしいです、いやほんとに。
▲
『10センチの空』 浅暮三文 徳間書店 
就職活動をするべきなんだろうけど、なにをしたいのかがわからない、はっきりしない敏也。彼の他人とは違う能力が、10センチだけ空を飛べるということ。何故、飛べるのか? どうして10センチしか飛べないのか? そんな疑問をラジオに相談として投稿したとき、かれはタイムとラベルの能力も身に付けた。自分の過去、記憶の中へをかいま見るとき、10センチだけ飛べる謎が解き明かされる。
作者のイメージとこのロマンチックな話が一致しないという矛盾を感じてしまったのですが、実にきれいな話でした。10センチだけ飛ぶことが出来る青年が、なぜ10センチだけ飛べるようになったのか、なぜ10センチなのかということを、自分の過去の記憶をさかのぼって見つけ出すと言うストーリーです。それはすごくきれいで、ロマンチックだし、読むとなんだか幸せを分けてもらえるような気持ちになれるという。面白かったです。
▲
『長野・上越新幹線四時間三十分の壁』 蘇部健一
講談社ノベルス 
新潟と長野で起きた殺人。容疑者の美人双子姉妹には鉄壁のアリバイがあった。壊れた時計、時刻表、ビデオ・テープ―――ミステリの必須アイテムに新たな生命を吹き込むスリリングな表題作に、どんでん返しの醍醐味が堪能できる倒叙短篇の二編をプラスした作品集。
あんがいと普通のアリバイ崩しもののミステリでしたね。確かに刑事たちの砕けきった口調や、期待をもたせてオチのある展開なんかはふざけてると取れますが、トリックなんかはそれなりにしっかりしてるなと思ったり。あと、短篇なんかはすっきりと短くて好みでした。意外とオススメかな?
▲
『はじまりは青い月』 新庄節美 創元推理文庫 
愛梨を、将来オリンピック選手まちがいなし、っていわれるほどのスポーツ万能少女に育てたのは、自分の跡を継いでもらおうというおばあ様の深謀遠慮だったとは! 彼女の家は代々、「奪うは悪、悪を制するが善、奪うを懲らすは正義」を家訓としてきた義賊の家系だったのだ。二代目・紅蝙蝠としてデビューしたスカーレット・パラソルの前に立ちふさがるは、名探偵・武市大五郎の孫?
いわゆる「ボーイミーツガール、でも立場的にはライバル」みたいな。二代目で少女の怪盗と、二代目で青年の探偵。ジュブナイルやライト系ですね。全体的に短めですので、立ち回り部分がメインになっちゃいますが、計画を立てる部分なんかも面白かったりしました。芸が細かいというか。
▲
|