『黄昏の百合の骨』 恩田 陸 8点
『アンクスの海賊 クレギオン3』 野尻抱介 7点
『ウサギの乱』 霞 流一 7点
『白昼蟲』 黒田研二 7点
『キノの旅X』 時雨沢恵一 7点
『黄昏の百合の骨』 恩田 陸 講談社 
「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」
亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた… そしてその館の周りで不可思議な出来事が起こり始め…
『麦の海に沈む果実』の続編といえば続編であり、独立した物語です。祖母の死と共に魔女の家といわれる屋敷へ棲むことになった女性とその家族の話であり、陰鬱で隠し事があるなぁという雰囲気がただただ漂っています。読者へはその”何か”の存在を上手く引っ張り、好奇心を刺激しつつ、それとは別の展開を混ぜて上手く流れがつくられているなあと。決して大きな設定があるわけでもないため、結末も意外性を持ちつつもストンと落ちるようにまとまっていました。なかなか面白かったと思います。ダークでディープで。
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『アンクスの海賊 クレギオン3』 野尻抱介 早川文庫 
麻薬原料の密輸を潔しとせず、積荷を偽物とすり替え代金を騙し取ったのが、ミリガン運送とマフィアのクレメント・ファミリーの因縁の始まりだった。またしても追っ手を逃れ、ロイドら三人が逃げ込んだのは、原始星系アンクス。しかし新たな仕事を請け負い、無数の彗星が飛び交う航路を進むアルフェッカ号に、宇宙海賊の船影が迫る。さらにクレメント・ファミリーの捜索の網はこの星系にまで及んでいた…
知的な海賊が魅力的な話。宇宙でのおっかけっこ、質量とエネルギーがリアルに影響しているのもミソですね。内容的には短いんですが、いろいろな魅力が詰まっていていい話だと思います。
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『ウサギの乱』 霞 流一 講談社ノベルス 
天宇受売命(あめのうずめのみこと)を祀る神社で、兎の骨が大量に出土した。二年後、宮司の変死を皮切りに濫発する怪死事件! 出入り不可能な二重密室での串刺し、骨をこなごなに砕かれ、埋葬されていた死体… 犯人の意図のまったく読めない不可思議犯罪の行方は!?
乱はRUNって意味らしいのです。そうですよね、おとぎ話のウサギって智謀にたけた軍師なのかも。本編には関係ありませんが。今回は講談社ノベルスで新シリーズであり、名探偵俳優の奴隷的な主人公。ちょっと情けなくてイヤだったり。事件はウサギと芸能にまつわる出来事。相変わらず、謎のオンパレードで密室と見立ては相変わらず。特に密室のネタには、いろんな意味で「なるほどな」と思わせてくれましたね。新シリーズなぶんだけ、ちょっとなじみがなかったですが、それなりに楽しませていただきました。
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『白昼蟲』 黒田研二 講談社ノベルス 
今どき珍しいほどの古アパート「平和荘」で殺人事件が発生。その場を偶然、望遠鏡で目撃してしまった次郎丸諒は、現場に急行するも、存在するはずの遺体はどこからも発見されず… 殺人、自殺、いじめ。次々と明らかになる悲劇の連鎖。惑わされつづける事件の真犯人に迫る鍵は、次郎丸自身の過去にあった!
テーマはいじめ。過去のいじめによる封印された記憶と、現在のいじめがリンクして、事件もおこるというものでこの心しめつけられるような思いが、よく現れているというか。読んでるとつらい部分も。自覚のない無邪気さは罪ですよね。といったドラマが展開されつつも、あんまり触れられてないトリックに関してもそこそこ。面白かったと思います。
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『キノの旅X』 時雨沢恵一 電撃文庫 
「あの国はな―――”人を殺してもいい国”なんだ」
三日間の滞在を繰り返し、旅を続けるキノとエルメス。行く先々には、独自の規律に守られた国が多く存在する。草原にぽつんとある店、英雄たちの国、清潔な国、人を殺してもいい国――― 今日もどこかの国に彼女たちは訪れる。
時系列のバラバラないろんな長さの短編集なところは相変わらず。しかし、キノが主人公じゃない話も混じりだしましたね。あえて全てが書かれていないため、「なぜ」「なにが」「どうなったの」といった部分を読者の想像で補う必要があります。そこが面白いといえば面白いところなのかな、このシリーズの魅力として。
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