『仮面は夜に踊る』 名島ちはや 7点
『バラバの方を』 飛鳥部勝則 8点
『幽霊には微笑みを、生者には花束を』 飛田 甲 8点
『幻夜』 東野圭吾 8点
『彩紋家事件 後編 下克上マスターピース』 清涼院流水 7点

『仮面は夜に踊る』 名島ちはや
 富士見ミステリー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 帝都歴・××年――― 様々な難事件に悩まされ、凶悪事件が時に紙面を騒がせることを憂えた政府は、ある特殊な規則を一部緩和した。それは探偵などに対する優遇措置と拳銃携行の許可だ。そんな中、名探偵の誉れ高い如月文人のもとには、Juvenile Detectives(通称J・D)と呼ばれる少年少女を集めた探偵団が付き従い、活躍していた。それでも昨今帝都を騒がす、”夜の支配者”と呼ばれる怪盗を捕らえることは出来ていなかった。
 ある日、如月探偵を迎えに出たJ・Dの団長・坂口正一郎と福団長の如月忍、一人娘の如月未来は、”夜の支配者”に捕まってしまう。辛くも忍の機転で逃れたが、”夜の支配者”とJ・Dとの本格的な対決は間近に迫っていた。

 まさに古きよき時代の探偵団ものってかんじです。少年探偵団でありながら、名前がJ・D(Juvenile Detectives)となると近代的だったり。怪人との対決、血沸き肉踊る冒険が待っているのです。探偵が目立ってないのもいい点ですよね。というわけで、ちょいと古き少年探偵団を思い出しつつ楽しみましょう。

『バラバの方を』 飛鳥部勝則 トクマノベルス BK1-3.gif (240 bytes)

 大物画家の私設美術館の開館日。展示室のドアを開けると、そこは…死体の山だった。オープンを祝う(呪う)かのごとく、聖者殉教の絵そのままに、老人や少女が、腸を引き出され、乳房を抉られ、歯を抜かれ、針鼠になり…
 「聖エラスムスは腸を引き出されて殺されるであろう。聖セバスティアヌスは矢を突き刺されて…」招待客の新聞記者・持田の許に届いた不気味な手紙は、殺人予告だったのだ。血まみれの悪夢、狂気の大事件の幕が開く!

 画家とその家族が猟奇的な絵画になぞらえて惨殺されるという事件の本質を、記者が追いかけると言う、ある種オーソドックスなミステリ。しかし、いつの間にやら妙な雰囲気に圧倒され、怪奇・幻想小説のような感じがしてくるのです。なんだか霊が見えちゃうような、それでいて狂気に触れるような。そんな雰囲気をとても楽しめ、面白かったと思います。ラストのぞっとする感じも実によいですね。

『幽霊には微笑を、生者には花束を』 飛田 甲
 ファミ通文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 峰岸高校に通う真田真也は、心霊現象を信じないバリバリの科学信奉者。そんな彼が、廃屋の幽霊調査でなんと美少女の「幽霊」に遭遇!? 妄想だと思い込む真也の自宅にまで押しかけてきた「彼女」は、妹に「ユウちゃん」と名付けられいつの間にか同居することに。しかし、生前の記憶を持たないユウの「私、殺されたんです」の一言に、真也は彼女の過去を調べ始めるのだが―――

 幽霊もののSFかと思いきやミステリだったという。ある日であった幽霊は記憶喪失で、覚えているのが死の直前、誰かに殺されたらしいということ。幽霊の身元探し&犯人探しへの奔走。ついでに幽霊が幽霊である解明。そしていろんなものをひっくるめて意表をついた結末。上手くまとまっているし面白かったです。

『幻夜』 東野圭吾 集英社 BK1-3.gif (240 bytes)

 1995年、西宮。未曾有の大地震の朝、男と女は出会った。ふとした弾みで叔父を殺してしまった現場を女に見られたのだ。しかし、彼女はそのことを誰にも言わず、二人は逃げるようにして西宮の地を去った。それが始まり。美しく冷徹なヒロインと、彼女のために動く男。必要なものを得るために、手段を選ばず生きる二人にある刑事が動き出した…

 どうしても『白夜行』と比べてしまうんですが、感想としてはちょいと下かなと。阪神大震災で出会った二人の男女の影を歩くストーリー。目的のために手段を選ばないということが本筋でもあり、派手ではないですが読者をその世界へと引き込んでいくものはあると思います。ただ、その影の部分が見えすぎているせいか、だんだんと「ああ、こうするんだろうな」という予測が立ってしまうのが残念かとも。また、恐ろしく悲しい結末も、非常に後味が悪いなと思ったりしました。

『彩紋家事件 後編 下克上マスターピース』
 清涼院流水 講談社ノベルス BK1-3.gif (240 bytes)

 全身白装束の超人的通り魔・「白夜叉」の登場が、悲劇をさらなる高みへと押し上げる! 一人。そしてまた一人… 奇術サーカスに見立てられ、恐ろしいほどの正確さで、毎月十九日に死んで行く彩紋家の一族。当代きっての奇術師の血脈は、ここで無残にも途絶えてしまうのか? 日本史最大の謎と直結したこの未曾有の”犯罪革命”を日本探偵倶楽部の若き総代・鴉城蒼司は解明できるのか?

 えー、といろんな意味の驚愕を、終盤味あわせてもらいました。ネタバレだけどある意味読んでない人にも教えたい、実は彩紋家事件はプロローグ的なもので、メインの彩紋家殺人事件が8ページだったという真相。一瞬、『彩紋家殺人事件』も本になって今後出るのかと思っちゃいましたよ。というか、今回はそうしたほうが面白かったんじゃないのか?と思うかも。それにしても、一体なんだったんだろうと思えてしまうのが、なんだかなぁ…