『蹴りたい背中』 綿矢りさ 7点
『斬魔大聖デモンベイン 無垢なる刃』 涼風 涼 7点
『ナイトブリード』 友成純一 6点
『動物好きに捧げる殺人読本』 パトリシア・ハイスミス 7点
『真夏の島の夢』 竹内 真 8点

『蹴りたい背中』 綿矢りさ 河出書房 BK1-3.gif (240 bytes)

 高校生の私は団体行動が苦手で孤独を愛す。理科の実験でグループを作れといわれたときも余りとして扱われ、同じく余った男子のにな川と同じグループに。ジメジメとした雰囲気をもつにな川を見ているとなんだか蹴りたくなる。そんな彼があるモデルのファンだとわかり、そのモデルと会った事のある私にアプローチをかけてくるのだが…

 なんだか中途半端な終わりかたしたような気持ち。孤独になろうとする女子高校生の話なのか、それともSに目覚めようとする女子高校生の話なのか。世相を反映しているというか、背景にある「グループの馴れ合い」ってのはわかります、反発したい気持ちもわかります、しかしそれが日常。日常が描かれてはいるんだけど、主体はなんなのかが私にはわからなかったなあ… 「え、だから、もう終わったの? で?」が一番の感想です。

『斬魔大聖デモンベイン 無垢なる刃』 涼風 涼
 角川スニーカー文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 しがいない三流探偵・大十字九朗。ある日彼は魔道書を探して欲しいと言う奇妙な依頼を受けた。魔道書とは何か? 手がかりを追う九朗を謎の集団が襲う。彼を救ったのは自らを魂と実体を兼ね備えた魔道書であると名乗る少女アル・アジフ。二人が逃げ込んだ先に待っていたものは「鬼械神」DEMONBANEだった…

 PC18禁ゲームのノベライズ、といってもスニーカー文庫であるためエロシーンはなし、なおかつ上中下の上巻。クトゥルフ神話プラス美少女ものプラスロボットバトルというとんでもない組み合わせ。けど、意外としっかりとした設定。アーカムシティを舞台に魔道書をもった魔術師と戦うような感じで、アル・アジフやらナイアやら、ナコト写本、ルルイエ異本など、よだれのたれそうな用語が目白押し。いいんじゃないでしょうか、趣味の世界で。ゲームもやってみたいかも。PS2でも出るらしいですが、やはりやるならPCで。ナイア氏が出てくると、それはそれで恐れ多くて背筋が凍りますが…
 

『ナイトブリード』 友成純一 ハルキ・ホラー文庫 

 今から五年前、日本全土を襲った大地震。誰もが”感じた”地震だったが、不思議なことに何も被害はなかった。「幻覚地震」と呼ばれるその地震の後、今まで目に見えなかったものが、日本各地に出現するようになる。魔物、妖怪、物の怪などが現実の世界に現れたのだ。あるものは、徒党を組んで人を襲い、あるものは、人に憑依して人肉を喰らう。

 妖怪が現れだした混乱の世界。宗教が乱立し抗争が絶えないという状態の世界。結局のところ、その世界が描かれた話なのかなとも。グロさはさすがという感じで、内臓の潰れ具合や脱糞などの描写のリアルなこと。しかし、いただけないのは終わり方。まとまらず、なおかつ第一部完で終わっちゃいました。続きものかい… 結局ストーリがいまいちわかりませんでした。

『動物好きに捧げる殺人読本』 パトリシア・ハイスミス
 創元推理文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 人間のみなさまへ―――
 ここに収められた13の短編には、象、駱駝、犬、猫、豚、鼠等々、種類こそ違え、いずれも日ごろ口数の少ないわたくしども動物の喜怒哀楽が赤裸々にえがかれております。あなたがた同様、わたくしどもも怨恨、正義、痴情、物欲など、いろいろな理由から人間を殺します。その手段も多種多様で、たとえば…

 動物たちはきちんと人間たちの言葉ややっていることを理解して、恨んだり恐れたりして逆襲しますよってな話。気に入らない飼い主はかみ殺し、自分を愛する飼い主を落としいれようとする人間は蹴り殺し、動物たちの恐ろしさを目の当たりにさせてくれる作品かも。まさに動物たちの逆襲。13編の短編集であり、それぞれが違う動物をテーマにしていることからも、それぞれネタがことなっており、新しい楽しみを感じさせてくれます。怖いけど、面白かったです。

『真夏の島の夢』 竹内 真 角川春樹事務所 BK1-3.gif (240 bytes)

 瀬戸内の島にやってきたコント劇団の男四人と、小説家とアシスタントの女二人。彼らを待ち受けていたのは――― 産廃をめぐる陰謀と、恋の予感と、アートフェスティバル!

  ある島を舞台に劇団員の男四人と小説家とアシスタントの女二人の交流(?)を描いた作品。恋やら劇やら官能小説やら産業廃棄物の陰謀やら、つめこみすぎてなんだか中途半端さを感じてしまう部分があります。話自体、結構飛び飛びでいつの間にか二週間という時間が過ぎてしまっているのはどうかとも。文章としてはすきなんですが、その消化不良がちょっと、でした。