『猫はこたつで丸くなる 猫探偵・正太郎の冒険3』 柴田よしき 7点
『横浜中華街殺人事件』 木谷恭介 7点
『千曲川殺人悲歌 小諸・東京+−の交差』 深谷忠記 7点
『八号古墳に消えて』 黒川博行 8点
『Separation』 市川たくじ 8点

『猫はこたつで丸くなる 猫探偵・正太郎の冒険3』
 柴田よしき カッパノベルス BK1-3.gif (240 bytes)

 人間のことばを理解し、推理作家である飼い主(同居人)以上の推理力で数々の難事件を解決する猫探偵・正太郎。親友犬のサスケや近所の猫仲間たちとともに、アタマもカラダもアクセル全開の大活躍。
 殺人事件から恋のさやあてまで…人間の織りなす様々なドラマを独自の視点で眺めたとき、正太郎の眼はすべての真理を捉えるのだ。

 人語を理解する猫たちが、事件を解決するミステリ。ただし猫らしさは見事なくらい描かれていて、好奇心から事件を追いかける正太郎と、ただなんとなく事件に関わるトーマの短編が交互に繰り返されています。面白い、そしてなごめるのがいいですね。シリーズ5作目(短編では3作目)となり、とうとう環境にも変化が出始めたのかなと言うところ。次はいよいよ舞台が東の地になるのでしょうか?

『横浜中華街殺人事件』 木谷恭介 ハルキ文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 旧知の新聞記者・今西の依頼により、「神隠し」と騒がれる女子大生蒸発事件を追って、警視庁の宮之原警部は、横浜を訪れた。今西の情報に従い、かつて世話になった広告会社の近野を訪問すると、そこの女子社員が、例の女子大生の友人だと判明。さらに宮之原は、近野から事件の鍵と思われる、最近地元で起きたトラブルを聞き出す。だがその晩、近野が急死し、事件は意外な方向へ…

 中年刑事の地道でどっしりとした刑事もの。始まりは失踪事件、やがて連続殺人に、と、いろんな出来事が複雑に絡み合う中、根気の聞き込みで光明を見つけ出す、オーソドックスな物語。それなりに上手さもあり、落ち着いた読み方ができました。

『千曲川殺人悲歌 小諸・東京+−の交差』 深谷忠記
 講談社ノベルス 

 傲慢、奇矯な天才画家は車の中で凶刃に倒れ、恋人はマンションで毒を呷っていた。アリバイ、動機を追及する刑事・勝俊作は、娘に自殺された高校の同級生と事件の因縁に心ざわめくが…

 ううううん、アリバイもの? 怪しい人物がわかりきっており(というかその人物ぐらいしか出てこない)、どうやって犯行を犯したかを検討するような感じかな。刑事が地道な捜査をおこない、探偵がいいところをひょいと取った印象も。しかし、これわからんでしょ、普通、というトリック(?)なもんで、推理した探偵を拍手してあげたい気分に。ちょっと突飛ないのでは(あるいは中途半端)と感じた作品でした。

『八号古墳に消えて』 黒川博行 創元推理文庫 BK1-3.gif (240 bytes)

 大阪の遺跡発掘現場で、崩れ落ちた土砂の下から大学教授の死体が発見された。事故かと思われたが、死体の気管と食堂から採取された泥は現場のものではなかった。警察の捜査が始まるとまもなく、別の遺跡発掘現場で謎の墜死事件が… 大阪府警の二人の刑事、通称”黒マメコンビ”が、遺跡発掘と大学のポストを巡る連続殺人事件に挑む!

 たぶん再読ですが、下手すると10年ぐらい昔に読んでいるので記憶になく、純粋に楽しめました。警察小説であり、進行とともに現れれる証拠品や証言のバランスがよく、じわじわと犯人の輪が縮まっていくのがいいです。また、関西弁のどうでもいいようなテンポあるやりとりが実にいい味を出しており、会話の節々も楽しめます。面白かったですよ。

『Separation』 市川たくじ アルファポリス BK1-3.gif (240 bytes)

 同級生だった悟と裕子は親の反対を押し切って結婚。幸せに暮らす二人だったが、やがて裕子の身体に変異が現れはじめ、次第に背が小さくなっていった。原因の分からないまま不可思議な若返り現象は進み、やがて哀しい結末へと向かってゆく…(『Separation―きみが還る場所』)

  Webで公開していた作品が本になったもので、今でも途中までは公開しているようですね。二つの姉妹作が収録されています。なんていうか、読むとやさしくなれる作品。いつの間にか惹かれあい、恋人となった二人に訪れる変化。そのとき、愛はどうなっていくのか。結構独特の書き方を感じることができ、また悲しさの向こう側にあるものが見える気もします。そういえば、テレビドラマにもなりましたね、この一作品は。オススメします。